「いやーワリィワリィ、てっきり落ちてるもんかと思った」
「食料積んだ船が流れてきて誰もいないわけねぇだろ・・・・・・」
「焼き魚も勝手に生えて来たもんだと」
「焼き魚が生えてくるか!」
浜辺に止めている小舟の近くに、焚火と飯様に焼いていた魚があったのだが、それもコイツに喰われた。
焼き魚が生えてくるってどういう発想だ。
俺と同じく遭難者らしく、蹴っ飛ばした後仕方なしに食事を恵んでやった。
「で、お前一人なのか?」
「おう」
共に白浜で焚火の前に座って、俺が恵んだ骨付き肉を頬張りながら麦わら男は頷く。
「いやー、船で昼寝してて気が付いたらこの島で寝てたんだよなー。不思議だ」
「寝てる間に遭難したのかよ・・・・・・」
この男ヤベェ、格別のアホだ。
「船もどっかいっちまったしな」
「遭難したんだ。今頃、海の底に沈んでデービー・ジョーンズのモノだろうよ」
デービー・ジョーンズは、昔の海賊の名だ。
悪魔に呪われて、今でも海の底で生きているという伝説がある。
ま、伝説だから本当に生きているかどうかは知らないが。
「ま、良かったじゃねぇか。俺が今日の内に島に来て。おかげで何日も無人島暮らししなくて済んだだろ」
「いや、おれ此処に来て7日目だ」
この男ヤベェ・・・ダンチにヤベェ・・・・・・。
「・・・・・・お前、よく今日まで生き抜いたな」
「昔じいちゃんに崖から突き落とされた時よりかは大丈夫だな」
「どんなじいちゃんだ・・・・・・」
血筋からしてヤベェのか。
「島から出ようとしたけど、イカダが上手く作れなくてよ」
「海に出る事すら出来てなかったのかよ・・・・・・」
コイツ、俺がこの島に来なかったらどうするつもりだったんだろうか。
「だからこの船に乗せてくれ!」
「ま、別にいいけどよ」
俺の船は小舟で一応一人用のつもりだが、生活出来るだけの空間はある。
乗組員を一人追加するくらいはどうってことはない。
「あー、でもその前に宝見つけないとな」
「宝?・・・・・・あー・・・」
麦わら男が何の目的でこの島に来たのかが分かった。
そして、どういう輩なのかも。
「見つかったのか?」
「いんや・・・・・・何か知ってんのか?」
「噂だけな」
この島には昔からお宝が眠っているという噂がある。
だが、誰もそれを見つけた奴はいない。
ま、島に入ったら基本的に脱出不可能だから、本当に噂だけなんだろう。
この島そこまでデカくないし。
「そういや、まだお前の名前聞いてなかったな」
「ん?」
肉を食いきって骨をバリボリ噛み砕き、麦わら男が立ちあがりそう言った。
「おれはモンキー・D・ルフィ・・・・・・海賊だ」
「モンキー・D・・・・・・?」
海賊であることに驚きはない。
今時珍しくもないし、こんな島に宝探しに来るのは海賊くらいだからだ。
俺が引っかかったのは寧ろ・・・・・・名前。
「ルフィ?」
「おう!」
「・・・・・・故郷は?」
「フーシャ村だ」
言われて、俺は古い記憶を呼び起こす。
そうだ、確か10年位前・・・・・・。
「お前は何て言うんだ?」
「俺は・・・・・・」
確かに、面影がある。
海軍の英雄に連れられて暫く暮らした島で紹介された、その海兵の孫に。
「・・・・・・クレスだ」
「クレス・・・・・・?」
言ってルフィは首を傾げて俺の眼を見る。
そして「んん~???」と唸り始めた。
「おれの知ってる奴と同じ名前だな。あんま似てねぇけど」
「本人だ」
言うと「えええぇぇぇぇ~っ!?」とオーバーリアクション。
段々記憶が蘇ってきた。
昔と変わらず煩い奴だな。
「お前、ホントにクレスか!?」
「ああ」
「じいちゃんが村に連れてきた!?」
「ああ」
「シャンクスの船に忍び込んだりしてた!?」
「ああ」
「おれとウタと一緒に遊んだ!?」
「そうだ」
「おれとの勝負に負け続けた!?」
「それはお前の妄想だな、お前に負けた事なんざねーよ」
どんな覚え方してんだコイツは。
「ハァ~、変われば変わるもんだな。何類だ?」
「人類だバカヤロー」
「背もかなりデカくなったなぁ」
「10年も経てばな」
当時の俺は12歳で、コイツは7歳だったか。
元々俺の方が身長は上だったが。
「けど、こんな所で何してたんだ? シャンクス達とフーシャ村で別れた後、クレスって確か爺ちゃんに連れられて海兵になったんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
そうだ。俺は海軍に所属していた。
ガープに連れられて海兵になったのは、シャンクス達と別れた後。
そして・・・・・・
「海軍は辞めたよ、去年な」
「そうなのか? 何で?」
「・・・・・・色々あったんだよ」
懐からタバコとライターを取り出し、火を点けて一服。
胸の内に湧き上がってくるモヤを紫煙と共に吐き出した。
そんな俺を何が面白いのかジッとルフィは見てきて、
「じゃあさ、クレスって今暇か?」
「あ? ま、暇っちゃ暇だが・・・・・・」
別に目的なんざねぇし。
「じゃあさ、おれと一緒に海賊やろう!」
「何でだよ」
何が「じゃあ」なのか。
「昔話したんだから知ってんだろ、俺は海賊は嫌いだ」
「知ってる。家族を殺されたんだろ」
もう十年以上も昔・・・俺が5歳くらいの頃に両親・・・・・・いや、当時島で暮らしていた人達の殆んどは海賊に殺された。
「それ知ってんなら——————」
「シャンクス達とは仲良かったじゃん」
「——————あいつらは数少ない例外だっての」
あの赤髪や一部のやつらは海賊でありながらある程度の筋を通して生きているが、世の殆んどの海賊は無法者だ。
そんな犯罪者に誰が好き好んで・・・・・・。
「赤髪も昔言ってただろ、海賊になんてなるもんじゃないってよ」
「けど、海賊に興味あったからシャンクスの船に忍び込んだりしてたんじゃねーのか?」
「・・・・・・お前、ホント妙に鋭いよな」
確かに海賊に対して少しばかりの興味を示したことはあった。
「それに海賊にはなろうと思えばいつでもなれるってシャンクスも言ってただろ」
確かに言ってたな。
赤髪達を視て、俺が海兵になるか考えていた頃に。
「ならよ、海兵辞めたんならなれるだろ!」
「なる理由が特にネェナ」
「理由ならあるだろ!」
「あん?」
「小さい頃は海に出て冒険して本を出したいと思ってたって! それをやろう‼」
「・・・・・・よく覚えてんな」
確かに言った。
コイツともう一人と一緒に遊んでた時、小さい頃は『ブラッグメン』の様な冒険をして本を出すのだのと。
そんなことを幼馴染み等と話してたってことを、ポロっと口にしたことがある。
「確かに、そんな夢を見てたこともあったな・・・・・・」
「夢見るんじゃなくてよ、叶えよう! おれと海に出て‼」
言って、ルフィは手を出した。
その気があるなら手を取れってことか。
「・・・・・・俺は————————————」
ルフィの手を
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とって麦わらの一味になる
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とらずに自分の海賊団を作る