彼女は、何の楽しみも見つけられずに生きていたある日、雪の街角で必死に歌うジミー中田から笑顔を向けられた事で、人生が一変した事を語る。
彼にとってはファンサービスだったかもしれないが、墨田さんにとっては、それが生きる喜びになっていた。
「私、間違っていたのかな」
そう、自責の念と共に、落ち込んでいた。
その事について、翔太郎さんはすぐに何かを言おうとしたが、影がそれを止めた。
「影」
「あぁ、こういうのは、多分あいつの方が向いているかもしれないっす」
「・・・」
その言葉と共に翔太郎さんは私を見る。
それと共に、翔太郎さんもまた頷くと。
「俺は、ジミーを探す。
影は、ライアーの対策を頼めるか?」
「えぇ」
そう、影もまた、すぐにフィリップさんの元へと向かった。
「・・・私も、正直、なんで今、影の手伝いをしているのか分かりません。
あの時、偶然助けられた事がきっかけかもしれません。
今やっている事も、影にとっては邪魔かもしれないから、墨田さんの気持ちも分かります」
「ヒサメちゃん。
それは、もしかして」
「だから、墨田さん。
もう一回、ジミーさんに会いましょう。
そうじゃないと、あなたも、墨田さんもきっと後悔します!」
そう私は、今言える事を伝える。
風都ラジオ局。
そこには若菜のファンでごった返していた。
「皆、聞いた? 若菜姫が電波塔の道化師と会うって話」
ファンの一人と思われる少年が、ほかのファンにそう言っていると、コソコソと人影が現れる
「何処のどいつだ? 俺の名を語って若菜姫と会おうって言うのは……」
それこそが、ライアー・ドーパントの変身者である事は、遠くで確認する限りでも分かる。
「あ! 若菜姫だ!」
そう言ってる間に、少年の言葉にファン達は車に乗り込もうとしている若菜に精いっぱい応援の言葉を贈る。
若菜は黒服の二人組に車の中に乗せられてもなお、ファン達に手を振っている。
「下がってください」
「もう出発しますので」
【LIAR】
それを見た、沢田はメモリを起動させると共に、そのままライアー・ドーパントになる。
そうして若菜を乗せた車を尾行して、若菜が車から降りるとコッソリと後をつけた。
すると若菜はとある舞台会場に足を運んでいた。
すると舞台袖から
「ハロー! 若菜姫! 電波塔の道化師だよん!」
『なんだあのアホみたいな恰好は?』
ライアーの言うとおり、
その自称電波塔の道化師は、どうみてもアホじゃないかと言いたくなるような格好だ。
ピエロ云々も敵わないくらいの間抜け極まる服装とメイクだ。
しかも歩く度にギャグ漫画みたいな足音までする始末。
「叶えたい、夢は、なにかな? 教えてよ~!」
自称電波塔の道化師に、若菜は少し口元を笑わせる。
「ポエムも書いてあげるよ! ……いまいち、街の皆には、評判悪いんだけどね」
『こ、この野郎……!』
それは明らかに自分のことをバカにされ、ライアーは腹を煮えくりかえらせる。
「詩集も出てるんだ。全ッ然売れなかったけどね」
『いい加減にしろ! あんなもんでもな、一生懸命書いたんだよ! 若菜姫、聞いてくれ。俺が、俺が本物の……うわ!』
偽物に対して苛立ちを隠しきれずにライアー・ドーパントは直に反論に向かうが、その時彼にスポットライトが浴びせられた。
「ハッ! よく来たな……嘘つき野郎」
自称電波塔の道化師は、被り物を脱いで首を回すと、被り物をライアーに投げつけた。
メイクをふき取り、翔太郎さんは正体を見せた。
そして、もう一つのスポットライトが照らす先には、黒服を着た上にグラサンと眼鏡をかけて変装していた照井と亜樹子さんがいた。
『貴様ら、まさか罠を?』
「その通り。お前がうっかり園咲若菜のリスナーである証拠を残したお蔭だ、ライアー・ドーパント。……いや、沢田さちお!」
「嘘つきも意外に騙されやすいってことかな」
『そんな罠に、若菜姫が協力を? ……若菜姫! 貴様ァ……!』
ライアーは怒って若菜に襲いかかろうとするも、
だが
『スネーク』
若菜姫の腕の時計から鳴り響く音声と共に、ライアー・ドーパントに向かって、衝撃が襲う。
同時に、その変装が解かれると共に、そこにはヒサメがいた。
「だっ誰だ、お前は!!」
「私は、怪盗の助手。
悪いけど、今回はあなたのメモリを盗らせて貰うわ」
「いかがでしたか?
化かされた気分は」
その言葉と共に、ようやく俺の出番とばかりにスポットライトに当てられる。
『クソー! 貴様ら許さん!』
「許せねえのはこっちのほうだ! ……少しは騙される方の気持も知りやがれ。行くぜ、フィリップ、影、照井」
「応よ」
「あんたのお宝、頂くぜ」
4人はドライバーを装着してメモリを構える。
『CYCLONE』『JOKER』
『ACCEL』
『NASCA』
「「「「変身」」」」」
その音声が鳴り響くと共に、俺達は瞬時に仮面ライダーへと変身する。
それと共に、俺達はそのまま屋上へと逃げていくライアー・ドーパントを追いかけながら、迫っていく。
身体的スペックは、圧倒的にこちらが有利なのは変わりないが、口から吐き出される針には当たらないように注意をしなければならない為、なかなか近づく事ができない。
「影! 照井! 手筈通り、いけるか!」
「勿論です!!」
「俺に質問するな」
その言葉と共に、瞬時に照井が接近する。
瞬発的な加速で、ライアー・ドーパントへと接近し、僅かだが針を吐き出すのを止める。そして
『METAL』
『CYCLONEMETAL』
同時にWの姿はサイクロンメタルに。
それと共に各々のメモリガジェットを武器に装着する。
『BUTTERFLY』『SPIDER』
その音声と共に、俺はナスカブレードをそのまま薙ぎ払うと共に鱗粉がライアー・ドーパントの視界を覆う。
「なっ、目がっ」
「今だっと!」
その言葉と共に翔太郎さんはメタルシャフトを薙ぎ払うと共に、ライアー・ドーパントの一番厄介な口を閉ざす。
「どうだ? ジミーの怒りの分も、叩きつけてやる!」
それと共に翔太郎さんも
「こうなったら……無敵の必殺技!!」
ライアーの発言に俺達は身構える。
だが
「嘘だよ~ん」
同時に、その手に持っていた武器から無数の針を放っていく。
「全く。……世話が焼ける」
アクセルはバイクフォームに変形して落下していくWを背中に乗せた。
さらにはその状態でビルの外壁であるにも関わらず、グングンと直進していく。
「なっ」
「こっちを忘れるなよ」
『parrot! MAXIMUMDRIVE!』
鳴り響く音声と共に、俺はその手にあるナスカブレードを真っ直ぐとライアー・ドーパントに向ける。
「《ライダーキックするのは若菜姫だ》と!!」
俺はそのままナスカブレードを真っ直ぐとライアー・ドーパントを突く。
「えっ若菜姫!?
わぁ、若菜姫!!」
「そのまま間抜けに倒されろ!!」
『JOKERMAXIMUMDRIVE!』
その音声と共に、翔太郎さん達も構える。
「『ジョーカーエクストリーム』」
2人はそのまま同時に真っ直ぐとライアー・ドーパントにライダーキックを食らわす。
それによって、吹き飛ばされたライアードーパントは吹き飛ばされ、そのままメモリブレイクされる。
それと共にメモリブレイクされたメモリを回収する。
「お前のメモリ、確かに頂いた」
ジミーはゆきほさんと同じ工場で、一緒に働き始めたらしい。
歌を続けているのかどうかは、まだ聞いていないが。
取り合えず奴は笑顔だ。
「それにしても、翔太郎さん、話題ですね」
「その事は言うな」
そう言いながら、影が取り出した雑誌に思わず頭を掻いてしまう。
――幻の超デュオ 仮面シンガーは誰だ!?――
そう写真が載っており、クイーンとエリザベスのCDデビューに関する記事は下部の目立ちにくいところに載っている。
「影!
こうなったら、私達も参加しようよ」
「はぁ!!」
そうしていると、何やらヒサメちゃんが言ってきた。
「嫌だよ!!
なんで、俺がそんな事をやらないといけないんだよ!!」
「だって、この前のジミーさんのライブで感動して!!」
「お前、まだライアーにやられたんじゃないのか」
そう言いながら、影は呆れた様子でいた。
あのフューディックアイドルで、ヒサメちゃんが何が見たのかについては、今は聞かないでおこう。