俺のZを巡る事件は終わりを迎えた。
爺さんが残したとされる遺言。
あれは爺さんが死ぬ前から、既にガイアメモリの存在を知っていたからだ。
それは、シュラウドに大きく関係した事が、本人から語られた。
「あなたのお爺さんは、私の知り合いだったわ。
ガイアメモリの研究を行った際に必要な材料などは全て、あの山から採れたわ」
「それじゃ、あんたも森を汚染したのか?」
「最低限の被害のみよ。
何よりも、あなたのお爺さんから許可された場所のみに」
その言葉に俺はとりあえず頷く。
「それじゃ、これまでの多くのガジェットやメモリも」
「えぇ、あそこで作らせて貰ったわ。
材料を手に入れる手段が少なかった私が活動できるのも、あの人のおかげだから」
シュラウドから語られるその言葉に、嘘偽りはなかった。
「という事は、あんたは俺が最初からナスカに適合すると知っていたのか」
同時に俺は思わずシュラウドを見つめた。
「えぇ、その通りよ。
あなたは既に覚えていないけど、幼い頃。
あなたと私は会っているわ」
その事は、思わず言葉を失った。
「なんというか、少し驚きを隠せない。
という事は、あの遺言も、あんたが?」
「えぇ、あなたのお爺さんが死ぬ前の願いを叶える形でね。
近い内に、組織がこの森を狙ったのも目に見えていたから」
シュラウドはどこか遠くを見ながらそう答えた。
そんなシュラウドの様子に、俺は疑問を抱く。
「さっきから気になっていたんだが、どうしてそこまでして拘るんだ?
組織の狙いもこの森だとしたら、尚更だろ?」
そして、俺の言葉にシュラウドは冷たい表情でこちらを見る。
まるで、何かを悟ったかのような様子で。
「ここは、私にとっても思い出深い場所でもあるからよ。
あの子達と一緒に過ごした思い出の場所でもあるから」
「あんたも、ここに来ていたのか」
そんな意外な事実を聞きながら、俺は改めてシュラウドを眺める。
未だに、その顔は包帯で巻かれており、どのような考えをしているのか分からない。
だが、彼女が組織と戦う理由は、その言葉の中にあるだろう。
「とりあえず、あんたの事は分からない。
けど、その言葉が本当だから、信じられるよ」
これまでも、俺の事を助けてくれた。
それが彼女が何かを狙っての行動だとしても、だ。
それだけは、確かな事なのだから。
そんなやり取りを終えた後、俺は風都へと戻る事にした。
振り返れば、既にシュラウドの姿はまるで霧のように消えていた。
「おーい、影!」
そう、見つめていると、聞こえた声。
見れば、その先には、ヒサメがいた。
その肩には、ズーメモリが乗っていた。
「こいつ、すっかりとヒサメに懐いているな」
「うん、この子、結構可愛いしね」
そう言いながら、ヒサメの言う事をすっかりと懐いている様子だった。
「それにしても、結局、これどうしよう」
「んっ?」
それは、ウェザーメモリだ。
一応は俺達ライダーが使うのと同じく毒素が抜けている。
「とりあえず、帰ったら、翔太郎さん達にも相談しておこう。
このウェザーメモリはあまりにも危険だ」
「うん」
そう、俺達は風都へと帰る事にした。
「弾空寺家に纏わる事件は終わりを迎えた。
今、あるZENONリゾートは観光会社に売却された。
これ以上は施設の増加をしないのを条件に。
それによって、影の長い間の呪縛は完全に解放された。
だが、影はこれからの道は、怪盗のままだろう。
街の涙を拭う仮面ライダーとして、俺達と共に」