仮面ライダーナスカ   作:ボルメテウスさん

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第71話

フィリップは若菜姫を助けて、その魂を天へと昇った。

 

影は、ヒサメちゃんを助ける為に、その身を犠牲に旅だった。

 

お前達がいなくなってから、ようやく風都タワーも再建された。

 

だけど、俺はお前達に会わせる顔はない。

 

若菜姫は、あの事件をきっかけで、まさかあんな事になるとは思わなかった。

 

そして、ヒサメちゃんは、あれから未だに罪の意識を引きずっている。

 

彼女自身が悪い訳ではない。

 

しかし、その事を、彼女自身が許さなかった。

 

「本当、奇妙なもんだよな。

フィリップも、影も」

 

あの戦いの後、俺がヒサメちゃんを迎えに行った時、彼女は気絶した。

 

戦いに疲れたのか、それとも泣き疲れたのか。

 

分かった事は、彼女の周りにある血の量。

 

彼女自身の傷から出た物ではないと考えたら、それは確実に致命傷だという事は、俺でも簡単に分かった。

 

「家に、用か?」

 

そんな日常が続く中でも、未だに事件は続く。

 

「青山晶君、12歳。

姉の青山唯の行方を捜して欲しいのね」

 

「はい、あの」

 

そう、依頼人である晶は、すぐに俺の後ろにいるヒサメちゃんに目を向ける。

 

「彼女は?」

 

「あぁ、俺達の事務所の一人だ。

気にしないでくれ」

 

「そう、ですか」

 

そう言いながらも、晶が気になるのは、無理はない。

 

今のヒサメちゃんは、未だに心の傷が癒えていない。

 

その身体には、影が愛用していたフードを着ており、夏にも関わらず、深々と被っている。

 

そして、フードの隙間からはみ出ている髪は、既にボサボサで手入れもされていない。

 

それでも、ここまで回復するのに1年はかかった。

 

1年前、それこそ、彼女は自分から死のうとしていた。

 

それぐらいに精神的に壊れていた。

 

しかし、そんな彼女を支えたのは、影の形見であるナスカメモリだ。

 

「それじゃ、俺達は調査を行う。

ヒサメちゃんは、その組織で怪しい所がないか、探ってくれ」

 

「・・・分かりました」

 

そう、ふらふらとしながら、立ち上がり、事務所から出て行った。

 

その様子は、まるで幽霊を思わせる動きであった。

 

「大丈夫なんですか、彼女は?」

 

「心配するな。

あれでも、腕は確かなんだから」

 

元々、財団が兵士にする為に鍛えている為か、常人以上の身体能力を誇り、影と共に活動してきた事もあって、怪盗としての技術は未だに残っている。

 

だが、例え、そんな力があったとしても、彼女自身の心は未だに癒えない。

 

このままでは、駄目だと分かっている。

 

だけど。

 

「それでもな」

 

彼女の気持ちに、俺は自分のように分かってしまう。

 

本当に、もう一人の自分のような存在。

 

それがいなくなった事に。

 

「お前の力が欲しいよ、フィリップ」




それは、どこかの場所。

既に廃棄されたと思われる場所。

そこには一つのベット。

その上には死体があった。

死体は、今はもう動かなかった。

しかし、ゆっくりと、何かが注ぎ込まれていた。

そして、それを調整するように機械の目は観察していた。

既に1年。

同時に、死体の髪の一部は赤く染まる。
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