――カンッ――
撮影が始まり、カメラには何だかクワガタ虫を模した鎧と大剣を纏うあいと、その前に立つ二人の存在がいた。
「どこへ行く?ジェシカ」
「どこ行くんすか?」
カカシ役の照井さんと天使役の真倉刑事。
「彼方へ!!私の道を、切りぃ拓く!!」
やたらと大剣を振り回し、最後に要らぬポーズをとるジェシカ。
「・・・カット・・・」
「監督は腹から声出すぅー!!」
声が小さいことを亜樹子に指摘された川相さんだが、
「・・・カット・・・!」
頑張ってもこの程度だった。
「あのさ、なんで俺こーんなことしてんの!?」
ハープを鳴らしながら真倉刑事が問う。
「は~い。ボクも暇そうにみえて、暇じゃ、ないんだけどな~」
「おい亜樹子。これはどういうつもり――――」
「亜樹子プロデューサー!もしくは、可愛らしく亜樹Pと呼ぶように♪」
亜樹Pはスリッパで翔太朗とウォッチャマンを叩き、本格的な意思表示をする。
「「「「「「「「「亜樹P???」」」」」」」」」
それを聞いた俺達は呆れ果てた。
「これは、映画作りを通して、透君の社会復帰を促すの。彼センスは良いと思うんだよねぇ。だから皆で未完の映画を完成させて、ガイアメモリの魔力に打ち勝つ心をつくって上げるの」
そう言った所長の視線は自然とフィリップさんに向けられた。
今回の映画作りの目的は確かにあの人の社会復帰も入れているが、若菜さんの一件で落ち込むフィリップさんの再起を促す為でもある。
口には出していないが、ここまで積極的な動きを見れば、自然と頷ける。、
「この映画でか?」
照井さんの持つ台本には”聖戦士・ジェシカ 改訂版”と書かれていた。
「聖戦士・ジェシカ?」
「ヒロイックファンタジーの決定版よ。無駄なシーンは全部省いて、理想の映画尺、90分に纏め直したわ」
すると川相さんも筆談にて。
――問題ない。内容はとても良くなっている――
「でしょでしょ!あいちゃん本人にも出てもらって!・・・アクション!」
向こう側から迷彩服着てショットガンを構えるあい。
「ギャグ!」
と思ったら今度は一昔のおっさんコスプレ。
「お色気も二倍増しよ」
次は胸元が大きく開いた白のワンピース姿。
「待って!!」
そこへ亜樹Pが待ったをかける。
「実はこの映画撮影、”ラブラブMOVIE大作戦”でもあるのよ!!」
「らぶらぶ?」
翔太朗が台本を落した。
「「「「「「「「「ラブラブMOVIE大作戦???」」」」」」」」」
「今はロクに人と話せない透君だけど、憧れのあいちゃんと一緒に映画を作れば・・・!」
その言葉と共に所長の恋愛関係の話を行っている。
まさか、そちらが本命なのか。
「そんなの上手くいく訳ないだろ。
そうだろ、ヒサメ」
「えっ、そっそうだねぇ」
それと共にヒサメはなぜか目を泳がす。
まさか、本気で上手くいくと考えているのか?
「ヒサメちゃんのプランもちゃんと考えているからね」
「しょ所長っ!何を言っているんですか!?」
何やら、二人が騒がしいが、とりあえずは今は映画の撮影を優先するべき。
「まぁ、それにしても」
俺はゆっくりと台本を読み返す。
「雰囲気、一気に変わってしまったな。
前のも結構好きだったのに」
「っ!」
その言葉に、川相さんが反応した。
もしかしたら、川相さんがやりたかった映画は。
そうして、考えている間にも、事態は大きく変わった。
映画の進行事態は、特に問題なかった。
しかし、その最中で現れたのは、若菜さん。
いや、若菜さんが変身したクレイドール・ドーパントだった。
「若菜さん、いや姉さん。
無事だったんですね」
「えぇ、問題ないわ。
むしろ、ライト、あなたがこちらに戻ってきなさい」
「っやはり」
その若菜さんの言葉に、フィリップさんは言葉を詰まらせる。
「力尽くでも、彼女を止めるぞ」
「あぁ」
それと共に左さんの言葉を聞いて、フィリップさんはそのままWへと変身する。
Wへと変身した2人と若菜さんとの戦い。
それは圧倒的に翔太郎さん達の優勢のまま進んでいた。
メモリのランクもそうだが、エクストリームに達した2人を相手に、若菜さんが勝てるはずはなかった。
「姉さん。
すぐにでも、解放する」
同時にフィリップさんも、メモリブレイクを行おうとした時だった。
「アッハハハハ!・・・ハハハ!」
崖の上で笑う冴子。
「園崎冴子!」
「何時の間に?」
そこには、まさか幹部がもう1人いたとは。
だが、その雰囲気は助けに来たという感じではなかった。
「無様ね。貴方をいたぶりに来たのに拍子抜け。そんな力でよく自分自身がミュージアムだなってぬかしたものだわ」
『なんですって・・・!』
そう、若菜さんを馬鹿にするように言う。
これは一体。
「今見せてあげる。姉の意地を」
同時に取り出したのは
「あれは、ヒサメの持っていたウェザーメモリ」
「それに、なんだ、あのドライバーは!」
「井坂先生が残してくれた力。
それを、今、見せてあげるわ」
『ウェザー』
同時に彼女はその腰にドライバーを巻くと共に、そのままウェザーメモリをドライバーに入れる。
そうする事によって、その姿をウェザー・ドーパントへと姿を変える。
外見上は大きな変化はない。
だが、なぜだ。
背筋を凍るような感覚は。
「まずは、これね」
『ガス』
それは、ガイアメモリだった。
既にウェザーメモリを使っているはずなのに、なぜ?
そう疑問に思っている間にも、ウェザー・ドーパントはドライバーのもう片方にメモリを入れる。
それと共にウェザー・ドーパントの左腕は大きく変化し、まるでガスを思わせる煙だった。
煙はそのまま翔太郎さん達に向かって、放たれる。
その煙の中から、無数の雷が、縦横無尽に襲い掛かる。
「これはっ一体っ」
「これまでのウェザーとは違う」
「翔太郎さん!」
俺はすぐにナスカメモリを取りだし、そのままロストドライバーに装填する。
『ナスカ』「変身!」
俺はすぐに仮面ライダーに変身すると共に、その手に持ったナスカブレードを一直線に構える。
「ふっ」『ビートル』
だが、すぐにウェザー・ドーパントは新たなメモリをそのままドライバーに入れる。
それによって、その腕はカブトムシを思わせる一本の剣となり、攻撃を受け止める。
「これはっ」
「これが新型ドライバーの力よ。
別のメモリを空きスロットに追加挿入することで、短時間に限るが身体を部分的に変化させ別の能力を使用することができる。
あなたと霧彦とは違い、何度でも使えるけどね!」
『冴子』
それには霧彦は暗い顔をする。
同時にその剣に稲妻が走り、俺をそのまま吹き飛ばす。
「ぐっ」
「これはっやばいっ」
ウェザー・ドーパントは、天気に関する能力という事で、それだけでも万能に近い。
それに、あの新型ドライバーによって、他のメモリの力と組み合わせる事ができる。
それは、間違いなく、これまで戦った、どのドーパントよりも強敵だ。