刃野幹夫と俺の関係は意外にも、結構長い。
その理由としては、俺が怪盗として、活動を始めた頃に遡る。
その日の初めてのメモリを手に入れ、未だに怪盗としての技術はあまりなかった頃、偶然だが、刃野さんに見つかってしまった。
容姿が仮面ライダーに似ていたが、まるで泥棒のように見える行動からして、俺をすぐに逮捕するように動いた。
メモリとの関係というよりも、彼自身は善良な警察官という事で、俺は特に気にせずに逃げていた。
しかし、以外にもこの人物はかなりしつこかった。
というよりも、あの人は見た目とは裏腹に、かなりのやり手であり、建物の間に逃げる俺に対して、結構しつこく追ってきた。
しかし、その反面、かなりの騙されやすく、まるでコメディでもやるようによく罠に引っかかっている。
その様子を見ていた霧彦からはよく「トムとジェリー」や「ルパン三世と銭形刑事」という表現をされていた。
今は、こうして鳴海探偵事務所で働いており、怪盗行為は少なくなっていたが、要注意人物として、俺の中ではピックアップされていた。
されていたのだが。
「頼むよ、俺の無実を証明してくれよ!」
まさか、彼自身が逮捕されるとは思わなかった。
事件の内容からしても、雨の夜、突然抱きついてきた謎の女に、宝石の窃盗犯に仕立て上げられたらしい。
その真犯人を見つける為に、俺達は行動する事になった。
「それにしても、影は意外と積極的なんだな」
「ある意味、俺が道を外さなかったのは、犯人に対して殺意を向ける前に、あの人が来てくれたおかげかもしれませんからね。
あの人、騙されやすいけど、どこか不思議と悪い気はしなかった」
「それが、あの人のおかげだ。
ある意味、お前が道を外さなかったのは、刃さんのおかげかもしれないな」
「かもしれませんね」
そういう意味では、怪盗時代の借りを返す意味でも、この事件を解決しないといけない。
そう話をしていた時だった。
「メリークリスマース!!」
「うわ!?」
サンタちゃんの登場に俺は驚きの声を出してしまった。
「おぉサンタちゃん。例の噂について、なにかわかったか?」
「うん。襲われた七人の女性は全員モデル。しかも同じクラブのメンバー。ただの偶然とは思えない思えなーい!」
「確かにな。んで、そのクラブの名前は?」
サンタはプラカードをだした。
「BLUE TOPAZ」
「よし、行くぜ皆」
翔太朗さんは仕切りながらそこへ向った。
BLUE TOPAZ 。
そこには選ばれた美男美女が次々と足を運んでいた。
そこで、裏でもしかしたら目的の女と繋がっている可能性がある為、正面は翔太郎さん達が、俺達は裏から密かに侵入する事にした。
クラブの上から眺めていると、その噂通り、多くの人が踊っており、その光景はある意味、俺には苦手意識があった。
「影って、こういう所は苦手なんだよね」
「うるせぇ、こういう所は嫌なんだよたく」
そう俺が言っている間にも海上で変化が起きた。
見れば、目的の人物だと思われる女性が亜樹子所長に対して、2・3発ほど食らわせ、そのまま踏みつけた。
この状況には他の客も騒ぎ出す。
女は亜樹子に、自分がしているダイヤの指輪を見せつけこういった。
「ダイヤの価値ってわかる?」
「えーと……値段?」
亜希子所長は恐る恐る言うが、女は
「美しく、そして傷つかない。この私みたいにね」
その言葉と共に亜樹子所長から離れる。
「…私は美しい物が好き。皆ダイヤになって、この私を飾るといい」
階段の中盤にまで登ると、そこで店中の明かりが十数秒ほど消えた。
そして、一つのスポットライトだけがいち早く回復する。
しかし、その光が照らし出したのは…。
「「「「「「キャアアアアアア!!!!」」」」」」
女性達は騒ぎ出す。
照らされたのは、全身が宝石で構築されたドーパントなのだから。
「ドーパント!」
『ッ!』
ドーパントは右手からガスのようなものを放出し、女性達に浴びせた。
翔太朗さん達が回避している間に、ドーパントは店中の人間の殆どをダイヤモンドに変えていく。
だが、その光景を見て、俺達は驚きを隠せなかった。
「どういう事なんだ」
それは騒ぎの中で、天井からバットサングラスで見ていたからこそ、分かった事実。
あの女性がドーパントに変身したと思われた直前に、別の場所からドーパントが現れた。
同時に、あの女性はすぐにその場から離れた。
この事から分かるが、刃野さんに冤罪をかけたのは間違いなくあの女性である。
しかし、その女性もまたあのドーパントに操られている可能性がある。
俺はすぐに飛びだそうとしたが、稲妻が襲い掛かる。
「なっ」
見れば、そこには逆立った髪のような突起がある頭を持ち、背中には昆虫の上翅のようなものがある存在がいた。
天井から落ちる中で、俺はすぐにナスカメモリを取りだし、そのまま構える。
「変身!」
同時に俺は仮面ライダーナスカへと変身すると同時に、落ちてくるヒサメを受け止める。
「きゃっ!」
「重っ!」
「ちょっ影っどういう事!」
俺が思わず呟いてしまった一言が聞こえたのか、ヒサメは叫んでしまう。
「仕方ないだろ!
落ちてきたのを受け止めると、そうなるんだから!」
「だからって、女の子相手に、それはどうなの!」
「あぁ、お前ら!
こんな状況で喧嘩するな!!」
既にWに変身していた翔太郎さんからの言葉に俺達はすぐに喧嘩を止め、そのまま正面にいる敵を見る。
「あのドーパント、見た目からして」
『あぁ、ジュエルで間違いないだろう。
そして、あっちのドーパントはっ』
同時に、翔太郎さんと背中合わせにしながら、見つめる。
先程の姿すら一瞬でしか見えなかった。
おそらく、超加速をした状態でも追いつけるかどうか怪しい。
「まさか、世界で最も硬いダイヤと人間では追いつけない雷。
この二つのドーパントが一気に来るとは」
「まさか、噂の仮面ライダーがこの程度とはね。
それじゃね」
「待て、奴らを始末するのが契約のはずだ」
「こいつら程度だったら何時でも倒せるでしょ。
悪いけど、私はもう疲れたわ」
そうジュエル・ドーパントはそのまま立ち去っていった。
「これは、見逃されたと言うべきだな」
『あぁ、あのまま戦っていたら、おそらくは勝てないだろう。
奴らに勝つには、対策が必要だ』
それと共に、翔太郎さん達も変身を解除する。
「そう言えば、翔太郎さん。
上から見て、少し気になる事が」
「気になる事?」
「あのドーパント、変身する直前に女性と入れ替わっていました。
おそらく、ドーパントと女性は同一人物じゃないと思います」
「なんだって?」
「それだと、わざわざドーパントのふりをしているという事?
なんで、そんな必要が?」
メモリがあるならば、それを自分で使えば良い。
なのに、わざわざそんな面倒な真似をするという事は何か訳がある。
「これが思った以上に探りが必要だな」
翔太郎さんの一言に同意するように、俺もまた呟く。