もしも椿桜子が0巻の少女だったら   作:KEI (~ ̄³ ̄)~

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俺椿はWR生だと思ってたのに!二年生偏7巻のあの椿のイラスト見たとき「やったぁ!椿WR生だ!どう関わるのか楽しみ!」って思ったら違って、0巻のイラストで椿似の『新キャラ』ってことでWR関連じゃないのか!?って絶望したりしたので夜勤に向けサイクル合わせるための徹夜中に妄想多分なものを書きました。
苦手な方はブラウザバック推奨します。

一応連載にしてますが続くかは……………









もしも椿桜子が0巻の少女だったら①

 

 

 天井から床まで白い室内で白衣のような服を纏った子どもたちが一室に集い机に齧りつきながら今回の課題であるテイラーの定理を用いて課題を解き進めていた。

 

 あとから外に出てというか脱落してから知ったことだけどテイラーの展開は大学生で学ぶ内容らしい。外でこの話を聞いたときやっと私はホワイトルームの歪さを理解することができたんだと思う。

 

 脱線しかけた。話を戻そう。

 

 私は、8割方まで答案用紙を受けたが最後の解法を前に手が止まった。

 その時だった。

 鉛筆の音しか聞こえない何もかも白い室内に足音がなった。

 

 その足音の主は私の方に近づいてくる。

 

 そして、視界の隅で私の席の右斜め前で立ち止まったことを確認する。

 

 冷や汗をかいた。この大人が早く別のところに行ってほしいと願った。

 

「―――清隆」

 

 大人が声をかけたのは私の隣の席の男の子だった。

 

 手を止め、隣の彼を観察した。もちろんカンニングと疑われないように。

 

 隣の彼が顔上げ、大人を見上げる。

 

「よく覚えておけ。力を持っていながらそれを使わないのは、愚か者のすることだ」

 

 その時の驚きっていうのかな?その大人が私たちに声をかけるのはそれほどに珍しいことだった。

 

 チラッと彼の答案用紙を見るともう最後の一文のところまで進んでいた。

 それからかなー?私が彼に興味を持ったのは。

 

 整列っ、と担当者に呼ばれた時は彼の隣に立つようにしたり、同じ課題に割り振られたときに話しかけるようになったり、水泳の課題の時はなるべく彼の近くにいるようにしたり。その過程で彼とその大人との関係性には驚いたけどねー。

 

 

 うん、今ならわかる私は彼に───────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『5分くれ』

 

「分かりましたー」

 

 短い通話を終え、私は宇都宮君に一言入れる。

 

「宇都宮君、向こうで待ってて」

 

「……分かった」

 

 宇都宮君が離れていきながら端末を起動し耳に持っていく。誰かと通話を始めたようだった。おそらく体育祭の後に電話をかけてきた男だろう。電話の男は私と彼がホワイトルーム四期生であることを知っていた。

 おそらく、宇都宮君に聞いても分からないだろう。

 話の内容から同じ一年生の感じがするけどしばらく向こうの出方を見るしかなさそうだなーと考えていると彼がやってきた。

 想定より少し早い到着だ。

 彼は私を一瞥すると今度は宇都宮君に視線を向ける。通話しているのを確認してようやく私に話しかけてくる。

 

「電話で伝えにくいことでもあったのか?」

 

 彼と話すのは、波田野君を退学にしたは宝泉君だと嘘をついて(・・・・・)協力してほしいと宇都宮君がお願いしたとき以来だ。

 心拍数が上昇するがそれを表情に出すことはまだしない。

 

「まあ。1年生は今ちょっとした騒ぎになってて。文化祭で意外な退学者が出たので」

 

「退学者?それはまた物騒な話だな。────とでも言えばいいのか?」

 

「八神君の退学。想定以上、いえ想定通り(・・・・)の結果に満足しています。頭の冴えも相変わらずですねー。清隆君(・・・)

 

 私は、八神君を退学にさせた清隆君(・・・)に白丸、勝利をと言わんばかりに、指で丸を作った。

 

「どういう意味だ?」

 

「4月の一・二年生合同特別筆記試験のペア決め相談。無人島試験前の協力要請。2回も話したのに気づかなかったのはショックだったよ。同じ部屋(・・・・)で、隣で過ごしたのにひどすぎないかなー?」

 

「お前は?」

 

「改めて、久しぶり(・・・・)清隆君、ホワイトルーム四期生の一人────今は椿桜子と名乗ってます。名字ではなく桜子でいいよー」

 

 柄にもなく動揺している清隆君。

 たぶん忘れてたというより思い出す必要がなかったってとこかな。清隆君の頭脳なら必要な時に必要な知識を引っ張って来れるから。

 

「まあ〜。すぐに思い出せなかったのは仕方ないかな?名前は月城のおかげで偽名だしー、あの部屋じゃこんな間延びした口調してなかったしね」

 

「お前はあのとき過呼吸で倒れ脱落したはずだが?」

 

「それについては数奇な運命に会ってね。他に聞きたいことありますか?」

 

 これについてはちょっと複雑だし今説明しても無意味なことだ。はぐらかすことにする。

 

「2つある。一・二年生合同特別試験でのペア勧誘、無人島での包囲網。お前はいままでオレの前にオレの退学を狙ってきた。それなのにお前はここで正体を明かした。お前の行動原理が読めない。お前の目的は何だ?」

 

 

 

「私の目的は────清隆君、あなたを守ること」

 

 

 

「オレを、守る?言葉と行動が一致してないぞ?」

 

 清隆君が疑惑の目で私を見る。矛盾する点がありすぎると思っているのだろう。

 

「合同特別試験では普通に高得点をマークして守るつもりだったよ。宇都宮君から清隆君と接触の承諾をもらうのに時間がかかったから会うタイミングが遅くなったし清隆君にはホワイトルーム生とは組まない算段があったみたいだからあのときは素直に引いたの。あと宝泉君の件の協力の時に言ったアレはブラフ。それから無人島試験の包囲網作戦は仕方なく。清隆君なら容易にくぐり抜けれると確信していたし、月城の庇護下にあると言っても一応はホワイトルームからの刺客って立ち位置、あっち側(・・・・)の司馬に天沢さんが受けたような仕打ちは受けたくなかったからー」

「今回の退学騒動は、たぶん清隆君が想像している通り。佐藤先輩を数回に分けて脅し清隆君に伝えるよう調整した。これには電話の男から指示されたっていうのも一つの理由ですがー」

 

「今の話だと、月城と電話の男は────」

 

「月城に関しては完全にこっち側。『ボーイスカウト』『左手の握手』これでわかるでしょ?」

 

「────なるほどな。電話の男は?」

 

「それについてはまだ。電話の男は私と清隆君がホワイトルームの四期生であることを知っていた。かなり深くホワイトルームの事情を知っている風の口調だったから私は坂柳先輩と似たような立ち位置の人物だと思ってる。……そんなに気になるなら話してみる?」

 

 そう言うと私は宇都宮君を呼ぶと宇都宮君は通話中のまま清隆君に端末を渡す。

 

 それから一分ほど通話が続いたが通話が切れる僅か前に清隆君から「どういう意味だ?」という言葉が漏れる?

 端末の画面を盗み見ると私のときと同様に非通知でかけられて来てた。相当知られたくない、もしくは私たちと同じく表舞台に立ちたくないのか。これまでの通話、行動から電話の男の人物像を解析する。

 

 

「じゃあ、要件はだいたい済んだから宇都宮君先に教室に行ってクラスメイトまとめておいてくれる?リーダーなんだから頼むねー」

 

「リーダーを押し付けたのは椿だろ」

 

「それについては悪かったと思ってるって。でもさ、今日はお願い」

 

「……分かった。……綾小路先輩も失礼します」

 

 

 無理矢理、敬語引っ張り出した感満載の宇都宮君は教室に戻っていく。

 

「宇都宮君、敬語得意じゃないの。入学して半年も経つのにまだ慣れないんだって」

 

「そうか」

 

「それで電話の男はなんで言ってたの?」

 

「『綾小路先生の言う通り、この学校を選んで正解だった』と言ってたな」

 

「え?それって残りの刺客は司馬だけじゃないってこと?」

 

「それはまだわからないな」

 

「そうだよね。じゃあしばらく様子見かなー。それじゃ私は宇都宮君を追うね。彼、リーダーって柄じゃないからね」

 

 そう言って帰ろうとする私に清隆君が待った、をかける。

 

「聞きたいことは2つあると言っただろう?

 ……椿桜子、いや────雪。 お前はオレの敵か?」

 

「それは既に回答したつもりだったんですけどー。………違うよ。私の目的は清隆君を守ること。そして……………。これはまだ乙女の秘密かな?」

 

「秘密?何か隠しているのか?」

 

「……はあ〜〜〜〜。ちゃんと恋愛を学習して、女の子の気持ちわかるようになっててよー」

 

 清隆君が驚いたように僅かに目を細める。

 

 現時点で軽井沢先輩に愛情なんて抱いてないこと、恋愛の教科書として見ていることはなんとなくだけど想像はついていた。

 

 けど、それは現時点での話でこれから変化する可能性もある。

 

 つい二言前に乙女の秘密と言ったが気が変わった、計画変更。

 

 この唐変木はきっと大胆な行動するをとってその上で真摯に伝えないときっと女の子からの告白を冗談扱いとかしてしまいそうだ。

 

 

 

 私は、清隆君に近づく。

 

 近づいて彼の手を包み込み胸元にもってくる。

 

 

「清隆君、これは冗談じゃないからね」

 

 

 一つ息を吸う。そして、呼吸を整える。

 

 表情はあのときのような純粋な表情。

 

 

「私の目的の理由だけど、それはあなたのことが好きだという純粋な気持ち」

 

 

 

 

 

 

 伝える。

 

 

 あのとき過呼吸で伝えれなかった私の気持ち、好意を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綾小路清隆君、10年前から──────

 

 

            私はあなたに恋をしています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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