エターナルを率いるNEVERとの激戦の夜。
俺達は、空に浮かび上がる花火を、鳴海探偵事務所のメンバーと一緒に見ていた。
亜樹子所長とヒサメは何時の間にか着物を身に纏っており、夜空に浮かぶ花火を見ていた。
「なんというか、あんな戦いがあった夜とは思えない程だな」
NEVERとの戦いによって、風都の市民の死傷者は奇跡的にだが、いなかった。
風都タワーを制圧した時でも、NEVERのメンバーが警備を行っていた人達を殺さなかったのは、後の証言によれば、シディが止めてくれたおかげだと判明した。
「あの、シディという人。
本当はとっても良い人なんだと、私は思う」
「友情は確かに強い力を生む。
だけど、それは時として誤った道へと進ませる」
友達の為だったら、どんな困難にも立ち向かえる。
王道漫画などでよく見かける台詞だが、それは同時に友情の為だったら、どんな残酷な事もできる。
大道から見放される事を恐れたシディは、彼の為に自分の心情を無視し、NEVERとして最後まで戦った。
だが、その中でも、彼の良心が訴えたのか。
死傷者を出さないように尽力したのが、その証拠だ。
「影は、これからどうするの?」
「どうするって?」
「もう、来年には、私達、高校卒業するよ。
その時、影は、怪盗は」
「・・・どうなんだろうな」
俺は確かに怪盗として今も鳴海探偵事務所で働いている。
探偵の視点だけでは分からない事も、怪盗だからこそ救える手があると。
だからと言って、このまま続けても良いのか、分からない。
「とりあえず、就職先が困った時には、鳴海探偵事務所って考えているけどな。
ヒサメはどうなんだ?」
「私は」
そう言ったヒサメは空を見上げていた。
「・・・分からない。
けど、もしも鳴海探偵事務所に就職したとしても、これまで通りかどうかなんて」
「そうだな、当たり前だけど、友情がどんな風に変わるのかなんて、分からない。
けど、確かにここにある絆はあるんじゃないの」
こうして、賑やかな雰囲気は、今の俺にとっては、本当の家族のようだった。
「俺は、本当に、この風都で、鳴海探偵事務所に入れて良かったよ」
「そうだね。
私も、この雰囲気は好き。
けど、私は、影と、恋人として一緒にいたい」
そう、ヒサメは何かぽつりっと何か呟いた気がする。
しかし、花火が打ち上がった音と共に、それが聞こえなかった。
「なんか言ったか?」
「っなんでもない!!」
俺が尋ねると、ヒサメは急に顔を赤くした。
なんだ、あいつは?
「まったく、影、少しは乙女心を勉強しないとね」
「一体どういう意味なんだよ」
霧彦の奴が何やら言っているようだけど、未だに分からない。
これにて、AtoZ編は終了となりました。
年末年始企画に付き合って頂き、ありがとうございました。
そして、AtoZ編が終わりは、同時にW本編のラストまで一直線。
これからも、応援、お願いします。