三流決闘者は推しの夢を見る   作:狐腹劇場

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デュエル描写が無いと半分くらいに文字数が減ってしまった
説明分だけなら1話とくっつけてもよかったかなぁと思いながらの2話目です

ゆったりどうぞ


2.意地で負け積む恥っかき

チンピラ撃破後

気絶した相手を放置して公園で一休みしながら改めてアタシのデッキを確認する

 

便宜上分類するならこのデッキは【炎王ユベル】にあたる

デッキの中核に敢えて座らせているユベル3形態は各2枚づつ

除外で頭や中が抜かれるとどうしようもなくなるのでこの6枚は個人的には必須だ

炎王以外にもあれこれとアタシなりのスパイスは加えてあるがアプリのトップ帯、採用率の高いデッキと当たれば手も足も出ない

 

復帰後に調べてみたところ、現代遊戯王の基本は【手札誘発】による相手を先んじて制するカードをうまく使う事にあるらしい

【灰流うらら】【無限泡影】【墓穴の指名者】【抹殺の指名者】【原始生命態ニビル】あたりがよく使われるとの事

【増殖するG】は直接的な妨害ではないが相手の特殊召喚の度に1ドローと来たら展開を止めることも考えてしまう

デッキによってはこれらを9~15枚積んで戦うそうだ

 

そのために求められるのは1枚の手札から動けるカードパワー

キーカード1枚から手札を減らさず、なんなら増やしながら盤面に強力かつ相手を妨害するモンスターを立てる

そんなえげつないパワーを持ったカードが好まれる

 

その点アタシのデッキはダメダメだ

まず必須と言い切ったユベルが展開という意味でのカードパワーが無い

ユベルを召喚・進化、そして戦闘に生かすために専用のギミックを仕込む必要も出てくる

そんな事をしていれば手札誘発系のカードを入れる隙間なんて一つもないのだ

 

多分現代のデッキ構築の仕方は

【エースを生かす為のデッキ】

から

【相手を妨害するカードを積んだうえで動けるデッキ】

に変わってしまったのだと思う

いや、もしかしたら10年前のあのショップ大会でコテンパンに負かされた時から

勝負の為のデッキ構築はそうだったのかもしれないけどね

 

まぁその結果、どのデッキも最終的に同じカードが出てきたり

使ってるデッキがみんな同じになったり

誰かが作った強いデッキを使って勝てるなら自分でデッキを考えなくてもいい

なんて事になったりしてたわけだけどあっちの世界じゃ

 

「それでもアタシはやっぱりエースを活かすデッキを作りたい」

「まぁ、負けたら終わりみたいな場所でデュエルしてたらそうも言ってられないんだろうけどね」

もしかしたらこの世界は現代決闘者にこそ、うってつけなのかもしれない

だって負けたらカードを取られたり、最悪オカルトじみた相手なら死ぬことになるかもしれないし

だいたいデッド・コピーの連中だってどこまでやらかしてくるか解ったもんじゃないし

 

「……そういえばデッド・コピーの連中って初期のグールズみたいなもんかな?」

あいつらも窃盗の他に模造・密造カードの売買なんてことをやってたような?

マリクがラーのコピーでリシドを大変な目にあわせてたりしてたはず…

 

「で…こっちのアタシはそんな連中の一員だったっぽいよねぇ」

さっきのチンピラはアタシがあいつらのカードを持ち出したって言ってたんだよねぇ

問題はデッキの中身を確認してもどれがそのカードなのか解んないし

なんならそんな価値のあるカードなんて入ってないよこのデッキ

 

「ユベル。あいつらの作るコピーカードって多分レアカードばっかじゃないよね」

ふと疑問に思ったのでユベルに聞いてみる

 

『それはそうなんじゃないか?ブルーアイズのような誰が見ても激レアとわかるカードばかり作っても簡単には売れないだろう』

『それなりに金になりつつ顧客の欲しがるカードをコピーするほうが小遣い稼ぎにはちょうどいいんじゃないかな?』

だよねぇ

予想通りの答えでなんとも

 

ん?小遣い稼ぎ?

デッド・コピーは金が欲しくてコピーカードを作ってるのかな?

この世界のテキストとは違う、あっちの世界のテキストで書かれたアタシのユベル

もしかしてこのカードもコピーカードなんだとしたら…

 

そこまで考えた時、目の前に小学生くらいの子供たちが集まっているのに気が付いた

 

「えっと、なにかな?」

「おばちゃんデッキの調整中なの?」

 

お、おば……うん、そうだよね…君らみたいな子供から見たら24歳は立派なおばさんだよねぇ

なんなら高校の頃の友人は結婚してるし娘も居るくらいだし

と、いうかデッキの調整中かを聞く前に昼間からカードをいじってる事を…ってそうか

住民登録のためにデッキを登録しなきゃいけないような世界だっけ

いつからだっけ?さすが社長。狂ってやがりますわ

 

「ねぇねぇおばちゃん。折角だから1戦やろうよ!」

別な子が前のめりでグイグイ来る

あ~この感じ

カードショップで急に話しかけてくる陽の者感あるわぁ

世界的に当然だからかあっちの世界より断然さわやかだけど

 

『いいんじゃない?やるか、やられるか。みたいなデュエルよりよっぽどマシじゃないか』

『キミはそういうほうが気楽なんだろ?子供たちの期待に応えてやると良いさ。おばさん』

おもしろそうに煽るユベルの声が聞こえる

うん、正面から煽られてなくてよかった

小学生達に虚空に向かってつかみかかるヤバい大人の姿を見せる所だった

 

「ん~~、OK。じゃあちょっとだけ相手してもらおうかな」

ちょうど木のテーブルもあることだしそこでやろう

デュエルディスクはお休みで

 

「じゃあデッキをシャッフルしなおして…」

 

「「デュエル!」」

 

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数時間後

 

「じゃーねー!またやろうねおばちゃ~ん」

「う、うん。またねぇ」

 

『キミ…ほんと弱いね』

ものの見事に全敗した…

2ケタ負けを積み上げた

 

「言い訳を…させてください」

『言ってみなよ』

「このデッキ、バランス調整前の仮組み状態なんです」

それになにより小学生達の使用デッキ!

親の仇よりもよく見たデッキがそろい踏みだったよ

 

1戦目・小学生A:ふわんだりいず先攻

淀みなく【烈風の結界像】を出され、風属性がほぼほぼないデッキでは何もできずにそのまま

ははは…相手が鳥獣族なのにヤキトリになったのはアタシだったよ(白目)

 

2戦目・小学生B:相剣先攻

普通にやっても相剣シンクロがぱっと並んだ上に4000ライフに対して1200バーンはかなりマズイです

てか、シンクロ普通に使ってくるんだ

どういう時間軸なんだろ今(@@)

 

3戦目・小学生C:サイバー流後攻

先攻アタシの手札が

・ユベル1.2.3 真竜皇アグニマズドV 炎王円環

ターンエンドで回すほかなく秒で吹き飛ばされました

サイコ流にしろサイバー流にしろ道場があるくらいだからポピュラーなんだろうなぁ

小学校から柔道習ってました的なやつかもしれないねぇ(現実逃避)

 

etsets…

これでもかってくらいにサンドバッグにされたわけで

「いやぁ、最近の小学生って強いのねぇ」

『あのチンピラに言ってたセリフがそのまま帰ってきてるよ?カードに振り回される三流決闘者ってね』

解ってるので追い打ちかけるのはやめてぇ、やめてぇ

だれだよイキってそんなセリフ吐いた馬鹿は!アタシだよ!

 

「いいもん。負けて失うものなんて無いもん。ただちょっとなさけない気分になるだけで」

いけない…幼児退行してしまう

誰が好き好んで二十歳過ぎのおこちゃまを喜ぶというのか

 

「とりあえず急務はデッキの再構築と十代君の捜索の続きね」

数回深呼吸をして気持ちを切り替え、ユベルに向き直る

 

「あっちの記憶では十代君は卒業後はあちこちで旅をしながらデュエルモンスターズ絡みの事件に首を突っ込んでる可能性があるっぽいような考察がされてたはず」

はい、確か詳しい話はなくってそうじゃないかな?みたいな話しかないんだよね

劇場版でパラドックスとやりあった時に二十代くらいに成長してた気がしたけど

アニメ版ラスト方の二十代(十代)よりも子供っぽくなってたのはラストでデュエルを楽しむ心を思い出したからだっけ?

 

うん、思考が逸れた

ただそんな旅がらすというか根無し草というか

そんな生活を続けていたんじゃ闇雲に探すのはムリゲーだよねぇ

過去の恩師に連絡を取ることもしてないんだろうなぁ

アカデミアに立ち寄るのも無意味かな?

ついでにクロノス先生とお手合わせ出来たりしないかな~?とかちょっと期待してたんだけどなぁ

 

「ほんとに事件に対して首突っ込み体質ならデッド・コピーといざこざ起こしてたら会えるかもだけど」

アタシの腕じゃそれも厳しいし

見栄張ってユベルに十代君を会わせるなんて言ってしまったけど…

どうしよう

正直詰んでる気がする…

 

ぐるぐる回る思考に頭を抱えているとユベルに声をかけられる

『おや?キミ意外とモテるね。次のお客さんだよ』

 

「そこのお姉さん。僕とデュエルしませんか?」

その声に顔を上げると中学生くらいの男の子が一人

デュエルディスクを構えて立っていた

 

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to be next Duel




次回はデュエル描写ありの為
間が空きます
ゆったりとお待ちください
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