仮面ライダーナスカ   作:ボルメテウスさん

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その日の依頼は本当に奇妙だとしか言えなかった。
普段ならば、ガイアメモリの被害者達が訪ねてくるこの事務所で依頼を受け、俺達がそれを解決する。
中には、真犯人自身がガイアメモリの所持者というパターンもあったが、本当にそれがこれまでのパターンだった。
だからこそ、探偵事務所にいた全員が、その日尋ねてきた依頼人を見て、驚きを隠せなかった。
ここまで来る為に、着込んでいたのか、身体を覆う程のコートに、帽子など、この季節では怪しすぎる格好。
その格好を着た人物達は俺達に依頼があると聞いて、いたが。
「実は、俺達を」
「この姿にした奴を探して欲しいんです!!」
「この姿?
それって、どういう事なんだ?」
どうも言っている事が分からず、翔太郎さんは呟く。
それと共に、2人は意を決したように、そのままコートを脱ぎ捨てる。
その姿には俺達は驚きを隠せなかった。
それは仕方ない事だった。
確かに人型を保っているが、全身に防護服を纏ったような凹凸のない体つきで口元が防塵マスクの様な形状をしている。
そして、もう1人は額に渦巻を象った前立てが付いており、胴体部がドラム式洗濯機で形成されている。
それは明らかに
「「「どっドーパント!!」
まさか、ドーパント自身が依頼に来るとは、夢にも思わなかった。


Dの依頼者/恐怖のマンション

 依頼人であるドーパントの変身者は風都の商店街で掃除代行と衣服のクリーニングを営んでいる店の店長とその弟。

 

 クリーニング担当の店長洗満さんと掃除代行を務める弟洗清弘さん。

 

 店の名前は「洗クリーニング」。

 

 親子三代続けてきた地域密着型のお店で、最近評判が上がって客数が伸びてきたという。

 

 だが、見てみる限りだと、メモリの力を使った可能性があると考えていたが、話を聞いていると、どうやら違うようだ。

 

「実は、数週間前から今までにないぐらいに仕事ができるようになったんです」

 

「最初は、努力を怠らずにやったから、ついにやれるようになったんだぁと思ったんです。だけど」

 

「昨日、何か音が聞こえたと思ったら、急に身体が光り始めて、気づいたら、この身体に」

 

「本当なのか?」

 

 とても信じられない内容に俺も翔太郎さんも思わず疑いの目を向けていた。

 

「ふむ、興味深い」

 

「フィリップさん!?」

 

 そうしていると、普段はあまり表に出ないはずのフィリップさんが現れた。

 

 その事に俺達は驚きを隠せずにいたが、どうしたんだ? 

 

「この反応からして、まさか過剰適合者だと考えて良いだろ」

 

「過剰適合者?」

 

 あまり聞いた事ない言葉で、俺達は思わず首を傾げる。

 

『時たま現れるガイアメモリとの相性度が異常なまでに高い体質の人間の事だ。

 

 彼らの姿から考えてもクリーンとウォッシュだろう』

 

「あれ、あなたって確か霧彦さん!!」

 

「えっ、えぇ、確か亡くなったんじゃあ!!」

 

『やぁ、久し振りだね。

 

 それにしても、まさか知り合いだとは、思わなかったよ』

 

「過剰適合者か。

 

 だとしたら、翔太郎。

 

 彼らをメモリブレイクするのは危険だ」

 

「どういう事なんだ?」

 

「過剰適合者のメモリを破壊すれば、その所有者も死んでしまう。

 

 これは恐ろしく相性の良いからね」

 

「なんだってっ」

 

 これまではメモリブレイクを行えば、ガイアメモリを破壊する事ができた。

 

 しかし、今回の相手に対して、それを行えば、確実に死んでしまう。

 

「どうすれば」

 

「それに関しては既に対策済みだ。

 

 明日には、無事に解決できる」

 

「それはっ本当ですか!」

 

「良かったぁ、この姿じゃ、仕事なんて、できないからぁ」

 

「だけど、別の問題があるよ!」

 

「あぁ、洗さん。

 

 何か違和感を感じた事はないか? 

 

 例えば、こう、気絶したり、変な痛みがあったり」

 

「痛み? 

 

 あぁ、そう言えば、あの時!」

 

「あの時?」

 

「数週間前、配達であるマンションに行ったんです。

 

 その時に、急に、痛みが走って」

 

「その時からだったよな」

 

 どうやら、そのマンションで間違いないようだ。

 

「それで、そのマンションって?」

 

「エクスペリオンマンション」

 

「あぁ、あの話題の」

 

 なんでも様々な新機能を実験的に行う事で、家賃が安い事で有名なマンションだ。

 

 入居者には何か条件があるらしいが、その詳細は未だに不明だ。

 

「とにかく、そのマンションを調べる必要があるな、行くぞ」

 

「あぁ」

 

 翔太郎さんの言葉を合図に、俺達はすぐに向かった。

 

 さすがに依頼人である2人を連れていく訳にはいかなかったので、事務所で待って貰っている。

 

 俺と翔太郎さんはそのまま目的地であるマンションに到着する。

 

 最近できたばっかりという事もあってか、外装はかなり綺麗になっている。

 

 俺はエントランスに入り、エレベーターに乗って最上階まで向かう。

 

 洗さん達の言うように、本当に値段が安く、普通の一戸建てぐらいの料金で借りられると聞く。

 

 確かに、これだけ安ければ、試す価値はあるかもしれない。

 

 そうしながら、俺達は各々の道具を使いながら、マンションで怪しい所がないか探す。

 

「それにしても、本当に凄いな」

 

「あら、こんな所で見ない子ね」

 

「うわっと」

 

 そう、振り返ると、そこにいたのは派手なドレスを身に纏っている女性だった。年齢は二十代前半といったところだろうか? かなり美人なので、つい見惚れてしまう。

 

 そんな俺の様子を見てか、女性はクスリと笑みを浮かべる。

 

 そして、ゆっくりとこちらに向かってくる。

 

 俺は慌てて距離を取る。

 

「あら、いきなりどうかしたのかしら?」

 

「いや、ちょっと」

 

 ここに来て、まさか陰キャぼっちスキルが発動するとは思わなかった。

 

 俺は何とか誤魔化そうとするが、上手く言葉が出てこなかった。

 

 そんな様子を女性はクスッと笑う。

 

 なんだか少し恥ずかしくなってきた。

 

 だが、ふと、見えた物に、すぐに表情が変わる。

 

「お前、ガイアメモリを」

 

「ふふっ、さすがに察しが良いわね」

 

 その言葉と共に、女性が取り出したのはガイアメモリ。

 

『クイーン』

 

 そのまま女性は、そのガイアメモリを身体に差し込む。

 

 同時に物語に登場する女王様のような恰好をした目の部分しかない仮面を被ったドーパントへと変わった。

 

『クイーンドーパント! 

 

 単体では厄介だが、周りにいる者を支配する事ができる! 

 

 影!』

 

「あぁ!」

 

 霧彦の声と共に、俺はすぐにナスカメモリを取りだし、仮面ライダーナスカへと変身する。

 

 俺はすぐにナスカブレードを取り出すが

 

『影、すぐに横へと飛べ!』

 

 その声が聞こえると共に、俺はすぐに飛び出る。

 

 同時にナスカのマフラーを近くにある配水管へと伸ばしながら、すぐに上の階へと向かう。

 

 それと共に見ると、そこには騎士を思わせるドーパントがいた。

 

 しかも、一体だけではない。

 

 マンションの下にはラット、ウィッチ、スタッグなど数々のドーパントがいた。

 

『LUNAJOKER』

 

 その音声は下からであり、どうやら翔太郎さんも異常を感じて、すぐに俺と同じように飛び出していた。

 

「おい、これは一体何が起きているんだ!?」

 

『ここまでの数のドーパントが揃うなど、あり得ない』

 

「これじゃ、まるで、ドーパントマンションじゃないかよ」

 

 俺は思わず呟きながらも、すぐに迫るドーパント達と戦う。

 

 この数を相手にするのは危険だ。

 

 俺達はすぐにそのまま屋上へと向かう。

 

『LUNAMETAL』

 

 それと共に、出入り口をメタルシャフトで閉ざす。

 

「おい、どういう事だよ、これは」

 

『もしかして、罠だったのか』

 

「洗さん達が、填めた?」

 

『いや、あの時の2人を調べたが、過剰適合者なのは間違いない。

 

 彼らが嘘はついていない。

 

 そこから考えれば』

 

「あの2人を過剰適合者だと知って、わざとやったという事か!」

 

 その事に怒りを燃やす翔太郎さん。

 

「さて、どうする? 

 

 さすがに数の差が圧倒的すぎる」

 

『その事だが、翔太郎。

 

 今のままでは確かに無理だが、明日の朝まで辛抱だ』

 

「明日の朝? 

 

 どういう事だ?」

 

『元々、荒兄弟の為の手だった。

 

 だけど、この状況を逆転できるかもしれない』

 

「あれか」

 

 その言葉に俺も思い出したように呟く。

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