その単語を聞くと、ヒサメは思わず疑問に思い、首を傾げる。
「それが、今回のターゲットだと言うけど、なんでそれを狙うの?」
「簡単に言うと、これまでのメモリ所有者に比べても異常としか言えないな」
「異常?」
『あぁ、トライヤラトップスは主に恐竜のメモリだ。
だが、本来の恐竜からかなり異常なメモリなんだ』
「どういう事なんでか、霧彦さん?」
『本来ならば、恐竜などを含めて、巨大な身体になるには周りにある物を利用する事が可能になる。
だけど、トライセラトップスは、自身のみで巨大化する事ができるんだ』
「それって、結構やばいの?」
『メモリ単体なのか、それとも適合している問題なのか分からないが、これまで単体で巨大化できるのはアノマロカリスぐらいだけど、あれはあくまでも昆虫だからね』
「恐竜で、それを行えるんだったら、かなりやばい。
そして、そのまま成長し続ければ」
「街に大きな被害がっ!!」
「まぁ、そうなるな。
それに、たぶん、このメモリを手に入れる理由は」
「んっ?」
「なんでもない。
とりあえず、既にメモリ所有者の候補者は知っている」
「候補者?
それって一体」
「警察」
トライセラトップス・ドーパントから逃げる阿久津。
俺はそのまま、奴よりも先回りするように歩く。
「なっ、お前は」
「本当は、トライセラトップスに用があるけど、それ以上にお前からも聞きたい事があるからな」
そう言いながら、俺はゆっくりと近づく。
阿久津はこちらの方を向くと、驚いたように睨んでいる。
「貴様は一体っ」
「俺は、ただの怪盗だよ。
悪いけど、てめぇには聞きたい事があるからな、ここで大人しく捕まって貰うぜ」
そう言いながら、俺は腰に巻いているセンチピードベルトを、そのまま阿久津に向けて、投げる。
阿久津はそれが、何なのか分からず困惑している様子だったが、センチポードベルトはそのまま阿久津の身体に巻き付き、拘束する。
「さぁて、それじゃ、このまま【リザード】なに?」
『影、すぐにその場から離れろ!』
隣にいる霧彦の言葉を聞くと共に、俺はすぐに離れる。
同時に阿久津はその手に隠し持っていたガイアメモリを刺していたのか、その姿は既にドーパントへと変わっていた。
「あいつは」
『リザード。
メモリとしての質はそれ程高くないだろう』
それと共に見つめた先にいたリザード・ドーパントは確かにその名の通りの姿だった。
蜥蜴を思わせる頭をしていながら、手足は人間のように器用に立っていた。
さらには、標準装備として持っているのか、右腕には剣、左手には盾を持っている。
その姿から、まるで伝説に出てくるようなリザードマンを連想させる姿に、思わずため息をつく。
「さっさと片付けるとするか」
その言葉と共に、俺は懐に入れていたロストドライバーとナスカメモリを取り出す。
ロストドライバーはそのまま俺の腰に巻き、同時にナスカメモリを起動させる。
【ナスカ】
「なっ、ナスカメモリっ、それにそのベルトっ!
まさか、お前は、仮面ライダーなのかっ!」
「いいや、俺はただのナスカだ」
その言葉と共に、俺はすぐにロストドライバーにナスカメモリを挿入すると共に、そのまま開く。
それによって、俺は変身する事ができる。
「ぐっ、幾ら、変身したからと言って、勝てると思うなぁ!!」
その叫びと共に阿久津はその手に持った剣を構えると共に、真っ直ぐと襲い掛かる。
それに対して、俺は腰にあるナスカブレードを手に持ち、そのまま構える。
力任せでの一撃が襲い掛かるのに対して、俺はその攻撃をナスカブレードで受け流し、そのまま蹴り上げる。
「ぐっ!」
怯んだ阿久津は唸りながら、そのまま尻尾を振り払う。
蜥蜴の力を宿している事もあって、その尻尾はまるで鞭のようなしなりを持っていて、まともに喰らう訳にもいかない。
それを後ろに飛んで避けると共に、一気に接近する。
「ふんっ!」
だが、そんな隙だらけの動きに対して、阿久津も反応する。
片手に持つ盾を前に出す事で、防ごうとする。
だが、俺は攻撃をあえてせず、反対にその盾を踏み台にして、跳び上がる。
「なっ!?」
阿久津は驚きを隠せない様子で声を上げるが、もう遅い。
既に俺は空中に浮かび上がり、そのまま後ろに回ると共にナスカブレードをそのまま振るう。
それと同時に刃から放たれた衝撃波によって、阿久津は吹き飛ばされる。
「くそぉおおおっ!!!」
怒り狂ったように雄たけびを上げながら、起き上がった阿久津は再び剣を構えて走りだす。
先ほどと同じように、真っすぐと向かってくる事に、今度は俺の方から近づく。
そして、お互いの距離がなくなった瞬間、俺は思いっきり殴り飛ばす。
「ぐあっ!」
悲鳴を上げて、地面を転がる阿久津を見ながら、俺はナスカメモリを抜き取り、腰にあるメモリスロットに装填する。
【ナスカ】
そうして、俺はメモリスロットを押す。
【マキシマムドライブ!】
その音声と共に、右足に青いエネルギーを纏い、俺はそのまま回し蹴りを行うように阿久津に足を向ける。
「くらえぇえええっ!!!」
それに対抗するかのように、阿久津は右手の剣をまっすぐと振り下ろす。
だが、その剣はぽっきりと折れ、阿久津の身体に俺の蹴りは直撃し、そのまま吹き飛ばした。
「あああぁあああああっ!!!」
断末魔の叫びと共に、リザード・ドーパントとなった阿久津はそのまま地面に倒れる。
それと同時に、俺の足元には割れたガイアメモリが落ちていた。
「さてっと、話して貰うぞ。
まぁ、話した後にはちゃんと警察の元に「キシャアアァァ!!」うわっと!?」
そう阿久津に近づこうとした瞬間、聞こえた。
それと共に、俺に襲い掛かったのは、まるで虎を思わせるドーパントだった。
「こいつはっ」
『スミドロン!?
まさかっ、ミックかっ!』
「誰だよ、それはっ」
俺は思わず叫びながら、スミドロン・ドーパントはその鋭い爪の一撃を次々と襲い掛かる。
その動きはまるで獣を思わせる動きには対応できず、ただ回避する事しかできない。
「ちぃっ」
舌打ちをしながら、どうにか距離を取る。
このままでは、勝つ事ができない。
『今の君では、ミックには勝てないっ!
逃げるしかないっ!』
「逃げるとしても、どうやって逃げるかだな」
俺はそう言いながら、スミドロン・ドーパントからの攻撃をかわす。
どうやら、阿久津よりも厄介なのはこいつらしい。
あの阿久津を倒した後に、俺を狙うとは、中々良い性格をしているようだ。
さすがに、この状態のまま戦うのは難しいだろう。
「こういう時は、これだな」
俺はその言葉と共にすぐにナスカメモリへと手を伸ばす。
【スパイダー】
ナスカメモリから鳴り響く音声と共に、左腕にナスカのクモの絵を模した武器、スパイダークローにナスカブレードが変形する。
スパイダークローを構えると共に、スミドロン・ドーパントが襲いかかってくる。
それに対して、俺は横に跳ぶと同時に、その背中を斬りつける。
しかし、スミドロン・ドーパントはその攻撃を瞬時に避ける。
同時に今度はスミドロン・ドーパントの方が、俺の背中に回って、攻撃を仕掛けてくる。
「だけど、俺の狙いはそっちじゃないんだよな」
その言葉と共にスパイダークローから飛び出た糸はそのまま俺の前に真っ直ぐと伸び、近くの壁へとくっつく。
それと共にまるでワイヤーアクションを行うように、そのまま上へ飛ぶ。
だが、その先には天井があるだけだ。
普通ならば、それで終わりだ。
だが、今は違う。
そのまま勢いよく、スパイダークローで壁に張り付いたまま、さらに上へと向かう。
それに気づいたのか、スミドロン・ドーパントも追いかけるように跳び上がる。
だが、もう遅い。
すでに俺は天井まで辿り着き、そこから跳び上がりながら、そのままスミドロン・ドーパントから逃げていく。
「さて、これから、どうするかだな」
そうしながら、俺は次の行動に関して、考える。
「こいつはっ」
何か聞こえ、踏み込んだ帽子を被った青年がすぐに駆けつける。
周りには影が戦闘した後が残っており、何が起きているのか、分からず困惑している。
その中で、足下に何か落ちているのに気づく。
「これはメモリ?
まさか、この事件は」
同時に周りにある戦闘跡を見ていく。
「以前のモチ・ドーパントと同じ。
まさか、この事件、ナスカも関わっているのか」