「くそ!もう一本!!」
「キャプテン、気合がすごいですね。」
「それは、そうよ。あんな言葉を掛けられたら誰だって。」
「あの言葉は、確実に私たちや他のチームへの宣戦布告と取られるでしょう。」
各チームの心を燃えさせる原因を作った本人は、チームメイトと調整を行っていた。休憩時間となり水分補給する一平。そこへフィディオとロココが近づく。
「イッペイ!おつかれ!」
「フウ…ロココにフィディオ。おつかれ。」
「気合入ってるな。」
「まあ常に万全にするのは、当たり前だろ。」
「それは、あの会見での意味も含まれているのかな?」
「会見?ああ昨日の。」
「まさか、君からあんな言葉が出るなんてね。正直、驚いた。」
「……。」
時間が遡り会見、山城への質問。
『今回の試合への意気込みなどを聞かせてください。』
「私たちは、国籍や国境などを越えて世界から集ったメンバーです。勝利以外に何の価値もなさない。今回の試合は、特別ような感じで報道されていますが、関係ない。誰とやろうとなどどうでも良い。私たちは、勝つサッカーをしに来た。ただそれだけです。」
会場は、静まり返った。そして、そのまま会見時間が過ぎて退場していく一同。山城も出て行こうとするが、1人の人物が慌てたように最後に質問をしてきた。
「山城一平。お前を世界大会で熱くさせた日本のサッカーに対して何も思わないのか?」
「……ないな。」スタスタ
この一件でネットなどでは、大いに盛り上がっていた。アンチのコメントなどが宿舎の方に寄せられている。だが、山城には何も響かなかった。そして、時間が戻される。
「まあ、流石にお前らにも迷惑なりそうだし、次の試合で証明してやるよ。お前らの実力の高さと俺の発言の証明をな。」
「そっか、じゃあ僕は、君の後ろでゴール守って証明しようかな。」
「ああ、期待している。」
「……。」
フィディオは、クラブでの山城と今では、どちらが本心であるのかとここ最近思っていた。
「フィディオ!」
「!な、なに?」
「大丈夫か?急にぼーっとして。」
「大丈夫だ。」
「そうかい。」
こうして、来日初日の調整を終える。そして、数日が過ぎて迎えた最初の調整試合。相手は、帝国学園の高等部。高校サッカー界でも強豪である帝国。そんな帝国の試合前に山城の前に何人かの帝国選手が近づいてきた。
「よお、山城。」
「先輩方、久しぶりです。」
「今日は、よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
そして、先輩たちの後ろを見送った山城にロココが話しかけてきた。
「あの人たち、イッペイの知り合い?」
「前の学校の時の先輩方だ。」
「せんぱい?」
「まあ、気にすんな。所詮ただの同じ学校だっただけだ。さて、準備掛かるぞ。」
「うん!今日も後ろは、任せて!」
「頼りにしてる。」
準備が終わり、試合開始の笛が鳴る。山城よる発言の証明が、始まる。ボールは、帝国で蹴りだされた。帝国イレブンは、攻めあがる。対して世界選抜は、それについて行くだけだった。どんどん回るパスに観戦しに来た記者たちは、帝国のレベルの高さと世界選抜の劣等を感じた。誰もが、『ああ、所詮中学レベルか。』と思っていた。だが、何本かシュートをロココが止めてからカットされ始める。
「あれ?……なんで?」
「何かおかしい?」
「なぜ、帝国のパスが、通らなくなっているんだ?」
「それどころかシュートに持って行けてない。」
記者が、気づくころには世界選抜による選定が終了する。世界選抜の皆が、怪物の合図を待っていた。そして、山城が合図を送る。その瞬間、世界選抜の動きが変わる。
「なんだ!?」
「ここからあんた達には、練習台になってもらう。その合図だ。」
「んだと!!」
「ほら、戻んないと。」
ズバンッピピー
「ほらな。」
合図確認から一瞬でロニージョによる世界選抜の得点が決まる。帝国イレブンと記者たちは、驚愕し目を疑う。そして、再び帝国ボールで始まる。
「マグレだマグレ。」
「HEY!次は、ミーたちだぜ。」
「な、なにを「もう貰った。行くぞ!ディラン!」!?」
「OKマーク!」
「お前ら!止めろ!!」
帝国の監督は、イレブンに支持するが無駄に終わる。追加点が、決まる。そこから前半終了までゴールの嵐であった。そして、前半終了の笛の頃には、10点以上の差が開く。ハーフタイムに入るが、帝国の顔は、とても後半に入る雰囲気は、無かった。対して世界選抜の顔は、物足りなさそうであった。無駄に終わったハーフタイム。後半が開始しても同じ流れになる。そして、終了間際に今まで攻めなかった山城が、ボールを受け取りドリブルを始める。帝国の面々は、最後に爪痕を残さんばかりに一気に集まる。
「「「うおお!!」」」
「……はあ。どけ!!!」ギンッ
「「「!?」」」ピシッ
あまりの威圧に選手達は、固まる。そして、山城がルークにパスを出してルークがシュートを決めて試合終了。帝国の選手たちは、魔法が解かれたようにその場に座り込む。誰も挨拶に行けないほどの疲労感に襲われていた。山城たちは、すぐに荷物を纏めてバスに移動していった。その異様な光景に記者たちは、山城の言葉を改めて知らされてしまった。そして、今回の試合は、すぐに日本全土に伝達されるのだった。