Pokémon LEGENDS 三聖獣異聞録 神都秘邃百獣夜行 作:野傘
※その1、その2をご覧になっていない方はそちらから先にご覧ください
——がああああええええええいいい!!
火界、流出。
大地を揺るがす轟音が鳴り響き、灼熱の火山弾が『黒曜の原野』へと降り注ぐ。
突然の火の雨に驚き、逃げ惑うポケモンたち。
そんな彼らを追い立てるように駆けながら、エンテイは咆哮を上げた。
地を駆けるエンテイの毛皮が擦れ、その体より幾つもの火花が生じる。
生まれた火花は周囲にまき散らされた可燃ガスに着火。立て続けに爆発を生じさせ『黒曜の原野』を燎原に変えていく。
先の襲撃からまだ日の浅い『黒曜の原野』に、再び顕現する地獄の如き光景。
さらにエンテイはこの地獄を広げんと、その身を苛む狂気のまま足元を炸裂させ、天高く跳躍した。
——があああああああ!!
全身に紅蓮の炎を纏い、火の玉となって駆け下るエンテイ。
着弾地点は川の中州に形作られた小さな島——先の
燎原と化した『原野』にありてなおも緑が残るその島を、今度こそ焼き尽くさんとエンテイは落下を加速させた。
——その時であった。
「ゴウカザル! "素早く"【フレアドライブ】!」
——うぃいいっきいぃぃ!!
天降るエンテイの耳が鋭い声を捉える。
その声にどこか聞き覚えがあることを、朧げな思考で思い出したエンテイ。
しかし、その思考が声の主の記憶を呼び起こす前に——彼の体へ衝撃が走った。
"早業"【フレアドライブ】
——がっ!?
突如として地上より駆け上った
それがエンテイの無防備な横腹に直撃し、衝撃とともに体勢を崩す。
同時に【フレアドライブ】の炎が身に纏う可燃ガスに引火し、暴発。
制御を失ったエンテイの体が真っ逆さまに落ちていく。
——がええあああ!?
重力に引かれるまま、勢いよく『ハマナスの島』に着弾したエンテイ。
墜落の衝撃が地面を抉り、周囲に土煙が舞い上がる。
上空から凄まじい勢いで落下し、地面に叩きつけられる……通常のポケモンであればまず重傷は免れなかったであろう状況。
——それでもなお、その身に然したる傷も負わなかったのは、さすが伝説のポケモンと言ったところであろうか。
——がえええええい!!
漂う土煙を咆哮で吹き散らし、エンテイが再びその姿を表す。
彼は真紅の瞳を怒りに燃やし、自らに無様を晒させた仇を見つけ出さんと彼方此方に視線を飛ばす。
——!!
ほどなくして怒れる彼の瞳が、自らに屈辱を与えた敵対者の姿を捉えた。
頭上に戴くは燃え盛る業火。しなやかなる四肢は赤茶と白の毛に覆われ、身体の各部に黄金の装甲を纏う。
そのポケモンの名は"かえんポケモン"ゴウカザル。ヒスイの地にて古く"絢爛なる偉丈夫"と称えられし
——うっきいあ!!
頭上の炎を絢と揺らし、闘いの構えを取るゴウカザル。
その四肢に赤々とした焔を纏わせ、全身から闘志をみなぎらせていた。
同時にエンテイは、相対するゴウカザルの傍らに、忌々しき「神」の気配を漂わせるニンゲンの少女の姿を捉える。
瞬間、脳裏に溢れ出す『天冠の山麓』での屈辱の記憶。
屠られるべき獲物が自らに反旗を翻し、
あのニンゲンはそれを為した下手人に他ならない。
——がるるるる……ががあああええええい!!
恥の記憶を想起させられ、心中に怒りの炎が燃え上がる。
同時にその怒りに呼応するかの如く体ドス黒い
赦されぬ。赦されぬ。汝の罪は赦されぬ。
灼けよ。焦せよ。我が怒。
責めよ。咎めよ。我が焔。
消えぬ業火に身を焼かれ、永劫の罰を受けるがよい。
心中を満たす狂気の叫び。
尽きることのない赫怒の情。
限界を超えた憤怒が魂を焼き尽くし、それ以外のあらゆる情動を消し去った。
残ったのはただ一つ、"眼前の敵を叩き潰すという"思考のみ。
襲い来る狂気と衝動の命ずるまま、エンテイが動きだす。
——かくて、ヒスイの行く末を定める決戦の火蓋が切られたのであった。
——がえええええええい!!
始まった大戦。
先手を打ったのは猛り狂うエンテイの方であった。
彼は咆哮とともに前脚を地に叩きつけ、地中へ多量のガスを送り込む。
次の瞬間、周囲の大地が光り輝き、衝撃とともに大爆発。
【ストーンエッジ】
無数の鋭利な岩片が大地より隆起し、ゴウカザルを——傍らのショウ諸共——串刺しにせんと迫り来る。
——ううっきゃあああ!!
しかし、迫るそれらを目の当たりにして、大人しくやられるゴウカザルではない。
彼はすぐさま傍らのショウを抱き上げ一飛び、【ストーンエッジ】の範囲外へと離脱する。
そして
"早業"【マッハパンチ】
放たれる瞬打の一撃。
目にも留まらぬ早業で振り抜かれた拳がエンテイの顎を捉え、その脳天を揺らす。
——がえるうぃ!?
生物共通の急所たる顎下を打ち抜かれ、ぐらりと体勢を崩したエンテイ。
エンテイが見せた明確な隙。ゴウカザルは畳み掛けるように、至近距離で拳を見舞う。
【インファイト】
一切の守りを捨て放たれた怒涛の連撃。
数多の鉄拳がエンテイの体へ突き刺さり、その身に無視できぬダメージを刻んでいく。
持てる限りの力を振るい、ありったけの拳を叩き込んだゴウカザル。最後にこれでトドメとばかりに、ふらつくエンテイの顎めがけ全力で拳を振り抜いた。
……が、しかし。
——うぃき!?
振り抜いた筈の拳が止まる。
握りしめた手に激痛が走る。
見れば振り抜かれた拳にエンテイの牙が突き刺さり、毛皮を鮮血で濡らしていた。
それはあまりにも信じがたい光景。
エンテイは生物にとって重要器官である筈の口腔で、ゴウカザルの剛拳を受け止めたのだ。
エンテイが行ったのは単純明快。
敵に対し弱点をワザと晒すことでそこに攻撃を集中、逆に受け止めた上で反撃を行う……いわば肉を切らせて骨を断つ戦法だ。
しかし理屈にすれば単純であろうとも、切らせる肉として防御の薄い体内を晒すなど正気の沙汰ではない。
まさしく自らの命も厭わぬ狂気で以って成された凶行。
——であるが故に、敵にとってはこれ以上無く有効であった。
——ぎゅるるるるる!!
ボキボキボキィ!
己が命をも厭わぬ凶行に虚を突かれ、思わず動きを止めてしまったゴウカザル。
次の瞬間、貫かれた拳に万力のような力が加わえられ、破砕音とともに骨がへし折られた。
——うぃ……ぎいいいあああ!?
拳に走る尋常でない痛みに、ゴウカザルの口から悲鳴が漏れる。
何とかエンテイの拘束より逃れようと、無事な片手を滅茶苦茶に振り回すゴウカザル。
だが、いくら拳を叩きつけようともエンテイの拘束が解かれることはなく。
むしろ鋭い牙がますますと深く食い込んでいく始末であった。
——ごおるるるる!!
——う、うきゃああ!?
次の瞬間、ゴウカザルの体が宙を舞い、勢いをつけて大地へ叩きつけられる。
エンテイが規格外の膂力で以ってゴウカザルを持ち上げ、振り回したのだ。
そのままエンテイはゴウカザルを二度、三度と続けて振り回し、幾度も大地に打ち据える。
視界がぐるぐると回転し、衝撃で脳天が揺さぶられる。
拳が引き千切られるほどの勢いで振り回され、命の危機を感じたゴウカザル。
彼は、故になりふり構わず脱出にかかった。
——うぃっ……きいい!
【ほのおのパンチ】
——ごえあっ!?
喰いつかれたゴウカザルの拳が炎を纏う。
口腔内で突如発生した熱に怯んだか、エンテイの拘束が僅か弛む。
その隙を逃さず、ゴウカザルは両足で以ってエンテイの顔面を押さえると、肉が裂けるのも厭わず無理やり拳を引き抜いた。
そのまま怯むエンテイの身体を蹴り飛ばし跳躍、何とか距離を取ることに成功する。
エンテイの拘束を逃れ、仕切り直しを図ったゴウカザル。
しかし負ったダメージは予想外に大きく、力の入らぬ腕を押さえガクリと膝を突いてしまう。
見れば食いつかれた拳は止めどなく血が流れ、辛うじて腕にぶら下がっているような状態。これでは戦闘で使用することなどとても不可能であろう。
使い物にならなくなった片手に歯噛みしながら、それでも心を落ち着かせようと息を吐くゴウカザル。
だが、目の前の難敵はそれを許すほど甘い相手ではない。
突如としてゴウカザルを襲う轟音と熱風。
気が付けば距離を取った筈のエンテイが彼の目と鼻の先に接近していた。
——がええええいいい!!
——うきゃあ!?
仕切り直しなど許さないとばかりに足裏を起爆し、膝突くゴウカザル目掛け猛進するエンテイ。
そのままロケット染みた加速で肉薄するや、眼前の敵を切り裂かんと鋭利な爪をぎらつかせ、前脚を振り下ろした。
しかし、いかに傷ついたとて、ゴウカザルもかつては『ハマナスの島』の
すぐさまに地を蹴って跳躍、間一髪のところで迫り来る惨爪を回避した。
——がるええい!!
だが、エンテイの攻撃はこれで終わりではなかった。
空振りに終わった惨爪の一撃は大地へと深々と食い込んで止まる。
しかし次の瞬間、食い込んだ足元で大爆発が起こり、無数の岩塊が弾け飛んだ。
弾き出された岩塊は衝撃とともに打ち出され、
"早業"【いわなだれ】
地上から放たれる数多の岩弾。
——ういいいっきいいい!!
迫り来るそれらをゴウカザルは片手、両足、そして尻尾までも高速で振り回すことで何とか捌いていく。
"早業"【いわくだき】
噴き上がる【いわなだれ】を次から次へと砕き、ギリギリのところで攻勢を凌ぎ続けるゴウカザル。
その最中、地上にて再び爆発音が鳴り響き——宙を駆けあがったエンテイがゴウカザルに強襲を仕掛けた。
——うっきゃ!?
——がるるおおおお!!
中空にて足裏を起爆、規格外の機動力を以て方向転換するやゴウカザルに突撃。
その首筋に噛みつくと、再び足を爆発させ地上目掛けて吶喊する。
エンテイの全身が業火に包まれ、ゴウカザル諸共に紅蓮の流星となって大地へと駆け下る。
全身を襲う凄まじい圧力にゴウカザルはもはや逃れることは叶わないと悟る。
しかしこのままの状況に甘んじれば、隕石衝突とも見紛う勢いで地面に叩きつけられるだろう。そうなれば"ひんし"となることは免れまい。
考えれば考えるほど"詰み"にも等しいこの状況。故に、ゴウカザルは一か八かの賭けに打って出た。
——うぃ……きいい!
——がるぐええ!?
圧し掛かる豪圧を堪えながら、何とか体勢を変更。
両脚をエンテイの首へと回し、ありったけの力で締め上げた。
——げえ、があ……ぐるうえあああ……!!
万力の如き力で首を締め上げられ、あまりの苦痛に呻くエンテイ。
拘束をふりほどかんとするも、既に技の発動体勢に入った体は自由が利かず。
よって意識が落ちるその前にゴウカザルを叩き潰さんと、ますます落下を速める。
——う……きぃ……いいいい!
——がふっ……があああ……!!
地面に叩きつけられるその前にエンテイの失神させんと力を込めるゴウカザル。
酸欠で意識が落ちるその前にゴウカザルを大地に叩きつけんと加速するエンテイ。
共に双方を戦闘不能にせんともみ合う両者。
果たして全霊を尽くした二匹の奮闘は——
どっごおおおおおご!!
——轟音とともに地に衝突したことで終幕したのであった。
「ゴウカザル!!」
相棒がエンテイ諸共に火球となって地面に衝突した……そんな光景を目の当たりにし、ショウは思わず悲鳴を上げる。
落下地点は衝撃で舞い上がった土煙によって覆われ、二匹の姿を伺うことは出来ない。
姿の見えぬ相棒に、矢も楯もたまらず着弾点へ駆け寄ろうとしたショウ。
——その時である。
——うぃ……きい……!
「!! ゴウカザル、無事!?」
煙を突き抜け飛び出した一つの影。
露わになったその姿は紛れもなく彼女の相棒、ゴウカザルであった。
全身は土塗れでボロボロ、食らいつかれた片手は血まみれで垂れ下がっている状態だが……それでも生きて、動いていた。
ゴウカザルとエンテイ、両者の中空での鬩ぎ合いはゴウカザルの辛勝に終わった。
【おにおしだし】が大地に着弾する寸前、酸欠にてエンテイの意識が途絶したのか、圧力が緩んだことでどうにかゴウカザルは脱出することに成功したのだ。
しかし、鬩ぎ合いに勝利したとてゴウカザルの負ったダメージもまた多大。先の手の傷も相まりもはや"ひんし"寸前といってもよい。
「(これじゃ戦闘なんて無理だ……!)ゴウカザル、一旦ボールに戻っ——」
傷だらけで荒い息を吐く相棒の姿にこれ以上の戦闘は不可能と判断したショウ。
彼女はゴウカザルを戻そうとボールを取り出して——しかし。
(————ッ!!)
ブワリ、と肌が粟立つ感覚がショウを襲う。
まるで背中に氷柱を差し込まれたような冷たさと肌を火で
矛盾した表現でありながら、しかしこの気配を表すのにこれほど相応しいものはない。
それは、ヒスイ地方を巡る調査の日々でショウが幾度となく感じた気配。
——生命を脅かす、"死"の気配だった。
彼女の脳内に鳴り響く生存本能の警告音。
それの指し示すまま気配の発する方向へ振り向いたショウ。
移った視線の先、捉えたのは。
——がああああ……!
(あれは、まさか……!!)
大地に四肢を押し付け、姿勢を低くし佇むエンテイ。
不動でありながらもその身からは、焼け付くような
どこか覚えのある
『巨木の戦場』を焼き尽くす
地獄の只中に君臨する蒼き炎を纏った羅刹。
瞬間、ショウは直感的に悟る。
あれは先の戦いにて
(止めなきゃ……!)
紛れもない大技の予兆。このまま放置すれば戦いは先の二の舞となりかねない。
故に何としてもエンテイの
幸いにしてショウはそのための手立てを持っていた。
だが——。
(でも、ゴウカザルがこれじゃあ……!)
大技を繰り出す溜め動作中に許容量を超えるダメージを叩き込むことで力を暴発させる。
それこそがこれまでの戦いを経てショウの編み出した対三聖獣用の必勝の策。
しかし、その実行役たるゴウカザルは先の戦闘で負傷し、既にひんし寸前の状態。
果たしてこの状態で三聖獣を怯ませるほどの一撃を放つことが出来るのか。
だが、先の戦いから察するに
その間に別の手立てを見つけ実行するなど、とてもでないが不可能だ。
"一体どうすれば"とショウが焦りを覚えた、その時であった。
——うぃき……!
「ゴウカザル!?」
ショウの目の前、荒い息を吐きながら沈黙していたゴウカザルがゆっくりと立ち上がり、エンテイへ向かって歩み始めたのだ。
「何してるの!? その傷じゃとても戦いなんて……!!」
傷つき弱り切った体でエンテイに立ち向かおうとする相棒の姿に思わず制止の言葉を投げかけたショウ。
彼女の言葉に足を止めたゴウカザルは、振り返って視線を合わせると、一声"うき"と鳴いた。
さながら、"自分に任せろ"とでも言うかのように。
「ゴウカザル、あなた……」
こちらを見るゴウカザルの瞳には強い決意の光が宿っているのが見て取れる。
すでにゴウカザルは覚悟を決めているのだ。
ならば相棒たる自分はどうすべきか……答えは一つだった。
「——分かった。信じるよ……!」
戦に臨む相棒ともう一度しっかと目を合わせ、僅かの逡巡の後に激励の言葉を送る。
果たしてその言葉にゴウカザルは"ニヤ"と僅かに口角を上げることで応えたのであった。
——ういっきいぃ!!
信頼するパートナーの激励を背にゴウカザルは駆け出す。
目指すは陥没痕の中心に座す、漆黒のエンテイ。
ゴウカザルの全身は傷だらけでボロボロ、体力だってそれほど残っていない。
それでも闘志は未だ一切の衰えを見せず、むしろますますとして燃え盛っていた。
ズタボロの肉体を闘志で以って動かし、ぐいと拳を構えたゴウカザル。
瞬間、両脚で力強く地面を蹴り出し、刹那の間で以ってエンテイへと肉薄する。
"早業"【マッハパンチ】
——がえっ!?
その顔面に瞬息の拳が突き刺さり、僅かに集中を途切れさせてしまう。
結果、生まれた意識の乱れがエンテイの
与えられた時間は、ほんの刹那。
それだけあれば、十分だった。
——うっっきいぃぃぃぃ!!
【マッハパンチ】を放った勢いのままエンテイへと組み付くゴウカザル。
無事な片手をぐるりとエンテイの首へと回し、決して離れないように固定する。
同時に体内を巡る炎エネルギーを全力開放、総身から激しい炎を噴き出した。
繰り出される
天上をも焼き尽くす業火の柱。それは遥か未来において、"炎の究極技"と冠されし大技。
その名を——
——がるるおおおおああああああ!?
身を襲う桁違いの熱量から逃れんと体を動かすも、身を絡めとるゴウカザルの業前から逃れることは出来ず。
加え
それどころかガスの噴出孔から炎が逆流し、内臓に無視できないダメージを与えていく始末であった。
仇を滅ぼす筈の
あるいはそれこそが身の丈に合わぬ力を得てしまった自らへの報いであったか。
どこか覚えのある紅き炎に焼かれながら、エンテイの心中にふとそんな考えが過ぎって——。
——刹那、その意識を紅蓮の焔に沈めたのであった。
エンテイ(???の姿)
分類:かさいポケモン
『
タイプ:いわ
特性:もらいび
牙や毛皮には黒曜石の成分が含まれており、擦り合わせるとバチバチと火花が散る。
体内で作りだしたガスを四肢から噴射し大ジャンプ。ひとっとびで山をも越える。
専用技:
【おにおしだし(鬼押し出し)】タイプ:いわ 威力100 命中100 物理 単体
高熱を帯びた体で相手に突撃する。相手をやけど状態にすることもある。
※50%の確率で相手をやけど状態+20%の確率で怯み効果。
【かしょうさんまい(火生三昧)】タイプ:ほのお 威力150 命中100 特殊 全体
全身から炎を激しく噴き出す。自分もダメージを受ける。使用後、姿が変わる。
※自身のHPを最大HPの1/2に減少させ、「そうげんのらせつ」にフォルムチェンジする。
※一度の戦闘で一回のみ使用可能(PP1)。
『
タイプ:いわ・ほのお
特性:ごうかのかご(※「こうげき」が1.5倍になる代わりに毎ターン最大HPの1/8ダメージを受ける)
命の危険を感じると全身に炎を纏ってフォルムチェンジ。圧倒的な力で敵をねじ伏せる。
体に纏う蒼い炎はタテガミに蓄えた硫黄が由来。走り去った痕にはぺんぺん草も残らない。
専用技:
【かさい・おにおしだし(火災・鬼押し出し)】タイプ:いわ 威力130 命中100 物理 全体
巨大な火砕流に相手を呑み込んで攻撃する。
※『そうげんのらせつ』にFCした状態で【おにおしだし】から変化。
■■■■から得た炎はエンテイに無双の力を与えた。
——しかし同時に、それは罪を犯した彼の身を焼く咎責の炎でもあった。
爆発音とともに『ハマナスの島』に巨大な火柱が上がる。
轟音とともに熱風が押し寄せ、ショウは咄嗟に顔を覆った。
「——ッ!!」
そのまま待つことしばし。天高く立ち昇った火柱が消え去ったのを見るや、すぐさま爆心地に向け駆けだす。
「ゴウカザル!」
内心に思うのは先の火柱を作りだした相棒のこと。
技を発動させた当人といえども、あれほどの威力の爆発だ。万が一ということもあり得る。
決して
相棒の無事を願いつつ、爆心地へとたどり着いたショウ。
そのまま黒く焦げた地面を見渡せば、火柱の中心であったであろう場所に倒れ伏す相棒の姿を見つけた。
「!! ゴウカザル!!」
地に伏せ、ぴくりとも動かぬゴウカザルの姿。
脳内に最悪の予感が過ぎり、ショウは全速力で相棒の傍へと駆け寄った。
「ゴウカザル、大丈夫!? しっかりして!!」
——うぃきぃ……
動かぬゴウカザルの傍により、ショウは必死の声で無事かと呼びかける。
幸いにして命は助かったのか、ゴウカザルは弱々しい声であるが呼びかけに答えてくれた。
(よかった……)
大切な相棒が何とか一命を取り留めたことに安堵し、ショウはホッと胸を撫で下ろす。
しかし先の爆発のダメージの所為か、ゴウカザルは完全にひんしの状態。これ以上の戦闘は不可能であった。
「ありがとう、ゴウカザル。ゆっくり休んで」
自らの負傷も顧みず、ひんし状態となるまで奮闘してくれた相棒へ労いの言葉を掛けながらボールへ戻すショウ。
「後は、私の仕事だから」
相棒を格納したボールをポーチに仕舞い、代わって三聖獣を捕えるための
次いでマスターボールを手にし振り向いたショウは視線の先に焼け焦げた地面に倒れるエンテイを見据えながら、一歩一歩と近づいていく。
地に伏したエンテイは完全に沈黙し、動く気配は微塵もない。それでも慎重に——万が一にも起こすことのないように——ソロリソロリを近づくショウ。
そうしてボールを確実に当てられる距離までに接近すると、そこでようやくエンテイを捕獲せんと、手にしたマスターボールを振りかぶる。
(これで『百獣夜行』は……ヒスイを襲う災厄は)
"終わる"、とショウがボールを投げ放たんとした——その時であった。
(——!!)
ゾクリと、ショウの背筋に悪寒が走る。
感じ取った不吉な気配。まるで生命を根こそぎ吸い取られるかのような悍ましい感覚が彼女を襲う。
ヒスイを駆け巡り、数多の冒険を経て鍛え抜かれたショウの危機察知能力が警鐘を鳴らす。
「——シッ!」
本能の呼び声が示すまま、ショウは素早くその場から飛び退る。
"ここに居ては危険だ"……彼女の直感が、そう告げていた。
——果たしてその直感は的中する。
「……な!?」
ショウが身を退いた、その刹那。倒れ伏すエンテイの肉体から突如としてドス黒い
黒い
やがて不定形であった筈の霊気はいつしか、まるで翼を広げた巨大な鳥のような姿となっていた。
「なに……あれ……!?」
それは目も鼻も口も、生命にとって必要なあらゆる要素が存在しない——ドス黒い
総身からは悍ましい気配が溢れ出し、ただ在るだけで周囲に抗い難い「狂気」を振りまいていた。
あまりにも不吉で、あまりにも異質なその存在を前にショウは思わず絶句する。
あれはポケモンではない。
いや、そもそも生命ですらない。
——あんなものが
目の前で蠢く悍ましいナニカに戦慄し、茫然と見上げるショウ。
やがて影の鳥はゆっくりとその嘴——にあたるであろう部分——を開き。
身の毛もよだつ悍ましき雄叫びを上げたのだった。
名のみたつ死出のたおさは今ぞ鳴く
贄はいずこと荒ぶりたれば