これは、ラキュースが人を超えプレイヤーを越え神を超越する物語   作:namaZ

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ラキュースは中二病を理解して世界の神秘に触れる

「お前……恥ずかしくないの?」

 

「……恥ずかしい?」

 

 

 首を傾げる動作さえ無駄にカッコイイ。

 

 

「黒歴史全盛期中にこんなこと言われても対して響くとも理解できるとも思っちゃいない。むしろファンタジー世界の住人がファンタジーな事をしても恥ずかしくないだろ。そういう世界でそうやって生きてきたんだからな。……ラキュース。お前の行動にそんな合理性はない。むしろ痛い奴だ」

 

「痛くないわよ!!」

 

 

 先程までのカリスマ性はどこへやら。痛い奴と言われて、つい素に戻ったラキュース。

 

 

「本当か?そこに意味はあるのか?戦略性と合理性は?…………無いだろ?お前の周りが誰も指摘してないなら俺がしてやる。いいか?お前は確かに、強い。空想を現実世界に展開し、自分の領域に引きずり込む」

 

 

 空想が現実に出来たら?そんな中二病の理想が目の前にいる。

 故に――――――矛盾を指摘する。

 

 

「ねえ、闇の人格って何?どうして闇なの?もう一つの人格って本当にいるの?てか、あの闇のオーラなにwなんで腕が疼くんですかww暗黒龍とか禁じられた力とか封印されてるんですかwwwてか邪気眼って……自分で名付けたのwwww後毎回必殺技名前長いよね?なにwノートとかに書いてたりするのwwその割には設定ブレブレだねwww」

 

 

 心底小馬鹿にしたように煽ることで、自分の設定に疑問を持たせる。

 正直言って、ラキュースの中二病はその場のノリと勢いでいう言葉が違うし必殺技も無駄に長いしで本人も何言ってるのか分かっていない時がある。

 

 

「黙るなよラキュース。もう一度確認する。お前にとって闇の人格はなんだ?前世の自分?隠された異次元からの憑依人格?定番のもう一人の僕?」

 

「……闇の人格は闇の人格よ。あれは私の―――」

 

「自分の中に何か邪悪なものが封印されているとか言うなよ?痛いだけだぞ」

 

「――――――ッ!!?」

 

 

 何故それを!!

 そんな反応されるとむず痒い。

 

 

「よく思い出してほしい……手に包帯巻いて腕が疼くと悶えた時、片目を抑えて眼帯したりしてクッツ……邪気眼が……!!とかしてた時、本当にそんな力はあったのか?今は在る。でも、昔は?封印が解除されたから?いいや違う違う違う……お前は自分の設定に周りを巻き込んでいる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。他者にもその役割を強制する強力な力」

 

 

 ―――蒼の薔薇が自分に合わせて強化されたように

 ―――アインズが王都でデミウルゴス諸共消滅しなかったように

 ―――先の速さが足りない!でアインスが即死しなかったのも

 

 

「全部お前がそう望んだからだ。そう願ったから俺も巻き込まれている」

 

 

 1人で考える時間はたっぷりとあった。最強の中二病ラキュースの能力はなんだ?

 これが、アインズの考え。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 全力全開で戦いギリギリの勝負をする予定の魔王アインズが弱いはずがないと、現状アインズはワールドモンスター並みの力と耐久性を有しているのもラキュースの能力。

 

 

「戦えば……最終的に勝つのは貴方だ。そう想像してそうなっているから当然だ。でもな、何度でも言うぞ?お前は痛い奴だ」

 

「……私は痛い奴」

 

「そうだ。誰もいないのに自分に話しかけたり、敵の設定を考えて自分は狙われている!!自分は監視されている!!ってしてただろ?絶対したよね?ん!?」

 

「……しました。今は貴方たちで色々練っています」

 

「……そうか……」

 

「……はい」

 

「「…………………」」

 

「き、決めセリフに闇とか血とか語呂の良さそうな外国語とか使ってるだろ?誰にも理解できない自分だけの世界を前面に展開して仲間に何してるとか言われなかったか?絶対に言われてるよね?その度に魔剣の影響とか闇の人格がとか言って……本当に影響出てる?ないよね?……思い出してみろよ。自分がなんて言ってきたのか」

 

 

 ラキュースは思い出す。

 自分に力がなっかた頃を――――――

 

 貴族として産まれた――――――この辺りは重要じゃない。

 昔からイメージ通りに体は動くし、勝てると思った相手には勝ってきた。それから色々あって冒険者として活動し、ガガーラン、ティア、ティナ、イビルアイと出会い。

 魔剣『キリネイラム』を手に入れてから、私は自分の世界を創るようになった。 

 

 ―――暗黒の精神によって生まれた闇の自分

 ―――油断したら肉体を支配して魔剣の力を解放する自分

 ―――右手を抑えつつ「パワーを全力で抑えるのは自分のような神に仕える女性でないと…」と呟く自分

 

 最初は恥ずかしかった……っと思う。仲間に指摘されて言い訳を重ねて――――――力が使えるようになった。

 

 

「私の生まれながらの異能(タレント)はなに?」

 

 

 何故か気にしなかった。

 周りの言うとおりに私は私を信じてやってきた。

 でも、もし()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が私の異能なら、その有効範囲は何処まで?

 

 

「私は……私の生まれながらの異能(タレント)に、皆を巻き込んでいた?」

 

 

 蒼の薔薇に絆はなく、全部はラキュースの物語通りに動くお人形かもしれない。

 行動と思考に干渉する最強の異能。

 もしそうなら、知らず知らずのうちに皆を操ってよいしょよいしょしてた痛い奴は……自分。

 

 

「私の今日までが、私の妄想……」

 

 

 否定できない。

 否定できる言葉が見つからない。

 私が……私を許せなくなる。

 

 

「(あれ?思っていたのと違うけどそっち路線で行こう)……そうだ。()()()()()()()()()()。傷ついた人も、死んでしまった人も、お前がその方が盛り上がるからと妄想して物語通りになった。もしかしたら我々が人間に対する敵対行為もその力の影響ではないか?」

 

 

 責任転嫁。

 擦り付け。

 さも自分たちは悪くないと正当性を語るいじめっ子の様に、アインズはナザリックを擁護する。

 焦点がぶれ動き独り言を呟き続けるラキュース。

 疑心暗鬼の沼に嵌った彼女の意識は自己意識の中に落ちていく。

 

 今なら勝てる。

 今なら殺せる。

 今しか――――――無い。

 

 

「……尊敬に値する貴女に、最後は敬意を払って一つ教えましょう。貴方のような言動をする人を――――――『()()()』と言います」

 

 

 視界の端、遠くに青の薔薇が見える。

 声が届く距離に来させない。第八・第四階層を除く守護者が足止めに動く。

 対抗手段が無い全ての存在を殺すことが出来る<The goal of all life is death/あらゆる生ある者の目指すところは死である>は演出が派手で中二病が条件反射で反応するかもしれない。

 

 

(迅速に『現断(リアリティ・スラッシュ)』で首を落とす。正直こんな結果予想外だったけど、運命は俺に味方した)

 

 

 右手を首に突き出し、照準を合わせる。

 これにて終了。

 アインズ・ウール・ゴウンの勝利。

 この化け物を簡単に殺せるチャンスに、静かに興奮する。

 後は、『現断(リアリティ・スラッシュ)』と唱えるだけ。

 一秒もかからない。

 そんな状況だからこそ、アインズは余計な事をふと考えてしまった。

 一瞬の思考。一呼吸分の答え。

 

 

 ――――――そういえば、何で……英語やドイツ語の意味を理解して喋ってたんだ?

 

 

 運命の歯車は――――――味方した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自己の世界に没入していたラキュース。

 昔から一度自分の世界に入ると周りが見えなくなる。

 カッコ良く敵に打ち勝つ妄想は誰にでもあるだろう。

 でも、私と同じような奇行に走る人はいなかった。

 居たとしても、私とは種類が違う異常者や狂人。

 

 ―――蒼の薔薇の皆は、私を受け止めてくれた。

 ―――親友ラナーは、認めてくれた。

 

 

(そうよ、敵の言葉を信じてどうするのよ。私は……()()()()()()()

 

 

 自己完結型のラキュースは少し悩んで、私は私だと納得する。

 アインズはラキュースの首に『現断(リアリティ・スラッシュ)』を放とうとした。

 アインズが、余計なことを言わなければ、余計なことを思わなければ――――――自分の世界に集中しているラキュースは外界に気付くことなく殺されただろう。

 

 ラキュースは、自分を知らなさ過ぎた。

 アインズの呟きは、ラキュースの()()()()()()()させた。

 アインズの思考は、ラキュースの()()()()()した。

 

 ラキュースは、アインズの言葉を聞いていない。思考も読むことはできない。

 世界が、ラキュースを認めたのだ。

 ラキュースの生まれながらの異能(タレント)の影響下にあるアインズだからこそ意味がある。

 

 そう、潜在意識で――――――中二病だと、現地人ではあり得ない言語を話しているとアインズを通して理解した。

 

 中二病には、それだけで十分。

 

 

「……ふざけんなよ……こんなの勝てっこないッ」

 

 

 『現断(リアリティ・スラッシュ)』は、ラキュースの肌に接触すると無力化され、霧散して消えた。

 

 

「どうすればどうすればどうすればいいんだよォオオオオオオオオオ!!?」

 

 

 超位魔法、即死魔法、現象魔法あらゆる切り札を叩き込む。

 ナザリック表層の原型が無くなっても、MPが尽きるまで打ち続ける。

 それでも、ああ……結果は分かり切っていた。

 

 

「終わり?気は済んだ?」

 

 

 破壊の中心から声が聞こえる。

 

 

「私はね……感謝してるの。異なる世界の住人である『プレイヤー』から私は私の概念を知ることが出来た」

 

 

 存在証明を声高らかに――――――世界へ宣言する。

 

 

 「私は中二病――――――そう……中二病なのよ!!」

 

 

 故に、その声はハッキリと『神』にまで届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~太極座・王冠・ジュデッカ・頂点・底~

 

 

「ああ、しかと聞き届けたぞ。我の子らよ……貴様らの運命は決した。滅びに抗ってみせよ」

 

 

 砂時計は動き出した。

 砂粒一つ一つが人であり、都市であり、国であり、星であり、銀河である。

 

 

 

()()()()()()()。何を選んでもこれ以上変化することがない、結末が決まった世界ほど詰まらぬものはない――――――還元復帰(コード:カオス)

 

 

 宇宙の大いなる意思の代行者『竜帝』。

 汚物を垂れ流す役目から解き放たれ、今――――――真の権能が起動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ナザリック表層―

 

 

 ―――ズンッ

 

 

「「――――――ッ!!」」

 

 

 まず変化に気づいたのは当事者であるラキュースとアインズ。

 『竜帝』は、排除する標的としてラキュースを認識した。

 『竜帝』は、使える汚物としてアインズを認識した。

 すべからく終焉させるために、『鈴木悟』に力を与えた。

 

 

「なんだよこれ……誰だお前、こんなの望んじゃいないッそうだったらいいなって、こんな力があれば無敵だって軍服はためかせながらカッコ良く無双する自分を妄想したことはあるけど……本当に望んじゃいなかった!!」

 

 

 黒歴史として封印する程度の中二力。

 自分じゃ恥ずかしいから、NPCであるパンドラに自分を投影してつくる恥ずかしがり屋。

 そんな一般的感性しかない『鈴木悟』。

 支配者としてアインズを演じているが、もっと気軽く接したかった。

 そんな、ありふれた一般人である『鈴木悟』が竜帝の汚物としてチートを振りかざし、今、更なる異能が解放された。

 

 

「ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ止まってくれッ!!?そんな力いらない!!――――――壊したくない……俺の宝物を奪わないでくれ!!!」

 

 

 本人の意思とは関係なく、骨の体から絶望のオーラがこぼれ出る。

 

 

「ッ!!」

 

 

 浮遊する剣群(フローティング・ソーズ)を高速に操り蒼の薔薇全員を絶望のオーラの射程外まで運び出し、ラキュースも踏み込みの一歩でガガーランの隣に着地する。

 

 

「……本気で逃げたのは初めてよ」

 

 

 すれ違う様に、絶叫するナザリックの主に駆け寄る守護者。

 その全員が、たどり着くことなく即死する。

 

 

「……おいおい何がどうなってんだ。仲間じゃなかったのかよ」

 

「暴走しているのか?」

 

「そうね……泣いている。自分の大切な子供が居場所が、すべて等しく無価値になっていく」

 

 

 生きて、動いていた子供たちが朽ちていく。

 骨となり、灰となり、手から零れ落ちていく。

 悲しみがナザリック地下大墳墓を侵食し――――――砂と灰になった。

 

 

「鬼ボス逃げよ。無理だよ」

 

「死ぬ前にイビルアイと寝たいな」

 

「死んでも嫌だ」

 

「もう死んでるだろおめぇーは」

 

 

 笑いが緊張を解きほぐす。

 そうだ。ラキュースには、仲間がいる。

 大切な仲間が。

 

 

「それじゃ……行ってくるわ」

 

「おい、死んでも死ぬなよ」

 

「ふん、死んだら吸血鬼にしてやる」

 

「ボス……葬儀の花何がいい?」

 

「忘れないぜ……鬼ボス」

 

「死んだ前提なのやめてもらっていい?」

 

 

 まったく、この愉快な仲間たちは、いつもそうだ。

 いつも通りに、ラキュースは歩み出す。

 魔剣『キリネイラム』を携えた英雄。

 常世の闇を操る影の支配者。

 絶望のオーラに踏み入った個所から侵食されていく。

 純白の鎧が黒く染めあがる。

 

 

 このオーラは死だ。死その者だ。

 かつてアインズと呼ばれた。『死の塊』が、『竜帝』へと意識が乗っ取られる。

 

 

「…………お前は、可能性か?終わらすことが出来るのか?」

 

「ちょっと何言ってるか分からないけど、取り合えず――――――ぶった切る」

 

 

 迸る()()()()()()()()()()()が、死と衝突した。   

 

 

 

 

 

《b》

 

君は知るだろう。本当の悲劇は、絶望によって生まれるのではないことを

運命に抗うことで見出される希望。それが僕らを、犠牲へと駆り立てた

 




好きなことを好きなように書きました。



書きたいことを書こうとすると時間がかかりますね。
今回で、タイトルの意味が分かった読者が多いでしょうが、最後までよろしくお願いします。

感想お待ちしてます。



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