三流決闘者は推しの夢を見る   作:狐腹劇場

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今回実家のバタバタにより執筆ペースが落ちており、かなり短い文章となっております。
大変申し訳ございませんがご了承下さい。

それでは今回もゆったりとどうぞ


8.晴れの ち の雨

カッ飛んで行く外の景色を目の端で追いながらデッキを弄る

列車なんて普段はそう乗らないけど座席にテーブルが付いてるのか

そういえば学生時代、修学旅行で隣のグループがテーブル出して楽しそうにトランプしてたっけ?

ん?()()だよ?

だって学生時代のアタシ限りなくぼっちに近かったもの

 

散々亜守さんとやりあってから数日後、()()幾らかのカードも譲ってもらい

更にはデッド・コピー達のたまり場の一つを教えて貰った

その場所に向かうために列車に乗りながら延々デッキの研鑽に努める

 

ちなみに亜守さんに数十連敗したあたりで『やっぱやめといたほうが良いんじゃねぇかな?』とかスゴイ・シツレイな事も言われたけど

 

『言われても仕方ないんじゃないかな?初手の手札事故で何度無様を晒したのやら』

『コンボパーツが多すぎて重たいんだよキミのデッキ』

 

「ユベルがそれ(重すぎ)を言う?」

 

超融合神召喚の為に1~12レベル全融合とか無理とか不可能とかいうレベルじゃ無いデッキ使ってたくせに

特に【炎獄魔人ヘル・バーナー 】と【ゲート・ガーディアン】がひどい

どうやって動かすつもりだったのよアレ

 

『ふん…それで?今後はどっちのデッキを使って行くんだい?』

 

「ん~…一応【炎王】のほうが現状の完成度は高いはずなんだけど…」

 

亜守さんの店のカードを漁って、ある程度は完成に近づいたデッキを手に取る

三幻魔は当然見つからなかったのでその分を構想で練ってたカードに入れ替えた

現状でどうなるか、何度か回してみたい気持ちが大きい

 

シャッフル…カット…5枚づつの山に分けてそれぞれを確認

全てが初期手札とした際に事故のパターンを把握

うん。やっぱりこっちのデッキのほうができる事が多い

相変わらず先攻制圧はできないけど…

 

そしてできる事が多い分、炎王に比べても事故率が…いや、とんでもない事故札があるわ

 

ユベル(Ritter)1枚とユベル(Drachen)が2枚とか

稀によく見る愛の重すぎる手札だぁ

 

『どうしてキミは此処まで極端なのかな?』

 

「うん…アタシが聞きたい」

 

神様…アタシは何か悪いことをしましたか?

とはいえ【ユベル】と一緒に戦うと決めた時点である程度ピーキーなのはしょうがない

アタシはどうにも強いデッキで勝つのがモチベにならない人種なのでそこは諦めてる

 

というかこのデッキだってアレやらコレやらを弄って拘りを捨てればもう少し(いやらしい)(けたくそわるい)ナイ(なにもさせない)盤面もある程度とはいえ作れる

だけどそのルートってつまるとこ【ユベル】を踏み台にしちゃって、最終盤面にユベルの姿が居なくなるんだよねぇ

並び立ってサポートしてもらうならまだしも、コンボ始動カードのようにユベルを使う気はちょっとな~

 

『ちょっと考えが粘着質じゃないかい?僕が入っている。僕を使っている。その時点で満足すればいいのに』

 

「解ってるけどさ。エースをエースとして使うのも決闘者の腕ってことで一つ」

 

まぁそこまで拘っても実際炎王にしろこっちのデッキにしろ

ユベルが一切出てこないうちに勝負が決まっちゃう事だってあるわけだけど…

 

「まぁ、理由にはなんないけどこっちのデッキを少し使ってくよ。炎王はしばしお休み」

 

『わざわざ出来損ないを使いたがるなんて、ほんとおかしな奴だねキミ』

 

「まぁね…復帰後に作ってからずっとこのデッキばっかりブラッシュアップしてたから思い入れがね」

「何度も負けて、何度も先攻制圧にすりつぶされて、何度も事故って」

「それでもその度にマイナーチェンジを繰り返してってね」

「だからなんて言うのかな?その分やっぱり経験値?は、多いと思うのよね」

「使用できないカードがあってもそれを別なカードでってある程度想像できる程度には、ね?」

 

『色々疑問形にならなきゃいけないくらい自信ないみたいだけどね』

 

デッキをまとめて炎王をケースに、今しがた調整を終えたデッキをデュエルディスクにセットする

 

『おや、気づいてたのかい?』

 

「そりゃあれだけこっち見てればねぇ…男子のチラ見は女の子から言わせればガン見だもの」

 

わざわざ列車の中でまで遭遇戦になるとは思ってなかったけどね

アタシの席から二つ進行方向側の向かい側

見るからに挙動不審なタンクトップの男

ついでにユベルが女の子?とか言ってる気がするけど聞こえない聞こえない

 

「そこのおにーさん?アタシに用事があるならそろそろお話しませんか?デッキが組みあがるまで待たせたみたいだし」

 

声をかけると一瞬たじろぐような仕草をしてから席を立つタンクトップ姿の男

ゆっくりと近寄ってくるタンクトップ姿に呼応するように立ち上がりデュエルの体勢を…

 

『違う!後ろだ!!』

 

え?

ユベルの声に振り返った瞬間、額にとんでもない衝撃

鉄臭い匂いが鼻につく

 

あ……もしかして、アタシ今なんか硬いもので殴られ…………

 

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『おい!返事をするんだ!目を開けろ!』

『何が起きたか把握できてるかい?』

『キミは後ろから来たもう一人の男に鉄の警棒で殴られたんだ。聞こえててるかい?』

 

声をかけたのがまずかったかな?

タンクトップの男とは対照的にスーツの男が隣の車両から入ってきた

反射的に振り返ったせいで額を割られてしまったみたいだね…出血がひどい

後頭部に無防備で受けるよりはダメージが無いと信じたいけど

 

「まじかよ!死んでねぇだろなコイツ!?」

 

「ごちゃごちゃうるさいぞ囮。こいつがおかしな行動をとる前に殴って黙らせていればこんな手間は必要なかったんだ」

「大体お前の尾行がバレバレだからこんなところで襲撃をする羽目になったんだろうが」

 

当然だけどデッド・コピーの人間だね

デュエルに持ち込むこともせずに暴力で解決とは…

あのショップの店員みたいなのも居ると思えば、下は下でとんでもないのが居るみたいだね

 

『意識はあるかい?このままじゃキミ、何もせずにいきなり終わりだよ?』

 

反応がない…か

 

「おい、さっさと運ぶぞ。次の駅で降ろしてたまり場に拉致するんだ」

 

そういえばこの車両、あのタンクトップ以外は誰も居なかったね

尾行に気づいたのは列車に乗る辺りからだけど…どうやらもっと前々から睨まれてたらしいね

 

『仕方ないか…少しキミの体を借りるとしよう』

 

彼女の身体に僕を重ねて目を閉じる

1つ2つ呼吸をするうちに額が不快感に襲われる

 

うん…これは痛み()とは違う…只々不快なだけだ…ね

 

「ん?…な、こいつ意識が!?」

 

目を開ける…

同時に彼女の目も開く

額でガンガンと鳴り響く不快感に左手を添えるとべっとりと赤黒い血がついている

 

「『決闘者の風上にも置けない奴らだね』」

 

拭うように、殴られた衝撃で乱れた髪を血に濡れた手で書き上げて整える

どうやら傷自体はそこまで大きくない

この体にある知識によると、頭部の傷は出血が多くなりやすいのか

なるほど…それで大けがに見えると

それでも脳に損傷があれば人間(キミ)は壊れるだろ?

 

「なんであの一撃で意識があるんだ!」

 

「『答えてあげる義務はないね…デッド・コピーとはいえ、キミ等は決闘者だろう』」

「『それがこんな手で女の子1人をさらおうだなんてね』」

「『キミ等にはお仕置きが必要だね』」

 

列車を黒く染める、記憶に眠る闇を開放する

 

「何を言って…なんだ?列車内が急に薄暗く!?おい、隣の車両に…」

 

「だめだ!扉が開かねぇ!何だってんだコレ!?」

 

「『言っただろう?お仕置きさ。《闇のゲーム》って聞いた事はあるかな?』」

「『まぁ…どこかの王サマ達ほどきつい事はしないさ』」

「『まずは…』」

 

「ぐぅ!?頭が!!」

 

「い、痛ぇッ!」

 

「『痛覚の共有。この車両内の肉体が受ける痛覚は全員に共有される』」

「『当然、今この体が受けている怪我もね』」

「『ここから出たければ僕にデュエルで勝つことだ』」

「『簡単な話だろう?』」

 

「くそ…なんだってこんな事に…お前がこんな手段を使うから!」

 

「黙れ囮風情が!余計な芽を摘む事の何が悪い!」

 

悪いが虫の居所が悪いんだ…

彼女のデッキをそのまま使ってあげるほど僕は優しくない

彼女の記憶にあるカード…彼女が持つ拘りを無視した戦術…

 

「『二人同時に相手をしてあげるよ』」

 

その全てでキミ達を蹂躙してあげよう

 

「『さぁ、本当の意味で痛みを分かちあおうか…』」

 

「ふざけた事を」

 

「こんなおかしな事…普通じゃねぇ…」

 

「「『デュエル!』」」

 




諸事情により投稿頻度が落ちます
週2.3を目途にしていたのですが前書きでも言った通り実家がバタバタしており週2も厳しくなってしまいました。

何とか週1は投稿を続ける予定ではありますので
今度ともよろしくお願いいたします

それでは、次回までゆったりとお待ちください
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