仮面ライダーナスカ   作:ボルメテウスさん

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影は、ウェザー・ドーパントこと伊坂との戦いによって、身体はボロボロの状態だった。
現在、影は彼のアジトであるベットの上でその身体を回復させる為に寝ていた。
だが、そこに1人の人物が訪れていた。
それは、影にとっては協力者というべき人物であるシュラウドだった。
彼女は、そのまま影の部屋にある窓を開く。
それと共に、窓から入って来たのは、小さな狼だった。
その狼は、そのまま影の眠るベットへと近づき、そのまま自身で変形させる。
その形はまさにガイアメモリだった。
まるで、Wが使用するファングメモリのように。
メモリは、そのまま影のベルトに既に装着されているロストドライバーに吸い込まれるように、挿入される。
「ぐっ」
同時に、影の姿は変わる。
一瞬、仮面ライダーのような姿へと変わる。
それと共に窓から僅かな光が注がれる。
その姿はまさに黒い獣のようだった。


第20話

 マジックショー当日。遠くからステージを見守る照井の前に、フィリップが現れる。

 

 何かを言おうとする照井だが、いきなりフィリップは照井を殴りつける。

 

 かつて翔太郎が教えた「仲直りの儀式」だ。

 

 フィリップは手を差し伸べ、それを握りしめる照井。

 

 改めて和解した二人は、リリィを救うための作戦を練る。

 

 ショーが始まるとすぐに、リリィのメモリを奪おうと井坂が姿を現す。

 

 ウェザー・ドーパントになり、照井を挑発する。

 

「お前などの相手をしている暇はない……。俺はリリィを救いに行く!」

 

 しかし復讐よりもリリィを救うことを優先する照井。

 

 それと共に

 

「仮面ライダーのはしくれだから」

 

 その言葉に嬉しさを隠せないフィリップ。

 

 だが、そんな事を気にするはずもなく、伊坂はそのまま雷を放とうとした時だった。

 

 伊坂の前に現れたのは巨大な砲台だった。

 

 それが何なのか、分からない照井達だったが、そのまままるでロボットのように変形すると共に、伊坂に襲い掛かる。

 

「あれは一体」

 

「今は、それよりもリリィ白銀の元に」

 

 それが何なのか、正体が分からない。

 

 それでも、フィリップ達の今の目的はリリィの救出だった。

 

 伊坂が謎のロボットによって、足止めしている間に、リリィの元へ向かう照井たち。

 

 一方リリィは無事にショーを成功させるも、その体に限界が訪れていた。

 

 照井はそのままアクセルに変身する。

 

 同時にその手にはアクセルの武器であるエンジンブレードを取り出す。

 

『エレキトリック』

 

 その音声と共に既にインジブル・ドーパントとなっているリリィを一閃。

 

 その電撃を受けながら、リリィは悲鳴を出す暇もなく、そのまま倒れてしまう。

 

「リリィ!」

 

 それには、彼女の祖父であるフランクも驚きを隠せなかった

 

 それと共にリリィは死んだことにより、インビジブルのメモリも排出される。

 

 驚くフランクだが、すぐに照井はそのままエンジンブレードをリリィの心臓だと思われる箇所に近づける。

 

 同時に電気ショックでリリィを蘇生するアクセル。

 

「なっ、どういう事なんだ!」

 

「逆転の発想さ。

 

 生きたままメモリを取り出せないならば、一度心臓を止め、メモリに「持ち主が死んだ」と認識させればいい」

 

 それこそがフィリップの見つけた、たった一つの「リリィを救う方法」だった。

 

 メモリを破壊されて目論みが外れると共に。

 

「許さんぞ、仮面ライダー共!」

 

「許さないのは、俺も同じだ!」

 

 それと共に、照井はそのままエンジンブレードを構え、伊坂に応戦する。

 

 だが、元々Wと協力しても、圧倒された相手。

 

 照井1人だけでは敵わなかった。

 

 そうして、倒れた照井に対して、伊坂はそのまま怒りのまま電撃の鞭を振るう。

 

 だが

 

「キシャアアァァ」

 

 鳴り響く獣を思わせる声。

 

 同時に電撃の鞭を防いだのはファングメモリだった。

 

「行くよ、相棒!」

 

『ファング』

 

 それと共に、ファングメモリが手元にフィリップは起動させる。

 

「ああ……フィリップ!」

 

 

 

『ジョーカー』

 

 それに合わせるように、事務所で休んでいた翔太郎もまた、ジョーカーメモリを起動させる

 

「「変身!」」

 

 

 

『ファングジョーカー』

 

 鳴り響く音声。

 

 それと共に、フィルップは仮面ライダーWへと変身する。

 

 ファングジョーカーの特徴である獣を思わせる咆哮と共に、そのまま伊坂に向かって飛び込む。

 

「貴様ぁ! 邪魔をするな!」

 

 伊坂はそのまま腕から雷を放つ。

 

 その一撃に対して、Wはそのまま野生の直感というべき動きで避けると共に腕から生えた刃、アームセイバーで切りかかる。

 

 だが、それを何とか防ぐと同時に、ウェザーは空中へ飛ぶ。

 

 その瞬間だった。

 

 Wの前に降り立つ者がいた。

 

 それはアクセルの姿であり、彼はそのままエンジンブレードを構える。

 

『ジェット』

 

 鳴り響く音声と共にエンジンブレードの切っ先から高速のエネルギー弾を伊坂に向けて放つ。

 

 その攻撃を防ぐも、今度は背後からのWが回り込み、そのまま切り込む。

 

「無駄な事を!」

 

 それと共に伊坂は先程の電気の鞭を伸ばし、剣のように変えて、受け止める。

 

「ぐっ」

 

 以前の戦いと比べても、確かな連携で伊坂を追い込む事ができた。

 

 しかし、Wとアクセルの2人の仮面ライダーを相手にも伊坂1人のドーパントを追い込む事ができない。

 

 その時だった。

 

「真打ち、登場だな!」

 

『ナスカ』

 

 鳴り響く音声。

 

 それと共に現れたのは3人目の仮面ライダーナスカだった。

 

「影、君は、大丈夫なのか?」

 

「それが、起きたら、なんだか怪我が治っていて」

 

 自身でも不思議なのか、影は首を傾げていた。

 

 それでも

 

「今は、あいつを倒す事に集中しましょう」

 

「そうだな」

 

 その言葉と共に、3人はそのまま伊坂に目を向ける。

 

「仮面ライダーが3人ですか。

 

 だけど、その程度で、果たして、勝てるか」

 

 それと共に、伊坂はそのまま、両手から台風を作り出す。

 

 伊坂を中心に作り出された台風は周囲の物を吹き飛ばしていく。

 

 その中で、伊坂は叫ぶ。

 

 そして同時に暴風を生み出し、周囲にまき散らす。

 

 その勢いによって吹き飛ばされそうになるが、W達は何とか耐えた。

 

 そんな中で、ウェザーは手を振りかざし、そこから竜巻を発生させる。

 

「影、アクセル。

 

 マキシマムで決めるよ、いけるか」

 

 それに合わせるように、照井はそのままアクセルドライバーに手を伸ばす。

 

『アクセル! MAXIMUMDRIVE!』

 

『そうこなくちゃな』

 

『ファング! MAXIMUMDRIVE!』

 

『ナスカ! MAXIMUMDRIVE!』

 

 照井の無言の同意に答えるように、Wも、影もまたマキシマムドライブを発動させる準備を行う。

 

『良いか、タイミングを合わせて、ライダートリプルマキシマムだ』

 

「えっ、俺もか」

 

「君もだ」

 

 それに合わせるように、照井の身体は炎が。

 

 Wの右足には青いオーラが。

 

 そして、影の右足には同じく青いオーラが。

 

 3人の仮面ライダーは、まさに目の前に迫っている伊坂に向かって、飛び込む。

 

 それはまるで、巨大な砲弾の様に。

 

 真っ直ぐと放たれた3人のライダーキックは、襲い掛かる嵐を全て吹き飛ばす。

 

 それこそが、決着の一撃となった。




「それにしても、影。
本当に回復しているとは」
そう言いながら、俺の身体をフィリップさんが見る。
「これって、一体どういう事なんですか?」
「分からない。
ガイアメモリの力の影響で負った傷やダメージは通常の医学では治療ができず、基本的には本人の自然治癒や回復力に頼るしかない」
「それって、俺がその自然治癒が異常と言う事?」
「だったら、普通、怪我したらすぐに治ると思うけど」
「これも、ナスカメモリの影響なのか?」
そう疑問に思いながら、俺達は話していく。
「もしくは、全く別の。
メモリの力なのか?」
その疑問に対して、答える者は誰もいなかった。
この場には。

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