楽しくただ純粋に   作:瓦版

130 / 168
力量

バスに揺られて、吉良財閥の施設に入る世宇子中のメンバー。到着しバスを降りると、山城にとって見知った顔が出迎えてくれた。

 

「やあ、待っていたよ。山城くん。」

「ヒロトか。今日は、よろしくな。」スッ

「うん!よろしく。」ガシッ

 

軽く挨拶するロッカールームに案内され、着替えを終えるとグラウンドに立つ。そこには、今回の対戦相手の永世のメンバーがアップをして待っていた。そして、世宇子のメンバーもアップを始めた。山城は、別行動で瞳子にチームを代表して挨拶に行った。久しぶりの試合に気合いを入るメンバー。それを観察する永世中。

 

「ドーピングがあったとはいえ流石の実力だ。伊達に準優勝しただけある。」

「特にキャプテンのアフロディの成長が凄いな。」

「ああ、世界大会よりも明らかにキレが違う。相当、鍛えたみたいだな。」

「それは、うちも同じだ。世界大会を越えて実力をつけてきた。絶対に負けん!」

「そうだね。それにしても、今回の目玉の彼は、出ないのかな。」

「山城の野郎。なめやがって。」

「落ち着け晴矢。奴は、敵に手を抜くことは滅多にしない。何か有るのだろう。」

「風介の言うとおり。彼は、何か仕掛けてくるだろうね。だけど今回は、僕たちの良い練習相手になって貰おう。」

「「「おう!!」」

 

そんな思惑の中、試合開始の時間を迎える。ボールは、世宇子から。笛が鳴り試合が始まる。デメテルが、アテナにボールを渡した瞬間に、永世のスリートップ 南雲、涼風そして、ヒロトが突っ込んできた。あまりの圧力にボールを取られる。そして、そのまま三人は、駆け上がりボールを持っているヒロトの前にDF陣が迎える。だが、ヒロトは、空にボールを上げる。そこに、南雲と涼風がシュート体勢に入る。

 

「「ファイアブリザード!!」」

「ギガントウォール!!ぐおぉ!!」

 

二人のストライカーの強力シュートが決まる。ハイタッチを交わす三人。監督の瞳子も少し喜ぶ。反対に、世宇子は、アフロディを中心に気持ちの切り替えを行う。ベンチの山城は、静かに見守る。その後も、何とか追い付こうとするも永世中の組織的な守備に阻まれカウンターを決められる。それの繰り返しにより点差が開かれる。アフロディもどうにかしようとするが、裏目に出ており前半だけで10点も決められた。少し余裕な永世中に対して世宇子中は、ボロボロである。普通なら試合を打ち切られる所だが、山城は、決して止めない。その行動に瞳子は、不思議に思う。これだけの点差をつけられながらも怪物は、交代しないのだから。一方の世宇子中ベンチでは、山城が感想を述べていた。

 

「どうよ。久しぶりの試合は。」

「「「……。」」」

「何も出ないわな。準優勝の自分たちなら多少できると思っただろう。だが、これが現実だ。例え、アフロディが世界レベルになろうと、所詮1人の選手。神のアクアがなければ所詮まともに勝負にならないのだからな。」

「僕らは、このまま負けるのか。」

「まあ、はっきり言ってそうだな。」

「「「っ!」」」

「俺が出れば変わるかもしれないが、それでは、意味がないのは、気づいてるだろ。」

「「「……。」」」

「後半も同じ展開になるだろう。残りの時間で何かを掴むかただただ無駄にするかお前らの頑張り次第だろう。けど、かつて圧倒的力に打ちのめされながらも立ち上がり優勝したアイツらならこの状況でも勝つことを諦めないだろうな。」

「「「!!」」」

「なら、やることは、決まったな。この後半がこのチームの分かれ道だ。死に物狂いで未来勝ち取ってこい。」

「「「おう!!」」」

 

気合いの入る世宇子中。前半の彼らには、無かった姿がそこにはあった。それは、永世中のメンバーにも伝わる。前半に10点の差がついたこのゲーム。後半は、違う形で終えることになるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。