夢ノ番人ノプロローグ
Side?
「もうあんな奴の言いなりなんかになって君の夢を利用される必要性なんかない!
梓さん!俺と一緒に此処から逃げよう!」
「で、でも…」
「大丈夫さ、検討はついているから」
俺の名は虹佐羽 砂亥兎、ついさっきまである機関に所属していた虫憑きと呼ばれている能力者の一人だ。
「みんみん、【ナイトメア】、茶番は終わりか?」
「【かっこう】、いや大助!何時迄お前はあの糞野郎の子飼いでいるつもりなんだよ!?
お前にも守りたいものがあるんだろ!答えろ!」
「…」
かつての同僚であった「火種一号 コードネーム:かっこう」数少ない友人の一人でもあった薬屋 大助と俺は対峙していた。
「だんまりかよ…だったらもう手加減なんてしてられねえ!強引にでも此処から通してもらおう!」
俺は自身の虫を得物である剣に同化させてかっこうに突撃する。
「…強いな秘異種一号いや砂亥兎」
「俺はお前と違って決意が固いからな!
大切だと想った人を手放したくないっていうな!」
俺は大助が撃ち放ってくる弾丸を斬り裂きながら思いっ切り飛んで奴の頭上を越える。
「何!?…」
「悪いな…安心しろ欠落者にはしねえ程度には俺の本気を出させてもらったからな!」
驚き見上げる大助の背後へと回り彼の背を斬った。
「ぐうっ!?…」
大助は背中を抑えて悶える。
「もう良いだろう…あの子の傍に行ってやれよ」
「…すまない…」
敗北を認めた大助に俺はそう言い放ち彼は俺達の前から姿を消した。
其処に
「組織の裏切者が…排除する!」
「なんだアンタか…悪いけどそっちにもう構っている余裕なんてないからよっと!」
「なんだとおおおお!?……」
直後に構成員の一人であった大男である「兜」が現れるが俺は特に奴に対して思い入れはないのでさくっと欠落者にしてやった。
「さ、今の内に!他の奴等が大助達に躍起になっている間に!」
「でも一体何処に?…」
「特環も政府もそこまで万能じゃねえ…虫憑きの事が知られていない地だって存在する筈さ」
俺は想い人である堀崎 梓の手をとって特環の領域から脱出した。
それから数ヶ月が経ち、虫憑きの事がほとんど知られていない町を見つけて俺と梓は失ったものを取り戻すかの様に普通の学生生活と日常を満喫していた。
「お前等!又やってやがるのか!」
「ぶばあっ!?…」
「に、逃げろー!」
「ったく…無事だなハジメ?」
「いつもごめん!…」
「いいって事よ!」
俺は編入した先の高校で虐めっ子達を成敗していた。
だが奴等は反省の色を見せる事無く性懲りも無く手を出しているのでいっその事虫の餌にでもしてやろうかと思案するがそんな事をすれば平穏が崩れるとぐっと俺は我慢していた。
虐め被害に遭っていた友人である南雲 ハジメの無事を確認し教室へと戻り何時も通りの日常を送り続けられると思っていた…あの瞬間迄は…。
「イテテ!?…」
「まだ痛むの南雲君?」
昼休み、ハジメはクラスメイトのマドンナ的存在である白崎 香織に手当されながら弁当を頬ぼっていた。
其処に
「やれやれ香織、また南雲をかいがいしく世話を焼いているのかい?
全くそんなだらしない奴を甘やかしたらどうなるやら…」
クラスメイトである天野河 光輝がやってきてそう言ってくる。
コイツは正義という聞こえの良い言葉に踊らされて綺麗な部分しか見ていない厄介な青年である。
これで夢は弁護士なのだというのだから正に傍迷惑でしかないのである。
当の本人は白崎さんに反論されてたじろいでいたが。
構っても時間の無駄なので俺は梓と一緒に一足先に教室へと戻る。
其処で…
「!?」
「こ、こいつは!?…」
五時限目も迫る中、突然教室中に魔法陣の様な物体が浮かび上がってきたので驚くが俺はすぐに冷静になり自身の机の中に隠していたアタッシュケースを急ぎ取って備えた。
その直後に俺達は光に包まれ後には持ち込まれなかった物だけが教室には残されていただけだった。