仮面ライダーナスカ   作:ボルメテウスさん

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第43話

翔太郎さんに言われ、調べた人物である山城さん。

 

彼は10年前、組織であるミュージアムに誘拐されていた。

 

そこで彼は立派な研究施設、潤沢な予算、それらが全て用意された環境に魅入られて、自らの意思で家族を捨てた。

 

そんな彼がもう1度、家族に会いたいという事で、俺達は依頼を受けた。

 

だが、俺はそんな事よりも、彼が話したフィリップさんの記憶を消したという話が大きかった。

 

これまで、記憶が無く、苦しんでいたフィリップさんにとっては、まさに自分自身を知る為の手掛かりだった。

 

その事で、フィリップさんは動揺を隠せず、一日を寝ずに過ごしていたらしい。

 

そして、今、フィリップさんの元に来た電話。

 

それは、園崎若菜から一緒に街から逃げて欲しいという願いだった。

 

フィリップさんにとって、これまで若菜さんはまさに憧れの人物だった。

 

同時に何度も会っている内に魅了されている様子もあった。

 

そんな彼女から、逃げて欲しいという悲痛な叫び。

 

それを、どうすれば良いのか、フィリップさんは悩んでいた。

 

「影君からも何か言えないの?」

 

「俺からは、なんとも。

けど、フィリップさん。

もしかしたらの話で良いですか」

 

「何かな?」

 

ふと、俺はとある疑問点を思い出す。

 

過去に、フィリップさんから聞いた何気ない彼らとの会話。

 

「フィリップさんと若菜さんって、出会った頃から、結構仲が良かったんですよね」

 

「あぁ、僕としては、若菜さんの力になりたい」

 

「けど、若菜姫は園崎家なんだよ」

 

「えぇ、けど、園崎家には確か、長男がいたはずなんでしたよね。

その弟と一緒にいた時は、なぜか気持ちが落ち着いたとか」

 

「・・・影、それってもしかして」

 

翔太郎さんは、ここまでの話の流れで直感なのか、理解したように見つめる。

 

「えっえっ、どういう事?

話の流れが分からない。

ヒサメちゃん、分かる!?」

 

「私も分からなくて」

 

そう、亜樹子所長も、ヒサメも困惑している。

 

正直に言えば、俺自身もこの話が憶測に過ぎない。

 

それでも、もしも当たっていれば。

 

『・・・長男。

確かに僕が婿入りした時に、昔弟がいたって、冴子から聞いた。

その弟の名前は、来人だと』

 

「っ!?」

 

同時にフィリップさんが転げ落ちるように驚いた。

 

「どうしたんだ」

 

「過去に、アームズの事件の時に僕の事をそう呼んだ女性がいた。

もしも、その言葉を信じるならば」

 

「フィリップは園崎家の長男」

 

それは、ある意味恐ろしい事実だった。

 

これまで戦ってきた組織の中心にいる存在。

 

その園崎の家系がいる事に。

 

何よりも動揺が隠せないのは、フィリップさん自身だった。

 

「それじゃ、若菜さんは、僕の姉さん」

 

「本当の家族なの。

だとしても、このまま」

 

亜樹子所長はそれまでの話を聴き、頭を混乱していた。

 

いや、むしろこの場にいる全員が同じだろう。

 

「・・・フィリップさんは、若菜さんに対して、どう思います」

 

「・・・彼女は本当は優しい人だと思う。

あの時、電話越しで助けを求めた声も嘘ではなかった。

だから、僕は」

 

それは、ある意味、翔太郎さんとフィリップさんの、仮面ライダーを終わりを意味している。

 

それを聞いて、俺は少し寂しい思いをする。

 

けど

 

「家族はいなくなったら、きっと後悔します。

誰よりも大切な家族ならば尚更」

 

「俺も、家族はもういない。

だから、フィリップ、お前が後悔しない事に、俺は何も言わない」

 

「影、翔太郎」

 

この別れは、俺はむしろ良いかもしれない。

 

力を求めての別れではない。

 

フィリップさんはフィリップさんの新しい戦いの為に、向かう。

 

「任せてください。

この鳴海探偵事務所の仮面ライダーは俺がいますから」

 

「影は調子に乗りすぎ。

だけど、フィリップさんに心配かけないように私達も頑張りますから」

 

「私は、正直今でもまだ反対だけど、フィリップ君が本当に望むならば」

 

そう、俺達はフィリップさんの背中を押すように進める。

 

「皆っ、ありがとう。

僕にはっ背中を押してくれる家族がいる。

だからこそ、僕は行くよ」

 

それが、フィリップさんの決意でもあった。

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