それは、俺自身がナスカメモリを使いこなせているのが繋がっているのか。
それとも、過剰適合によって、その毒素が俺の身体に染みこんでいるのか。
「ぐっ」
そんな疑問を余所に、未だに身体が熱い。
先程の井坂との戦いの最中で、これまで決して使う事ができなかった複数の能力を同時に使用。
それによって、俺自身も信じられない程の力が確かにあった。
けど、それと同時にこれまでとは比べものにならない程の闘争本能を刺激する。
「今の翔太郎の力は弱すぎる。
だが、君はサイクロンの力に耐え切れた。
どうだろう」
そう、雨の中で聞こえた。
それを問いかけているのはフィリップさんであり、その相手は照井さんだ。
もしも、その提案を受けたら。
俺はそう思いながら、急いで、向かう。
間に合って欲しい。
そんな気持ちを焦りを生んだ。
だが
「フィリップ、つまらない質問をするな。
俺は1人であいつらを追う」
そう、照井さんは、フィリップさんの提案を拒んだ。
「ちょ、フィリップ「フィリップさん」えっ」
「最初に言います。
すいません」
「何をぐっ」
そう、フィリップさんが俺に対して疑問に思う前に、頬を殴る。
突然の事で、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。
「あんたは、何をやっているだっ」
そう、俺はこの事件の間に溜め込んだ何かを吐き出すように叫んでしまう。
「何をだと?
君も分かっているはずだ」
同時にフィリップさんは冷静そうに立ち上がる。
それはシュラウドが言った言葉だろう。
「翔太郎ではもう僕のパワーについてこれない?
それは君も分かっているはずだ、彼はWとして戦うにはあまりにも力不足だ。
君も言ったはずだ」
「確かにそうですね。
もしかしたら、翔太郎さんは、Wとして戦うのは力不足です」
「影っ」
俺の言葉は、フィリップさんの言葉を肯定していた。
その事にヒサメも亜樹子所長も驚きで目を見開いていた。
「だけど!
あんたらはもぅ、Wじゃないっ」
「僕達がWじゃない?」
「あぁ、確かに完全な力を発揮するWじゃない。
だけど、翔太郎さんとフィリップさん。
2人が合わさった事で誕生したのはWなんかじゃない」
俺は同時に、その手に持ったロストドライバーをフィリップさんに見せる。
「俺を、最初に仮面ライダーとして認めてくれた。
あんたらは既に誰かが作ったWじゃない。
翔太郎さんと共に街の人々を守ってきた仮面ライダー。
それがあんただろ」
「仮面ライダー」
そう、その一言にフィリップさん。
同時にふと、手元にあった木彫りの熊から紙が落ちる。
「これは」
「Nobody's Perfect」
そう、鳴海荘吉からのメッセージが書かれていた。
「そうだ。
僕達は、2人で1人の仮面ライダーだ。
鳴海荘吉の意志を受け継いだ、僕達は戦闘マシンであってはいけない」
同時にフィリップさんもまた大事な事が分かったように悲痛な表情をする。
「すまない、君にも無茶をさせた」
「へへっ、それだけ聞ければ十分です。
それに、もしかしたら」
「影?」
それと共に、俺はナスカメモリを見る。
「行ってください。
翔太郎さんの、相棒の所に」
「あぁ」
その言葉を聞き取ると共に、フィリップさんは、翔太郎さんの所に向かう。
未だにWとしての変身が解決した訳ではない。
だが、仮面ライダーWとしての、コンビが確実に復活する。
それは、俺に確かな確信があった。
「まさか、フィリップと翔太郎によるエクストリームが誕生するとは」
そう言いながら、シュラウドは、先程までの戦闘を思い出しながら言う。
当初、フィリップの力が強くなった事によって、シュラウドの思惑通り、照井竜とWになろうとした。
それは、確かにあと少しまでだった。
だが、自身が生み出した3人目の仮面ライダーである影の説得によって、フィリップは再び翔太郎とコンビを組んだ。
だが、このまま続ければ、いずれ照井竜とWになる。
そう考えていたはずだった。
だが、それが一番の想定外の出来事が待ち受けていた。
翔太郎とフィリップの2人がエクストリームへと到達した。
翔太郎とのWでは、決して到達できないはずの。
「どうやら、セカンドプランを考える必要があるわね」
同時に取り出したのは翔太郎達が使用するWドライバー。
「獣では、獣では、決して恐怖には抗えない。
ならば、あの子にはこれを使って貰うしかないわね」
そして、そこにはメモリが一つ。
同時に、そのメモリを鳴らす。
『ウェザー』