楽しくただ純粋に   作:瓦版

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思い

神と怪物の勝負。本気の勝負は、二度目である。最初は、偽物の力を授かった神とまだ発展途上の怪物の対決。結果は、神が勝利し後の引き抜きに繋がる。そして、互いに世界で培った実力を始めて全力でぶつける。

 

「久しぶりだな。お前とこうしてやるのは。」

「あの時とは、違う。世界で磨いた力を君に見せてやる!」

 

ホイッスルが鳴る。先攻は、アフロディ。美しく繊細な動きを見せる。だが、。

 

「甘い!」バンッ

「!!」

「その程度で抜けると思うな。」

「くっ。」

「次は、俺だな。」

 

今度は、山城の番。ドリブル始める。そして、対峙する。

 

「こい!止めて見せる!」

「……。」スンッ

「(これは、左!)」バッ

「読みは、良い。だが、。」スッ

「!!(はやっ)」

「まず、一本。」ドッ

 

無人のゴールにボールが突き刺さる。その後も無残にシュートを決められるアフロディ。

 

「これでリーチだな。」

「くっ。」

「おまえの思いとやらも実力も薄いな。」

「……。」

「正直、期待外れだな。」

「!!」

「じゃあな、哀れな神よ。」

 

三本目のシュートを決めに行くため、ドリブルする山城。対峙するアフロディは、絶望に陥る。

 

「(負ける。僕は、また負けて誰かの活躍をただ見守るのか。)」

「じゃあな。」

「(…だ……やだいやだいやだいやだいやだいやだ。)」

「これでおしまいだ。」スッ

「いやだ!!」バシッ

「!!」

 

窮地に追い込まれたアフロディは、皆が驚愕するほどの動きを見せた。

 

「なんだ?」

「アフロディが一瞬消えた!?」

「いやこれは!?」

「……。」

 

その動きに山城も驚愕する。

 

「さあ山城!ここからが本番だ!」

「そうか。なら、こっちも本気出すか。」

 

アフロディが、自身の力に目覚め、山城もゾーンを解放する。そこからは、互いにドリブルで抜くこともシュートを打つこともできず、何回も外にボールをはじかれていた。皆も固唾を飲んで見守っていた。そんな拮抗した場面が続いていたが、遂に勝負が見え始めた。

 

「……。」

「……。」

「……。」バッ

「!(左!)」シュッ

「……。」グッバッ

「しまっ!」

「……。」ドッ

 

アフロディのシュートがゴールに刺さった。その動きに山城が出遅れたことに皆が気づく。だが、決して山城が、タイムリミットを迎えたわけではなかった。

 

「アフロディ、見えてるのか?」

「たまたまだよ。」

 

その後、山城のシュートが決まらずアフロディの同点を迎えた。そして、アフロディのターンになる。誰もが、これで終わるかと思われたが、勝利の女神は、残酷な運命をアフロディに与えるのだった。先程同様に山城の動きの先を読んで抜きにかかった。

 

「これで最後だよ。」シュッ

「チッ。」バッ

「じゃあね山城kガクッ!?」

「!」バシッ

 

急にアフロディの動きが止まる。勿論、それを見逃す山城ではない。ボールをすぐに弾く。皆は、何が起こったのか分からなかった。

 

「どうして?」

「当たり前だ。ゾーンを解放して、更に他の力も使ったんだ。体の限界もすぐに迎えるに決まってるだろ。力を過信したなアフロディ。」

「くっ。まだ僕は!!」

「残念だが、ゲームセットだ。」

「くっクソおおお!!」

 

次の山城のターンで勝負あり。体の限界もありその場で跪くアフロディにみんなが駆け寄った。そんな状態のアフロディに山城は、正面に立って口を開いた。

 

「決まったな、アフロディ。」

「……そうだね。約束通りに僕は、今日を持ってこのチームを去るよ。」

「「「キャプテン。」」」

「いや、その必要は、無い。アフロディ。」

「「「!!」」」

「ど、どういうこと?」

「……監督。このチームをよろしくお願いします。」

「わかった。お前も頑張るんだぞ。」

「「「!!」」」

「久遠監督、山城君。何の話をしているの?」

「山城一平は、今日を持ってチームを去る。退部届も貰った。」

「急で悪いな。」

「そんな……。」

「じゃあ今の勝負の意味は?」

「これは、山城からの提案で。もし、アフロディが勝負を仕掛ける日が来たらその日に退部するということだ。」

「そういうわけだ。アフロディ、みんなをよろしくな。」

「……んな。」

「キャプテン?」

「ふざけるな!」バキッ

「「「!!」」」

「……。」ペッ

「どこまで人を馬鹿にすれば気が済むんだ!」ガシッ

「……。」

「僕が、どんな思いで勝負をしたのか。」

「アフロディ。」

「君に勝ちたくて頑張って来たのに。」

「悪いな。」

「悪いだと、どの口が言ってるんだ!!」バキッ

「よせ!!」

「そこまでだ!アフロディ!!」

「やめてください!!」

 

更に山城を殴りそうなアフロディを部員全員で止めた。そんなアフロディを前に血を拭いながら山城は、アフロディに自分の思い語り始めた。

 

「確かにお前の思いを踏みにじったことは、謝ろう。だが、もう決まったことだ。それに勝負に負けたお前の言葉など何の重みもないな。」

「なに!!」

「おい、山城。言い過ぎだぞ。」

「そうだ!アフロディに謝れ!」

「お前ら今まで何見てたんだ。こいつは、退部を賭けて全力で勝負した。それで敗れた。」

「し、しかし。」

「良いか、お前らのそれは、そいつと俺に対する冒とくだ。」

「「「……。」」」

「何も行動を起こさず、ただ見てただけのお前らにとやかく言われる筋合いは、ねぇよ。それとも、今ここで勝負するか?中途半端のお前らと俺とで。」

「もう良い山城。」

「監督……。」

「山城。今まで世話になったな。今日は、上がれ。」

「はい。」

 

そして、グラウンドを後にした山城。その日を境にサッカー部の名から山城一平の文字が消えた。

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