最強の覇気使い(なる予定の)男の話 作:ハッピーエンドの話をしよう
ゴードンさんに連れられて行くウタの後ろ姿を眺める。不安や緊張といった感情をその身に纏うウタの姿は、いつもの様子と一変してどこかぎこちない。そんな姿を見て、俺は少し心配になった。
「ウタ‥‥」
「ピーターは心配か。ウタの事が」
「そりゃ、まぁ」
いつも俺達の前で歌う時とは違い、今日は俺達以外の大勢の人の前でも歌う。ウタとしてもこれは今回初の試みだ。だから、ウタを心配になるのだって仕方がないだろ。
そんなとき、背中を誰かに思いっきり叩かれた。
「‥いてぇよ。」
「どうだ、少しはきはまぎれたか?」
「‥まぁ多少はな」
そんな俺の返答を聞いた、シャンクスは笑顔を浮かべていた。
「なぁーに、ウタなら大丈夫だ!」
その笑顔は、娘の事を信じる父親のそれだった。
―――
一時間後、ウタのステージは無事に終わった。
やはり俺以外にもウタの事を心配している奴はいたが、それも杞憂に終わった。
序盤。ステージに入場してきた時のウタはそれはもう凄く緊張してるようだったが、演奏が始まると同時に、直ぐにそれも消え失せた。まるで、人格が入れ替わったかのようだった。その様子に俺以外に驚いている奴が何人かいる中、シャンクスだけは何かを考え込んでいた。
その後は序盤以上に盛り上がりを見せ、最後は俺達と一緒に考えて作り出したオリジナルの歌で締め括られた。
―――
ウタのステージ後、ゴードンさんによってパーティーが開かれた。パーティーということもあり、とても豪華な食事や、何千人も入れそうな位の広さを誇るこれまた豪華な部屋で開催された。部屋の奥には、先程までウタが歌っていた場所と比べれば一回り小さいだろう大きさのステージも存在していた。そしてそこに、ウタはいた。
何をやってるのかは分からないが、本人は満更でもないようなので俺は食事に専念する。
「随分と豪快な食いっぷりだな。」
「この国の料理が旨いんだから仕方ねぇだろ」
「違いねぇ」
ベックマンはグラスに残っていた酒を飲み干し、近くにいたメイドに酒を継いでもらっていた。
「どうだピーター。一杯飲んでみるか?」
「いや、いいよ。俺酒嫌いだし」
「そうか」
俺とベックマンは、共にステージにいるウタを見る。
「子供の成長ってのは、本当に早いもんだな」
「そうだな」
ウタが赤ちゃんの頃から知っているため、ついそんな言葉が口に出てしまう。それから俺とベックマンは、ステージのウタの事を見ながら、ウタ関連の話をし続けていた。
そんな、ある時だった。
エレジアに魔王が降臨した。
ウタと赤髪海賊団で考えた歌
題名は「ファミリー」
歌詞の内容は、ウタが赤髪海賊団で過ごしてきた思い出やとある一人の少年との事が描かれている。