その日の午後。鬼道は、妹の春奈と帰路を歩く。今回の大会初日の世宇子の試合内容に悩んでいた。それを見た春奈が心配する。
「お兄ちゃん…。」
「言わなくてもわかる。アフロディのことだな。」
「…うん。世界大会以降で何があったんだろうって。あんなアフロディさん、フットボールフロンティアの決勝のときよりも怖い。」
「何か…か。これは、憶測だが奴が関係しているのかもな。」
「奴って?まさか!」
「そうだ。今回の大会の目玉の1人だ。」
「けど、山城さんがなんで?」
「分からない。だが、今回の世宇子中に山城の名が入っていなかった。海外挑戦は、前に聞かされていたが、チーム内もしくはアフロディと一悶着あってのことかもしれんな。」
「もう仲良くできないのかな。」
「それは、あいつら次第だろう。そして、俺達も人のことを心配する暇はない。今大会は、例を見ない群雄割拠だからな。」
「そうだね。私も頑張るね!頑張ってお兄ちゃん!」
「ああ。(俺も人の事を言えん。山城、今度こそお前に勝つ!)」
世宇子中の一歩前進に各チー厶が「次は自分たちが勝つ」と燃えていた。場所が変わって世宇子の練習場。ライトに照らされながら1人の選手がボールを蹴っていた。
「シッ!」ドッバシュッ
アフロディは、不完全燃焼で終わった試合で溜まったストレスをぶつけていた。しかし、これは今に始まったわけではなく予選の前から続いていた。
「(まだだ!!こんな力では、彼を倒せない。確実にものにするんだ。)」
「アフロディ。」
「!?監督。お疲れ様です。」
「まだ続けるのか?次の試合も近いんだぞ。」
「ハハ、ダメなんですよね。彼に一歩でも近づきたいのにここまでまともな相手がいない。こうしている間にも彼は、先を進んでいるのに。」
「安心しろ。次勝てばいよいよ日本代表が所属している学校と当たるだろう。」
「!そうだしたね。それでは冬期次のために今日はこれで終いしますね。」
「わかったちゃんとストレッチを忘れるなよ。」
その場を去る久遠。自分の後ろからとてつもない破裂音と衝撃が広がっていたが、振り返ることはなかった。日本でフットボールフロンティアが盛り上がっているとき、世界選抜では、強化試合が行われていた。
「さて、このチームでの初陣か。」
「何か楽しそうだな。」
「まあな。相手が相手だからな。」
そう怪物達の前に立ちはだかる相手に視線を向ける山城。相手のチームでは、誰もが緊張していた。何せ世界選抜チームが相手をするため、世界大会以上に気を張っていた。そんなチームに監督が、動く。
「お前ら何を緊張しとる!そんなんじゃ勝てる試合も勝てんぞ!」
「けど監督…相手は、あのイッペイとロココがいるんだぜ。」
「それに、各代表のエースばかり…。」
「それがどうした!」
「とうしたって…。」
「相手が格上とわかったら尻尾を巻いて逃げるのか?」
「「「…」」」
「確かに、相手は、今までの相手で一番じゃろう。けど、それが何じゃ!日本に負けてからおぬし達は、これまで毎日腕を磨いて来たじゃろ。そんなおぬし達の力をおぬしら信じないでどうする!」
「「「!?」」」
「少なくとも、ワシは負けるなんてコレポっちも思っておらん。」
「「「…」」」
「ほら!行って来い!世界最強に勝って世界最強になるんじゃ!」
「「「はい!!」」」
選手たちの顔つきが変わる。それを確認した山城は、笑みをこぼす。
「さすが、大介さん。チームを鼓舞する力が上手い。だが、リトルギガントのみんなには悪いが、踏み台になってもらう。」
こうして、後の世界最強と謳われたチームの初戦が開幕するのだった。