一隻の豪華客船。
そこにあの男がいた。
「良い風ですね。ご旅行ですか?」
「探偵さん方……どうしてここに?」
そう、それは上杉さんだった。
「貴方にどうしても言いたいことがあって、ここに参りました」
俺がそう答え、そのまま後ろに立つ。
「あなたが、ドーパントだと言うことをね」
「ちょっと待って! ドーパントは事故で死んじゃったあの悪女じゃ?」
「違いますよ亜樹子さん。真犯人は、上杉誠です」
「そんなの有り得ない! だってこの眼でみたじゃない.あの女はドーパントに変身する瞬間を!」
「トリックさ」
「それも極々簡単な」
亜樹子所長がが騒いでいると、フィリップさんの声がした。
「フィリップ君も乗ってたの?」
「あぁ、僕達が目撃したのは鏡に映った城島泪」
「鏡……?」
「正確には、ダイヤの微粒子によって形成されたミラー状のシールド。城島泪の変身の瞬間、本物の彼女は何所かに死角に立ち、変身ポーズをとった」
俺達が別行動している間の行動を説明するように言う。
「待ってくれ。何で彼女がそんなことを?」
「脅迫していたのでしょう? 姑息な手段を使って」
「どうやって?」
「それは本人に聞いたほうが早いからな」
同時に俺達はそのまま、目を向ける。
「えぇぇ!?」
城島泪がいた。
それには亜樹子所長も驚きで声を出していた。
「生きてたんだ」
上杉は無関心じみた態度をとる。
「何故約束を破ったの? 全部言うとおりにしたでしょ! 貴方が女性を宝石に変える度、わざと現場で目撃されたし、悪女だって演じてきた!」
「あれ、演技だったっていうの?」
なにも知らない亜樹子は驚かされるばかりだ。
「そう。泪の印象が悪くなればなるほど、対照的に彼女を救いたいと主張する上杉さんの誠実さが際立ちます。全部彼が仕組んだことだったんですよ」
「あぁーあーあーあーあーあーあー! 全部バレちまてるのか。だったらもう…………」
上杉はギプスを取り外し、首筋にボイスチェンジャーをあてて、
『芝居する必要もねぇなぁ』
エコーのかかった泪さんの声で話した。
ドーパントになった時はこの手段を用いていたのだ。
「上杉……返してよ、智を返して!! こいつが宝石に変えたのよ。私が智のこと好きだって知ったから……! 親友なのに……! 私達の幸せ、喜んでくれると思ったのに……」
皆の視線は上杉がしているダイヤの指輪にむく。
「じゃあ、あの指輪が……!」
「武田智さん」
亜樹子所長は驚き、ヒサメは軽蔑の眼差しで上杉を見る。
「泪…………君はさぁ、僕のこと好きだったんだろ? だから僕が子供たちの風車壊した時、庇ってくれたんだろ?」
「仲間として好きだった。でも、次第にあんたが怖くなった。好きなもの全部壊したくなる、あんたのその性格が!」
「僕はね、完璧主義者なんだよ。愛せば愛すだけ、その不完全さが目に付く。それが次第に我慢できなくなる、全部消してしまいたくなる。お前のこともそうさ、泪」
上杉はどんどん自分の本性を曝け出す。
「トンデモねぇ奴だな。そろそろ観念しな」
「僕を捕まえるの? ……だったら、これもう要らねーなぁ」
上杉は指輪を外す。
「上杉、お願い! 智を返して!!」
「……断る」
上杉は指輪を投げ捨てようとするが。
「まぁ、完璧主義を気取っているお前には、それが偽物かどうかも分からないけどな」
「なに」
それと共に、俺は既に手元にある宝石を見せつける。
「それはっ、まさかっ」
驚きを隠せないまま、上杉はすぐに宝石を見る。
「偽物だとっ」
「お前の行動は最初から怪しかったからな。
お前の家に潜入して、この豪華客船のチケットの予約を見つける事ができた。
そして、お前が寝ている間に、これを盗らせてもらった」
「上杉。
これで、2度目だな。
俺からも、影からも殺しを阻止されたのは」
そう、爆弾が爆発したとき、泪を助け出したのも照井さんだったのだ。
翔太郎さん達もまた、上杉の陰謀の全てを承知し、準備を怠らなかった。
「左たちに証人となってもらい、彼女の死で事件を幕引きとしたかったんだろうが、残念だったな」
「何時から気付いてた?」
「きっかけは泪さんの言葉だった。
なにを騙しているのか? ……俺は風見埠頭で確信した。お前が彼女を殺そうとしたことでな」
そう言うと、呆れたようにそのまま言葉を吐き出す。
「あーあ。他の街に行って、また女たちを思う存分ダイヤに変えるつもりだったのに」
上杉はジュエルメモリを起動させる。
『JWELE』
左手に挿し、ジュエル・ドーパントとなる。
『皆まとめて消えてもらうしかないね。
おい、手伝え!』
『LIGHTNING』
聞こえた声、同時にこちらに向かって、襲い掛かろうとした光。
それに対して、俺はすぐにナスカメモリを取り出す。
「こいつは俺に任せてください!」
「頼んだぜ!」
仮面ライダーへと変身した俺はその手にナスカブレードを手に取ると同時に走りながら、目の前にいるライトニング・ドーパントから距離を取る。
しかし、ライトニング・ドーパントの速さは、俺が想定していたよりも早く、接近する。
「ぐっ」
なんとか、ライトニング・ドーパントからの攻撃を受け止めるように、俺はナスカブレードでその攻撃を受け止める。
しかし、ナスカブレード越しでも分かる加速によってできた拳の威力は俺の想像以上だった。
「だったらっ」
その光速移動に対抗する為に瞬時に超加速を発動する。
先程よりも早く動く事ができるようになり、そのまま後ろに下がる。
しかし、それでも未だにライトニング・ドーパントの速さには追いつけない。
「だけどな」
俺はそのままライトニング・ドーパントにとある場所へと向かう為に走る。
こちらの動きが読まれないように、不規則な動きをする。
その間も、襲い掛かるライトニング・ドーパントの攻撃をナスカブレードで受け流していく。
ナスカブレードにはライトニング・ドーパントの電撃が伝わり、俺の腕に痺れが来る。
だけど、ここで怯むわけにはいかない。
「ここだっ!」
そして、その背に船からすぐに海が飛び出せそうな場所まで来た。
「どうやら、追い詰める事ができたようだなぁ」
そう、ライトニング・ドーパントが俺に向けて言う。
そんなライトニング・ドーパントに対して、俺は不敵に笑みを浮かべる。
「そうだな……だが、お前はここまでだ」
「あ?」
同時に俺は既に、マフラーをライトニング・ドーパントで拘束していた。
そして、そのまま俺は海へと投げる。
「何を」
「ここでだよ!」
同時に俺は瞬時にナスカズーへと変身し、そのままライトニング・ドーパントを海中へと叩き込む。
「なにをっ」
同時にライトニング・ドーパントは自分の変化に気づく。
その身体に蓄積されていた電力が強制的に四方八方へと流れ出している。
「なっ」
「電気は海水に通電しやすいんだよ」
俺はナスカブレードを構えて、そのまま一気に駆け出す。
それと同時に水中の中で放電が起こり、ライトニング・ドーパントの全身を襲う。
「くそぉおおお!!」
だが、ライトニング・ドーパントは未だに残っている電力を使い、襲い掛かろうとする。
だが
『ペンギン』
その音声と共に、俺はその身にペンギン・アーマーを身に纏う。
先程までのライトニング・ドーパントと比べても、その雷による攻撃は遅く、避ける事は容易かった。
それに加えて、今の俺はペンギン・アーマーを身に纏っている為、水中での動きはこちらが一歩上だ。
その為、攻撃を避ける事も反撃する事も難しくはなかった。
「なっ!?」
俺の予想外な行動に驚いたのか、ライトニング・ドーパントは戸惑っている。
そんな隙だらけの相手に、俺が容赦するはずもなく、そのままズーメモリに手を伸ばす。
『ペンギン! MAXIMUMDRIVE!』
同時に、俺の身体を回転する。
それは巨大な渦巻きを作り出す。
そして、そのまま真っ直ぐとライトニング・ドーパントに向かって、その脚を向ける。
「はあああぁぁ!!!」
「ぐっ!!」
そのままライトニング・ドーパントを海上へと吹き飛ばすように、ライダーキックを喰らわせる。
それにより、ライトニング・ドーパントは勢いよく水上へと投げ出される。
それと共に、メモリは完全にブレイクされる。
そうして、ライトニング・ドーパントの変身者である知的な女性がいた。
『今回の事件は無事に解決する事ができた。
ジュエル・ドーパントこと上杉は翔太郎さんによって倒された。
ライトニング・ドーパントは、どうやら上杉さんのマネージャーだったらしい。
上杉さんに利用され、奴隷のような扱いを受けていたらしい。
あの時の契約も、脅迫された写真を一つ処分する約束らしい。
今回の事件で、彼女も逮捕されてしまったが、それでもあのまま上杉の奴隷として過ごすよりも良かったかもしれない』