あれから、ずっと雪絵さんを探し続けた。
しかし、その姿を見つける事ができず、翌日。
俺はとある場所に来ていた。
「ここは?」
『雪絵とよく一緒に遊んだ公園だ。
ここからだったら、もしかしたら』
そう言っていると、まるで偶然のように。
そこには確かに雪絵さんがいた。
その雪絵さんの手に持った。
一点だけ血の滴が落とされたようなボロボロのスカーフを見せる。
「それは……」
「わからない?兄さんのスカーフ…。私が婚約祝いであげたもの。…面白い偶然ね。この街についた時に出迎えてくれた…。まるで私に助けを求めるように」
雪絵の声は語るにつれてどんどん悲痛な色をのせていく。
「私は許さない…絶対に許さない!兄さんを殺した貴女をね……!!」
「えっ?」
その言葉に俺は思わず、首を傾げる。
俺達郎に向かってこのような台詞を吐いた雪絵。
ついでに使うべき字も違っている。いや。
「まさかっ」
『冴子っ」
理解すると共に、それは確かに見えた。
「さあ、永遠に昨日という監獄に囚われるがイイ!園咲冴子!!」
【YESTERDAY】
同時に、イエスタディ・ドーパントに姿が変わり、首筋にイエスタディの刻印があった。
「まさか、こうして出てくるとはねぇ」
『井坂っ!
貴様っ!!』
「ナスカの力を十全に引き出せなかった亡霊には興味はありません。
今、私の興味は、君ですからねぇ」
そう、笑みを浮かべながら、俺を見る。
「これまで誰も引き出せなかったナスカメモリの性能を出し、さらにはズーという珍しいメモリを使う事ができる。
そんな人物、私が放っておく訳ないでしょ」
「まさか、雪絵さんをその為の餌にっ」
「えぇ、彼女を救いたければ、頑張る事ですねぇ。
最も、私にその力を見せてからですが」
『ウェザー』
その音声と共に井坂はウェザードーパントへと変わる。
こんな時に。
『アクセル』
「変身!!」
「これは、照井さん!」
同時に飛び出したのは、照井さんだった。
「お前達は、彼女を助けろ!」
「照井さん!」
「こいつは俺の仇だっ!
何よりも、妹を助けろ!」
その言葉に、どこか迫力があった。
そうしている間に、イエスタディ・ドーパントとなって、昨日と同じ行動をしている雪絵さん。
それに対して、霧彦は。
『影、雪絵を。
妹を助ける為に、力を貸してくれ』
そう、霧彦が俺に向けて言う。
その顔は確かな決意が見え、その言葉に対して。
「断る訳ないだろ。
相棒の願いを」
俺はそう不敵な笑みを浮かべながら、ナスカメモリを取り出す。
「行くぜ、霧彦」
『あぁ』
『ナスカ』
ナスカメモリを起動させると共に、腰にロストドライバーを装着すると共に、そのままナスカメモリを装填する。
「『変身!』」
その言葉と共に、俺は仮面ライダーナスカへと変身する。
同時に、今は暴走しているイエスタディ・ドーパントは、その手から無数の光弾を真っ直ぐと俺に向けて放っていく。
その攻撃に対して、俺は手に持ったナスカブレードでその光弾を切り裂く。
しかし、その光弾は地面や周囲の木々に当たり爆発し、衝撃によって周囲の土煙を吹き飛ばす。
だが、俺はその攻撃を避けながら、イエスタディ・ドーパントに向かって走り出す。
そして、イエスタディ・ドーパントの手が届くギリギリの場所まで近づくと同時に、その場で跳躍すると一気に剣を振り下ろす。
当然のように、イエスタデイはその攻撃を防御するように腕を前に出し、受けようとするのだが──その瞬間、俺は右足を鋭く振り上げる。
その一撃に吹き飛ばされて、一瞬だけ、動きを止める。
「今の内にっ!」
俺がそう、すぐにナスカメモリに手を伸ばそうとした時だった。
俺の身体は、目を覆う程の蝶に覆われた。
「これはっ」
『スワローテイルっ!組織からの刺客かっ!!』
スワローテイル。
その単語はあまり知らないが、どうやらこの戦力を見る限り、おそらくは蝶だろ。
『影っ、気をつけろ!
奴はっ』
アゲハ蝶は分裂したときであり360°を包囲し一斉に風刃が俺に襲い掛かる。
咄嵯に避けようと身体を動かすも、完全包囲した風の刃を全て避ける事は出来ず、頬を切りつけられてしまう。
さらにそこから追い打ちを掛けるように、俺腹部を蹴り飛ばしてくる。
思わず苦悶の声を上げる中、イエスタディの攻撃が飛んでくる。
「すぐにでも助けなきゃいけないのにっ」
「だったら、それは俺達の役目だな」
『あぁ』
聞こえた声。
それと共に、アゲハ蝶達は突然吹いた風によって、吹き飛ばす。
「翔太郎さん!井坂の奴はっ」
「照井がなんとかしてくれている。
お前はその間に彼女を救え!」
『CYCLONE!METAL!』
同時に、翔太郎さんはそのままサイクロンメタルとなって、その手に持ったメタルシャフトで、全ての蝶を吹き飛ばしていく。
同時に俺はナスカメモリをそのまま手に取る。
『FAMILY!』
鳴り響く音声と共に、俺はそのままナスカブレードに装填する。
通常、このメモリは役に立たない。
ドーパントに変身するほとんどは、そのメモリの強い毒素で効果は出ない。
だけど、今回は違う。
何よりも、妹である雪絵さんを、兄である霧彦の思いが集まっている。
俺はそのまま真っ直ぐとイエスタディ・ドーパントに向けて、ナスカブレードを振り下ろす。
振り下ろされた一撃によって、イエスタディ・ドーパントの身体からイエスタディ・メモリが飛び出る。
『雪絵!』
そう、霧彦と共に抱き寄せる。
「兄さん、私」
『良いんだ、今はゆっくりと休んで』
その言葉と共に、雪絵さんはゆっくりと目を瞑る。
「影っ」
「あぁ、なんとかなった。
だから、ヒサメ!」
「あぁ」
同時にヒサメはそのままズーメモリを取り出す。
「「変身!」」
『ナスカズー!』
その音声と共に、俺達はナスカズーへと変わる。
同時に見つめた先には、スワローテイル・ドーパントを一カ所に集めている翔太郎さんの姿が見える。
それと共に、分裂したら不利なのか、禍々しい蝶を思わせるドーパントへと変わる。
「一気に決めるぜ」
『タイガー!』
その音声が鳴り響くと共に、俺の身体は虎を思わせるアーマーを身に纏う。
『タイガー!MAXIMUMDRIVE!』
その音声と共に、俺は両手に纏った虎の爪を構える。
それと共に、スワローテイル・ドーパントに向けて、俺は一気に駆け出す。
向かってくる俺に対して、気づかず、そのまま一気にメモリブレイクする。
「影、雪絵さんは」
「決着ついた!
後は!」
その言葉を聞くと同時に、照井さんが危機的状況になっているのに気づく。
「影っ」
「あぁ」
『エレファント!』
その音声と同時にタイガーアーマーはパージされ、灰色の像を思わせるアーマーを身に纏う。
同時に、左肩には象を思わせるシールドが装着する。
俺はそのまま肩にあるシールドから伸びている鼻を、そのまま井坂の身体を縛り付ける。
「なっこれは!」
「これは、まさか影!
だったら、今は!」
『アクセル!MAXIMUMDRIVE!』
鳴り響く音声と共にボロボロな状態ながらも、照井さんは立ち上がる。
そのまま、その身体を炎に纏いながら、井坂に向かって、蹴り上げる。
「まさか、ここまで厄介だとは。
だが」
しかし、違和感があった。
そこには井坂の姿はなかった。
「何が?」
『おそらくは蜃気楼だろう。
まさか、ここで逃がすとは』
「ぐっ、せっかくのチャンスがっ」
そう言いながら、照井さんは悔しそうに地面を叩く。
「すいません、俺が」
「そんな、言葉、今は意味は無い!
何よりもっ俺に力が足りないだけだ!」
そう叫びながら、照井さんの叫びは空しく響いた。
「事件は無事に解決した。
雪絵さんは、イエスタディ・メモリの後遺症で今は病院に入院している。
その入院先は、風都から離れた場所だった。
組織に深く関わっている事もあって、組織が手の届かない所に。
彼女が、風都に戻ってくるのは何時になるか分からない。
だけど、彼女が風都に戻ってくるのは、組織との戦いが決着がついた時だろう」