組織との戦いは確かに終わった。
だが、それは俺の相棒であるヒサメの行方不明になってしまった。
一つの戦いに決着がついたと思った瞬間の事件。
それには予想外な事もあり、俺はすぐに彼女を探し始めた。
だが
「ヒサメの奴、手掛かり一つすらない」
その言葉と共に、俺はヒサメが住んでいたと思われる家に訪れる。
それは、あまりにも生活感はなく、本当に住んでいたのか疑問に思う程に簡素だった。
あるのはシンプルな机にベット。
それ以外は、俺達鳴海探偵事務所の面々と過ごした想い出がある程度だった。
『・・・ヒサメちゃんの事、以前から余り知らなかった。
無意識に信頼していたのか分からない。
それでも、これを見たら、彼女は一体』
「分からない。
けど、あいつは俺の大切な仲間なんだ」
「仲間ですか。
まさか、あの実験体をそんな事を言うとはね」
聞こえた声。
振り向くと、そこに立っていたのは白いスーツを身に纏っていた女性だった。
「お前は」
「初めましてだったな。
私は一応はあの実験体、あぁ君の言う所のヒサメの親代わりのような存在であるネオン・ウルスランドだ」
そう、自己紹介してくるが、まるで生きた人の気配がしない。
目の前にいる奴は、本当に人間なのか、疑いたくなる。
『影っ、目の前にいる人物に警戒しろ。
あいつは財団Xからの使者だ』
「財団X?」
「その事も知っていましたか。
いえ、それも報告にあったガイアメモリの亡霊からの情報でしょうか」
そう言いながら、こちらを見る。
『財団Xとは、ミュージアムに資金提供をしていた組織だ。
その組織も、私も知らず、ミュージアムよりも危険な組織だ』
「マジかよ」
大本であるミュージアムを倒したと思ったら、それ以上の組織があるなんて。
だけど、今、ヒサメの手掛かりがあるのは、目の前にいる奴だけだ。
「お前、ヒサメを実験体って言ってたよな。
どういう訳なんだ」
「彼女、ヒサメは我々が管理する超能力兵士、クオークスの実験サンプルとして回収した少女だ」
「クオークス?」
これまた聞いた事のない単語に俺は首を傾げる。
「彼女は、そのクオークスの中でも特殊な個体であり、氷結能力と電撃能力を持っている。
その事からも、財団は様々な能力があるこの風都での実践データを得る為に彼女をここに連れてきました」
「氷結に、電撃」
そう言えば、ヒサメがウェザーを使っていた時にはこの二つをよく使っていた。
もしかしたら、それに引かれたから、ウェザーの適合者だったのかもしれない。
「けど、なんで学生に」
「実験体のバイタルの安定の為。
だが、まさか仮面ライダーと接触するとは予想外でした。
同時に、貴方達を通して得たデータは今後の役に立つと判断し、そのまま貴方達と行動させるように許可しました」
「なるほどねぇ」
思えば、高校生だとしたら可笑しすぎる箇所は多々あった。
けどな。
「なんで、今頃になって」
「私の部下、加賀が新たな計画を立案し、その護衛として彼女を任命しました。
その為です」
「護衛って、なんでそんな事をあんたが教えるんだ」
「さぁ、私の中にあった僅かな良心がそうさせたんでしょう」
とても、そうは見えなかった。
けど、その情報は多分嘘じゃないだろう。
何よりも今は、ヒサメを取り戻す事が最優先だ。
「悪いが、ヒサメは取り戻す。
もう、あんた達の好きにはさせない」
「ご自由に。
既に彼女から得られるデータはありません。
ですが、果たして、あなたに彼女を取り戻せるか。
興味深く、見させて貰いますよ」
その言葉を最後に、俺はすぐにヒサメの部屋から飛び出す。
今、俺ができる事は分からない。
それでも、俺は彼女を助ける為に、向かうしかない。