ONE PIECE~とある男の冒険日誌~   作:神爪 勇人

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第4話 とある男の冒険の始まり

 

ハアァァァー・・・・・・と、紫煙を深々と上に向けて吐き出す。

 

「・・・・・・お前との冒険か」

「おう! 海賊王の冒険だぞ、絶対ワクワクな冒険記が書けるって‼」

「どーいう自信だよ」

 

根拠なんてまるで無い言葉に俺は鼻で笑い、プッと煙草を吐き棄てる。

 

「だが、ま・・・・・・良いぜ」

 

火が灯ったままの煙草を足で踏みつぶし、砂浜に埋もれさせる。

仕方がない風に嘆息しつつ暇つぶしに興じるとしよう。

 

「そこまで言うなら付き合ってやるよ、お前の冒険に」

「ホントか!?」

「ああ」

 

ただしと、ルフィの手を取りつつ宣言する。

 

「俺が冒険記を書くんだ。ちんけな海賊団の冒険なんざ御免だぜ? 書くんなら最強の海賊団の冒険記だ‼ もしテメェが船長として不甲斐無いことしやがったら、即刻俺と代わってもらうぜ!?」

「ししししっ‼ おう! いいぞ‼ んなことしねーけど‼‼」

 

この運命の出会いの日が、俺達の海賊人生の幕開けだった。

 

◆◆◆

 

島の木材を使っての船の修理、そして食料と水の補充をルフィに手伝わせる。

大量に船に運び込もうとした時は慌てて止めたが、思っていたより早くこの島から脱出できそうだ。

 

「そんじゃあ、行くか」

「おーっし!」

 

船に積み切れなかった食料で宴会をやり、夜が明けた翌日に、俺達は島を発つ。

船は穏やかな波の上を滑るように走った。

島は遠ざかっていき、小さくなっていく。

 

「結局、お宝は見つかんなかったなぁー」

「ま、噂は噂だったんだろ」

 

最初からあの島には宝など無かったのだ。

だが、代わりのお宝は沢山あった。

あの島で朽ち果てた海賊たちが所持していたお宝である。

それを全て積んだ。

そういう意味では、あそこには確かに宝があったと言えよう。

言って俺は胸ポケットを漁り、煙草を一本取り出そうと、

 

「あ、切れてら」

 

したが、既に空だった。

コリャ、さっさと町かどっかで買い足しとかねぇとなーと考えている内に、どうやら沖に入ったようで波が高くなってきた。

船を追い返そうと海流がうねりを上げて襲い掛かり、船が揺れる。

普通の船なら波の影響で押し返されるのだろうが、俺は構わず進み続ける。

そして再び波が襲って来る。

さっきよりも強い波だ。

いよいよこの島の海域から脱出する手前まで来たのだ。

 

「このまま突っ切るぞー!」

「いや、このまま行くと転覆するな」

「んじゃ、どーすんだ?」

 

俺は背負っている大剣を抜剣し、宙へ放り投げる。

すると漆黒の大剣は見る見るうちに色と形を変えていき、その姿を顕わにする。

その姿は、御伽噺等で視る架空の存在。

 

赤色の体色をした、一匹の竜が宙を舞う。

 

「ええぇぇー!? 剣がドラゴンになったぞ!?」

「ドラゴンの実を食った剣だ」

「剣が悪魔の実を食ったのか!?」

「不思議だろ」

「不思議だっ‼」

 

翼を生やした足と腕がある竜。

そんなドラゴンに姿を変えた剣は、両足で船を掴んで空を飛び、船首が浮き上がったその刹那、船は海の蟻地獄を跳び越え宙を舞っていた。

一緒に舞い上がった波飛沫が、陽の光を浴びて輝いた。

コレが、俺達の冒険の始まり。

ルフィは胸を張り、堂々と前を見据えながら、無邪気に笑い、拳を天に突き上げる。

そして、遥かな高みへと決意の言葉を口にした。

 

「海賊王に、おれはなる!」

 

空は快晴。

目指すは『偉大なる航路(グランドライン)』。

いずれ全世界を騒がす『麦わら海賊団』。

まだ2人だけの、とても海賊団とは呼べない『麦わら海賊団』の伝説は、此処から始まるのだ。

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