バーバリアン・ドーパントに変身していた社長は、殺されてしまった。
俺達の前に現れた謎の煙が、そのまま社長の身体に潜り込むと共に、その肺を瞬く間に黒くさせ、死亡させた。
すぐに追いかけようとしたが、煙は素早く逃げていった為に捕まえる事ができないまま、謎の煙を見失ってしまった。
とりあえず、警察に任せ、俺達は怪しい人物を探し始める事にした。
「そう言っても、怪しい奴が多すぎるよ」
「まぁ、それはそうだろうな。
なんだって、あの社長は相当恨まれていたみたいだからな」
どうやら、あの煙の正体は何かしらの形で恨みを持っていた者がドーパントとなった。
俺はそのまま会社内の社員を見つめていく。
目の隈が酷く、ヨレヨレのスーツとボサボサの髪、死んだ魚の目をした30代の男性である佐島八郎。
大学卒業後、既に勤務は2ヶ月でありながら、ミスが多い青年である柘植浩一。
仕事を日常的にサボってSNSやスマホゲーばかりする中年男性である田上孝太郎。
社内での会話が少なく、同僚から嫌われている女性で今宮早苗。
「たぶんだけど、この4人かな」
「どうして、そう思うの?」
「直感としか、言えないな。
だけど、おそらく間違いないと思う」
根拠というか、直感でしかない。
「けど、誰が?」
その言葉に、俺は観察していく。
佐島八郎は、その身体から体臭が特徴的な事以外にも、よく咳き込む事が多い。
柘植浩一は、苛つく事がよくあるのか、舌打ちも多くて仕事態度が悪かった。
田上はスマホゲームをよくしていて、暇さえあればネットサーフィンをしているようなタイプだ。
今宮早苗に関しては、あまり話さないものの、その視線は常に下を向いていて、たまにブツブツと言っている姿も目撃されているらしい。
全員が全員とは言わないが、それでも疑わしい。
「けど、本当に分かるの?」
「調べている限りは、全員は酒も煙草もしていないようだね。
あまりのブラック企業ぶりで、できないそうだし」
「……」
そう、ヒサメの言葉を聞きながら、俺は再び今回のドーパントの特徴を思い浮かべる。
肺が黒く染まっていて、それらは煙草による中毒症状。
そこから、今回のドーパントのメモリの正体は『シガレット』
つまりは煙草のドーパントだ。
そして、バーバリアン・ドーパントの社長を殺す為に、煙となって、身体の中に潜入して、そのまま殺した。
「それが、鍵になるかもしれない」
その身体を煙に変えたという事は、通常以上に煙草による影響が大きい。
「影、何か、分かったの」
「あぁ、ドーパントの正体がな」