俺は、まずは屋敷の中に入る前に確認する事にした。
周囲に人影がないかどうかを。
まぁ、いたらどうするかという話ではあるが。
そうしながら、俺はヴァンパイア・ドーパントの変身者であるルコシが所有していた屋敷。
現在は、シェアハウスという形で4人の住人が、ここに住んでいる。
彼らの中に、ルゴシが変装した人物がいる可能性は高い。
とはいえ、その全員を調べるには時間が足りない。
だからこそ、俺達は別れて調べる事にした。
そう言いながら、俺は改めて、このシェアハウスに住む人物を調べる。
1人目。
名前は、紅音里緒奈(あかねりおな)。
年齢は19歳。
職業は、大学生でイラストレーター志望。
趣味で小説を書いているらしい。
2人目。
名前は、三波朱美(みなみあけみ)。
年齢は20歳でOLをしている。
3人目。
名前は、空越 ルーカス(からごしるーかす)。
年齢21歳のフリーターで小説家を目指している。
4人目。
名前は、水無月彩夏(みなづきあやか)。
年齢18歳の高校生で漫画家志望。
ちなみに漫画のタイトルは『白銀の戦乙女』という物らしい。
さて、そんな感じで調査を進めながら、各々の部屋の状況を調べていく。
事前に調べていたルゴシの容姿は老人をイメージしていた。
しかし、それはあくまでも表で見せる顔である。
荘吉さんの情報から考えても、ヴァンパイア・ドーパントの力で、肉体年齢が若返りを行う事も可能だと分かる。
だからこそ、今、注目すべきは、この中で誰が怪しいのか。
僅かな情報を見逃してはいけない。
「そもそも、シェアハウスにした理由は何だ?」
荘吉さんの話では、このシェアハウスはルゴシが購入した物であるとの事だった。
そうなると、彼が自分の名義で買ったマンションに4人で住んでいる事になる。
つまり、それだけ家賃が高くなりそうだ。
それなのに、何故、シェアハウスという形式を選んだ?
考えられる可能性としては、ヴァンパイア・ドーパントとしての餌だろう。
ヴァンパイア・ドーパントの力の維持には生きた人間の血液が必要だ。
それを考慮しても、複数の人間が住んでおり、監視が行いやすいシェアハウス形式の方が都合が良いと考えたのかもしれない。
他にも色々と理由があるかもしれないが、今の所は分からない。
ただ言える事は、ここにいる誰かがルゴシの正体であり、そして、5年前の事件を起こした犯人だという事だ。
だからこそ、俺は慎重に行動しなければならない。
「だからこそ、多少の違和感でも良い。
それが、確実な手掛かりじゃなくても良い。
何か」
そうしながら、俺はゆっくりと確かめるように。
「ねぇ、影」
「ヒサメ」
やがて、俺と合流したヒサメ。
「何か分かったのか?」
「全然。
4人共、怪しい所はなかった」
「だとしたら、他に」
そうして、俺が悩んでいる時だった。
「ねぇ、影」
「どうしたんだ?」
「ヴァンパイアって、姿を変えられるんだよね。
それって、長く続けると、どうなるのかな?」
「さぁな。
けど、以前、鳴海荘吉さんに関する事件で、ダミーというドーパントがいたらしい
。
能力は様々な人間の姿を変えられる。
だけど、長く変装を続けると思考や趣向が変化した相手に寄る副作用があるって、フィリップさんから聞いたけど」
「それって、ヴァンパイアも同じなのかな?」
「さぁな。
でも、見た目が大きく変わる以上、別の何かを目印に」
そう考えて、俺はその目印について考える。
それと共に、4人の中でルゴシとの共通点は。
「そういう事だったか」
「どういう事?」
「見つけたんだよ、ルゴシが姿を変えた奴をな」