泥棒はヒガンバナに酔いしれて   作:俺っちは勝者の味方ー!

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見切り発車も甚だしい、n番煎じの駄作(ださク)ロスオーバーです。原作は勿論神。そこだけは違わないです。


Prologue;嵐の前の静寂

 

 

……芸術と花の都、パリ。洒落た衣服をスマートに着こなした人々が行き交い、今日(こんにち)も極めて平穏な日々が織りなされている。

そんな世界屈指の観光都市の末端に佇む月並みなアパートの一室にて、目深くかぶったボルサリーノ製のソフト帽と立派な顎髭が特徴的な男がタバコを咥えながら仏字新聞を黙読していた。

細く長い脚を組んでソファーに腰掛る様は、華やかな外界から完全に切り離されどこか物寂しく感じられるこの物件に、その容貌と相まって大変似つかわしくダーティーである。

 

「たまの息抜きってのも悪くねぇが…暇を持て余しすぎるのも、腕が鈍って仕方無いねぇ」

 

その男… 次元(じげん)大介(だいすけ)は愛飲するマルボロをぷかぷか吸いつつ、小さくボヤきを吐き捨てた。と言っても、職業泥棒の彼に仕事が無いのはここ二週間だけの話であり、警察や()()()()()とドンパチし合う日常とはほんのおさらばしているに過ぎない状態と言えよう。

それはそれとして、彼自身も久しく競馬やパチンコといった賭け事に興が乗れたことでこの休息に満足はしているのだ。そう、満足()

 

「…ったく、ルパンのやつ目の色変えたと思ったら、四六時中部屋に篭もって何してやがる」

 

ただ、相棒からの音沙汰が余りにも無さすぎるのがどうも気がかりで…。勿論、あいつが便所に行く時や飯を食う時はしっかりと顔を合わせてはいるが、それでも常に難しい顔をしているのでこっちから話題を吹っかけるのは野暮ったく思われる。

最近だと一日に一食か二食が当たり前になっているし、ルパンの自室の前を通ると時折扉越しに、何かによっぽど苦闘しているのか、とんでもない歯軋りが聞こえてくるものだから、自分の奥歯もつられて痛みを錯覚する時さえあった。後者に関しては、きっちり制裁を加えないと気が済みそうにもない。ただでさえ俺は歯が弱いってのに。

…とこんな調子で、基本的に大きな仕事を持ってくるのは相棒の役目ゆえ、次元に為せそうなサポートも無く、結果として絶賛手詰まり中というわけなのだ。

まぁ、ここは天下の大泥棒様のご帰還を願いながら、気長に待つとしよう。そう自分に言い聞かせ、次元が心持ちを改めた矢先…

 

「おお〜い、次元!次の仕事が決まったぜ!やあっと尻尾が掴めてよぉ。いやぁ、長かった長かった」

 

やかましいのが来たなぁ…。そう心中で毒づきながらも、次元はふと微笑を浮かべながら夕刊をたたみ、お疲れの相棒に向き直り労いの言葉をかけてやる。

 

「お疲れさん。お前さんにしちゃ、随分と手こずってたみたいだな。今度のヤマはどれだけ厄介なんだ?」

 

淹れたてのココアを渡しながら、新たに舞い込んだ仕事について次元は単刀直入に問うた。こればかりは流石の彼でも、興味関心が湧くのも無理はない。

何せあの不可能を可能にする男であるルパン三世(さんせい)を計画の前段階の時点であそこまで唸らせるなど、そんじょそこらに転がっているような石っころとは訳が違うだろう。これは間違いなく上物の玉のはずだ。

 

「ぐふふふ。俺様達の今度の狙いは、永遠(とわ)の輝きを放つと謳われる『天照大御神の錫杖』だ」

 

「アマテラス?ってぇと日本神話に登場する主神様のことだっけか」

 

「その有名な天照様が、迷える人々を導いたっつう逸話を残しているのがこの錫杖よ」

 

曰く、その錫杖より放たれし光は万人の迷いや邪念を祓い、愛しき人の子らを正しい道へと導いたという。その決して廃れることの無い眩い光輝から、

“ 永遠の輝き ”の由来が来ているのだとか。

…何とも、まあ。有名なお宝には付き物のベターな伝説だ。

 

「だが、結構な大昔から実在してる代物にも関わらず、現代でもその光は衰えることを知らねぇわけだ」

 

「錫杖全体が純金製で出来てるおかげでな〜。錆びもしなけりゃ変色も起こらない。今よりも価値が倍以上あった金を注ぎ込んだ偉人(製作者)たちにゃ脱帽もんだぜ。巷じゃ、金と一緒に今ではほとんど存在しない希少金属もあしらわれてるんじゃないかって噂だ」

 

「んな大層なもの盗んで、ばちが当たらなきゃいいけどな」

 

「ばーろー、次元。俺達ゃ泥棒だぜ。今更ばちが当たるかどうかにビビる必要なんざねぇだろ?」

 

「わっはっはっは!違ぇねえ」

 

ルパンの話を聞いただけでも歴史的、芸術的、地質学的においてそのお宝がいかに稀有なものかが伺える。次元は相槌を打ちながら考えた。

元来、お宝の価値よりも盗みの過程(プロセス)を優先し、生きがいとするのがルパン三世という男だ。現に、彼が鮮やかな手口で盗み出した代物の大半は今も各国に点在しているアジトの中で埃を被っている。そんな相棒がここまで力説すると来れば、期待値は高い。今回狙うお宝は、大泥棒のお眼鏡にかなうほどの大きなロマンが詰まっているのだと見て取れる。

 

「だからこそ、と言うべきか。今回のお相手はちぃとばかり骨のある連中なわけよ」

 

「ほう…」

 

ルパンがそう切り出すと途端に彼の目つきは鋭く変わり、いかにも悪いことを企んでいそうな怪しい笑みを湛え始めた。

次元は、興奮により脈打つ心臓の鼓動がさらに早まった感覚を覚える。

 

「例の錫杖は、ある日本人が国立博物館から買い取って私有化しちまったらしくてな。そいつの名が……」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

場面は打って変わって、日本に移る。

電波塔事件と称される…忌々しい大規模テロ事件の収束を機に、犯罪とは無縁の法治国家へと上り詰めた和の国、日本。その名誉の証と言うべきか、八年連続世界一治安の良い国として認定されている。

 

本日は雲一つない快晴。平和を絵に描いたような閑静な市街の一角に店を構える喫茶リコリコは今日も繁盛していた。

 

「先生ー!スペシャルパフェ二つ追加でー!」

 

「はいよ」

 

「たきな〜、これ六番さんにおねがーい」

 

「わかりました!」

 

コーヒーの風味に合う…映える和菓子が売りのこの喫茶店は、小さいながらも客足は上乗。食べモグでのレビューも影響して、老若男女のあらゆる客層が足を運ぶほど評判も良い。

リコリコに看板娘がさらに一人増えてからというものの、より賑やかでアットホームな職場になったとは、この店の店長の本人談である。

 

それから、至高の甘味を求めるお客さんが最も多く訪れる時間帯を乗り越えてしばらく経つと、一風変わってお店はまた随分と静かに、

 

「お疲れ、たきな!今日のピークタイムは一段と忙しかったねー」

 

……ならなかった。黄色がかった白髪の少女、錦木(にしきぎ)千束(ちさと)がやかましく声を上げ赤いリボンを揺らしながら、彼女とさして年齢が変わらぬ従業員に突撃してゆく。

 

「はい。お疲れ様です、千束。ほら、襷が捩れてますよ」

 

「おっ、気付かんかった。ありがと〜」

 

千束のスキンシップを上手く躱しつつ、彼女の服装の乱れを正すは井ノ上(いのうえ)たきな、16歳。千束より一つ年下のたきなだが、もはや彼女の扱いに関してはお手のものと言っても過言ではない立ち回りだ。

こんな風に気が抜けてだらだらした様子の千束をたきなが嗜めていると、

 

『先月25日、支援団体アラン機関の幹部、天見広大氏が奈良国立博物館並び文化庁より重要文化財の恒久的な保全を目的として所有権を買い取った…()()()()()()()()。その一般での公開の是非について、天見氏は「まだ結論を出すには至っていない」と発表しました。また、…………』

 

カウンターの上に置かれた小型のテレビから、二週間ほど前からずっと持ち切りだったニュースがまた報道番組で流れていた。初めこそ金ピカに輝く杖の行方について千束の興味が駆り立てられはしたが、変わり映えのしないニュースばかりで今ではすっかり飽き飽きしている。

 

「えぇ〜、またこんなつまんないニュースばっか。どっかの動物園でパンダの赤ちゃんが産まれましたー…みたいなほっこりするニュースが欲しいよぉ。ねえ、たきな?」

 

「仕方ないでしょう。買い取られた物もそれを買い取った人物もあまりにも有名すぎるんですから。メディアが事細かに取り上げるのも無理はありません」

 

「それはそうだけどさあ…」

 

アラン機関といえば千束にも縁の深い組織であり、あらゆる分野の天才に無償の支援を行うことで有名だ。その重鎮が何かデカい行動を起こせば、必然的に世間の注目を浴びる的となるのは想像に難くない。千束もその辺は弁えているつもりだが、結局それはそれ、これはこれ。全くの別問題なのだ。

 

「全く…ニュースがつまらないなんて千束はまだまだお子ちゃまねえ。少しは世間の動向について目を移しなさいってのよ」

 

昼間っから酒瓶ととっくりを持ち出し、酒を一飲みしながら千束を茶化しているのは中原(なかはら)ミズキ。まもなく三十路に差し掛かる寂しい独身女性である。茶髪に整った容姿と黙っていれば文句無しの美人であることには違いないのだが、そのなんとも言えない内面のせいでいい出会いに恵まれない。

またフラれたせいでストレスを抱えているのか、鬱憤を晴らすようにミズキは千束に口撃を仕掛ける。だが、

 

「ここずっと同じニュースばっかなのにどうやってそれ以外の情報を知れってのさ」

 

「ぐぅ…」

 

至極真っ当な反論にミズキは、ぐぅの音しか出せなかった。その後すぐ万策尽きて気力を失ったのか、彼女はカウンターに突っ伏して豪快に啜り泣く。泣き声に混じって、「どゔぜ(わだじ)なんて… (わだじ)なんが〜(涙)」と聞こえてくる声は哀れみを禁じ得ない。…得ないのだが、その後ろ姿は完全に妖怪のそれである。

 

「…まあ、そっとしておこう。二人とも片付けを手伝ってくれ」

 

はーい(わかりました)

 

前述した喫茶リコリコの店長、ミカに応える千束とたきな。平常運転のミズキを放って、二人は再び仕事に取り掛かっていった。

 

今日のリコリコも(若干一名を除いて)平和そのものです。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「天見広大…そいつが錫杖の新たな持ち主か」

 

「スポーツ・文学・芸能・科学・医療、それ以外にもた〜くさん…あらゆる分野の天才を探し出して、無償で支援を行ってるっつうまるで夢のような支援団体、アラン機関。その幹部の一人がそいつだよ」

 

狙いのお宝を所有しているという男は、アラン機関に属する純日本人なのだとか。日本から遠く離れたここフランスでは、例の国宝が買い取られたニュースは取り上げられておらず、次元にとっては初耳だった。

 

「俺はどうもアラン機関ってのは胡散臭くてたまんねぇ。テメェも、やつらとパイプの通った連中とはやり合わないスタンスを貫き通すんじゃなかったのか?ましてや組織の人間に直接関わろうなんてよう」

 

ルパン達の仕事の決め手の一つには、総じてアラン機関との関係性の有無が問われる。組織は多くの民間軍事企業さえも買収しているため、場合によっては追っ手を増やしかねないのだ。日夜、警察や賞金首を狙う暗殺者達から逃げおおせているのに、そこにさらに面倒が傘増しするというのは頂けない。

だからこそ、次元の述べたスタンスは不二子を除いた仲間内では暗黙の了解であった。それをルパン自らが破ろうとするとは……。

 

「…まあまあ、最後まで聞いてくれよ。わざわざ首突っ込まなきゃいけない理由が出来ちゃったのよ、これが」

 

「不二子絡みか?したら、俺は降りるぞ」

 

「不二子とも関係ねぇっての。こいつは俺の家系に関わる問題だ」

 

「……そうか。まあいい。とりあえず話だけでも聞くぜ」

 

「おう」

 

ルパンは語り始めた。自身の祖父、アルセーヌ・ルパンの代から続くルパンの血を引く者とかの錫杖との関係を。

 

……始まりは希代の大泥棒、ルパン一世の気まぐれであった。当時ロマンに飢えていた彼は、海を越えて噂が囁かれていた純金であしらわれし錫杖の盗みを計画するも、その心にはさざ波が立たないでいたという。

しかし、日本に降り立ち宝を目前にした時、極めて完璧な造形美とそれから放たれる吸い込まれそうな金色の光が、色褪せていた彼の心の輝きを蘇らせたのだ。その宝の魅惑の虜になってしまったルパン一世はそれを盗むことを名残惜しみ、結果として泥棒するのは断念したそう。

かつてルパン二世も錫杖を自らの手中に収めんとしたが、事の顛末は彼もまた然り。ルパン一世の独特な感性は、親から子へとしっかり受け継がれているらしい。

 

「親父とじぃさま曰く、汚れた手でその輝きを曇らすのが勿体無く思えたんだと。かく言う俺も全く同じ感想しか浮かばなかったんだよなあ」

 

「! オメェ、もうあの錫杖を盗みに行ったことがあるってのか?」

 

「とっくに大昔の話のことだけど。だかんね、俺様あの錫杖を取り返したいのよ〜。狭いガラスケースに閉じ込めてるよりも、小鳥と同じみてぇに自由に野に解き放ってやるべきだぜ、あれは」

 

元々、ルパンの所有物でも無いわけだが…やはり、ルパン一族にとって無二の情景とも呼べるお宝は喉から手が出るほど取り返したいらしい。

次元はしばし考える。……どうしたもんか。

 

「………ったく。ああ、わかったよ。俺も乗ってやらあ」

 

「むふふ♪流石次元ちゃん、頼りにしてるぜ」

 

「あいよ。…ところで、オメェいつもなら数日もかからねぇでハッキングやら下準備やら終わらせるのに、今回はかなりのんびりだったな」

 

「悪い悪い。天見んとこだけじゃなくて、アラン機関の方も潜り込めねぇかなあって」

 

「ほお。で、どうだった?」

 

「それがコテンコテン。管理権限を掻っ攫えねぇかと色々試してみたけんど、まるで歯が立たなかったぜ。アミから貰ったプログラムを使ってもダメだった」

 

「マジか…」

 

ルパンだけに留まらず、ハッカーとして優秀なあのアミ・エナンでさえもアラン機関の管理塔のセキュリティを突破できなかったという。これには次元も思わず度肝を抜かれた。今まで関わろうとも思わなかったが、底の知れない相手だと認識せざるを得ない。

 

「とは言っても、天見の方はすんなり終わらせられたぜ。ざっと6時間で」

 

「…ん?」

 

ここまでルパンの話を聞いて、次元はふと違和感に気付く。大事な何かが抜け落ちているような…そんなむず痒さに。

 

「おい、ルパン。錫杖を盗む計画はいつから練り始めた?」

 

「そりゃ〜、今日の夕方からだ。アラン機関への潜入もそん時止めたし………あ」

 

「あ? つまりテメェは石橋を確実に叩くことをしなかったわけだ。いつどこで足が掬われるかもわからねえってのに…元は取れてるんだよなあ?」

 

「ははは…そんな怖い顔すんなって、次元よぉ。次からは絶対気を付けるから」

 

ルパンは次元の気迫に当てられ、冷や汗を流す。対して、誤魔化しようはいくらでもあったろうに変なところでボロを出してしまったルパンに呆れつつも、自分が責められる立場でもねぇかとすぐさま冷静さを取り戻した次元は重いため息と煙を吐き出すに思い留める。

 

「…はあぁぁ〜。ホント、頼むぜ。この前みたいなヘマはもう御免だからな」

 

「はーい」

 

本当に反省しているのかも怪しい、いつも通りの生返事が聞こえてきて次元の中で引っ込んだ怒りがまた沸々と煮えくりそうになった。

途端、相棒の異変を察知したルパンは彼の気を紛らわせるべく、やや強引に話題を転換させる。

 

「ま、まあ…あれだ。錫杖を保管している屋敷への潜入ルートは日本(げんち)に着いたら打ち合わせよう。今、お前と共有しておきたい情報があるんだよ。とりあえず、こっちへ見に来なせぇって」

 

「…」

 

次元はタバコを咥えながらのっそりとルパンの隣へ移り、彼がタイピングするPCの画面を覗き込む。

 

「ほんじゃまあ、スタ〜ト〜♪」

 

気の抜けるような合図と共に、ルパンは一つの動画ファイルを開き再生ボタンをクリックする。

しかし、その動画…再生した直後から視界がぼやけ、震えている。少し安定したかと思えば、またすぐに画面がブレての繰り返しだった。

 

「………おい」

 

「俺ぁ、(なんに)も知らないよ」

 

「これの撮影者は?」

 

「…五ェ門」

 

「小学生のガキが撮った方がまだマシだ」

 

「今度あいつにマンツーマンで講義してやろうかしら」

 

この場にはいない仕事仲間に愚痴をボヤきつつ、それでもブレまくりの動画をしかと見届ける二人。すると、画面の端に映った人影に気付いた次元が声を上げる。

 

「…女?」

 

驚きの感情で染められた相棒の声色を聞いて、ルパンは隣でくすくす笑っているが次元はそれを全く意に介さなかった。夜闇の中から現れた…薄いベージュ色の制服を身に包んだ二人組の少女に、歴戦のガンマンは釘付けにされていた。

それもそのはず、暗くてボヤけててとにかく見づらいものの、二人の少女がその手に()()()()を納めているのだ。目が離せなくなるのも無理はない。

 

S&W(スミスアンドウェッソン)のオートマチックピストルか……見にくい)

 

刹那、画面内の状況が大きく動く。人気のない夜の港にまた新たな人影が現れたと思えば、物陰で待ち伏せていた少女達の銃撃によりそいつは瞬く間に蜂の巣にされる。地に倒れ絶命した人影の正体は小太りの男で、アタッシュケースを携えていた。画質が悪いためそんな大まかな情報しか分からない。そして、男の生死を判別する少女二人が映し出されて動画は終了となった。

 

「おい、ルパン。こいつは一体…?」

 

「麻薬取引の売買人、いわば立派な犯罪者だよ」

 

「男の素性を聞いてんじゃねえ。派手に銃をぶっ放したガキ共の方だ」

 

「……奴らは日本政府公認の殺し屋集団『リコリス』。高度な教育訓練を施され、事件や犯罪を未然に防いじまうプロフェッショナル。見てくれは完全に女子高生のそれだから、ど〜んなに悪いおじさんでも簡単に懐に入られちまう。つまりは、俺達みたいな薄汚れた犯罪者の天敵よ。で、そんなおっかない連中を統括してるのが、警察や公安からも独立した治安維持組織『Direct(ダイレクト) Attack(アタック)』…通称『DA』だ。こいつらという存在が、日本を世界一治安の良い国としてたらしめてる大元ってわけさ」

 

聞けば聞くほど信じられない話だ。故郷も随分と平和になったもんだと楽観視していたが、蓋を開けてみれば年端もいかないガキ共の手によってあらゆる悲劇が美談に取って代わられていたのが真実だったとは……。

 

「あらら…随分ショックが大きいでねぇの。大丈夫か?」

 

「あ、ああ。悪りぃ、問題無い。とにかく、日本に行く以上は警察やアラン機関の犬だけじゃねえ…リコリスにも警戒する必要があるわけか」

 

「その通りさ。中でも、DAは政府の傘下にある組織の中じゃ一番()()()()()()に精通してるし、リコリスにゃ制服を着てるだけでマーダーライセンスが有効になるっていう特権が付いてんだ。いつ何時も油断できねえ国になっちまったもんだぜ、日本は」

 

そう言うとルパンはさらにPCを操作して、保存していた動画ファイルの全てを開示する。

 

「これは…五ェ門の動画じゃねえな」

 

「ああ。これらのソースは知る人ぞ知るダークウェブ。リコリスを捉えた動画なんかは勿論、DAにまつわる情報だって無数に転がり落ちてる…そのおかげでもう大助かりよ。提供元の陰謀論者さん達にゃ感謝しねえとな」

 

なら最初の酷い動画を見せる必要は無かったのでは?そんな言葉が喉まで出かかったが話の腰を折っちまいそうだったので、固唾と一緒に飲み込んだ。

 

「特にコレ。俺様の主観と客のレビューからしても最もヤバそうなリコリスの情報だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錦木(にしきぎ)千束(ちさと)…コイツは、正真正銘のバケモンさ」

 




ルパン三世、リコリス・リコイルのどっちでもいいから有識者の知識が欲しい。作者はにわかなんでさぁ〜(泣)
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