ヒロアカみたいな世界に生まれたキーブレード使いはどうすればいいですか?   作:露人

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Day3 思い出したよ、Remember!

只今の時間は午前3時。そして俺は海に持ち物全てを持ってかれて一文無し!

そんなどこの馬の骨かもわからない俺を受け入れてくれるなんて、世の中捨てたもんじゃないな!いやーほんと爺さん達には頭が上がらない!ってそんなことを思いながら俺は爺さんが

貸してくれた肘まで隠れるゴム手袋と胴長を着て、寝ているお客を起こさないように、

一歩一歩抜き足差し足で静かに二階の部屋から玄関に向けて階段を降りた。

 

「おはようございます、船長」

 

「やーめーれー!恥ずかしいわい!」

 

「じゃあなんて呼べば?」

 

「うーん……ほならキャプテンで」

 

「ええ……?」

 

俺と爺さんは家を出て雑談しながら港の方まで歩き始めた。雑談の内容は

「今日の狙いはなんですか?」とか、「いつまでに漁を終わらせて帰ってくるの〜」とか、

そんなもん。そして気がつけば俺たちは一艘の中くらいの漁船の前まで来ていた。

 

「さぁ着いたぞ!これがワシの船じゃ!」

 

「おぉ〜、ちなみになんて名前の船なんです?」

 

「ブラックパール号だ」

 

「え」

 

な、何だその名前!?いや、一応船体は黒いけれども!

まさかジャマイカまで行って遠洋漁業(海賊)するんじゃねえよな!?

 

「嘘だよ、ウィキッド・ウェンチ号だ」

 

一抹の不安……いや震え上がるような不安が俺に襲いかかったが、

どうやらアレは嘘だったらしい。はー助かった!でもなーんか引っかかるんだよな。

まぁ一応聞いとこう。

 

「……海軍…いや海賊じゃないっすよね?」

 

「んなわけねぇよ!!んじゃ早速行くゾイ!」

 

「サーイエッサー!」

 

「帆を上げろ〜!面舵一杯ぃ!振り落とされんなよォ!!」

 

「マストなんてないんですけど〜!!?」

 

船の舵を取った瞬間に爺さんのギアも数段上がって言葉が更に荒々しくなった。

爺さんのひげでモジャモジャの顔とそこから所々見え隠れする銀歯も相まって、

俺は爺さんがやっぱり海賊船の船長にしか見えなくなってきた。

こうして少し後悔しながら俺は海の男としての第一歩を踏み出したのだった……

 

・・・

・・

 

「あれ?ねぇおばあちゃん、空海くんは?」

 

「あら、言ってなかったかい?リクはおじいさんと漁に出かけましたよ」

 

「え!?嘘!?本当に!?」

 

一回だけおじさんの漁に連れてってもらったことあるけど……あれはヤバかった。

空海くんはまた海岸に流れ着いてないかしら?なんだか不安になってきた……

 

「さぁイルちゃん、おじいさんとリクを迎えに行ってらっしゃい」

 

なんてタイミング!おばさんは私の考えが読めてるのかな?……まぁいいか。

私はおばちゃんの頼みに二つ返事で答えて、港に小走りで向かった。

しばらくして港につくとちょうどおじさんたちの船、ウィキッド・ウェンチ号が

港に入ってきているところだった。……というかおじさんの船、なんで横文字なのかな?

ただの漁船なのになんか軍艦とか客船みたいな名前だなっていつも思う。

普通のはだいたい漢字で〇〇丸みたいな感じなのにね。

 

「おかえりーー!!二人ともーー!!!」

 

「おう!帰ったぜぇ〜!」

 

「ただいま〜!」

 

入港してきたウィキッド・ウェンチ号に向かって大きく手を振って二人を呼ぶ。

船に乗ってるはずの空海くんは……良かった、いるわ。生きてるわ。

というか船首で仁王立ちしてる!昨日までずっと寝てたのに元気すぎてちょっとびっくり……。

とまぁそんなことを思いながら私達は取れた魚を水揚げして、

手早く発泡スチロールに詰めていく。

いつもならおじさんを置いて家に帰るところだけど…今日は一緒に帰れそう。

やっぱり人が増えると仕事が早くなるね!

 

「どうだった、空海くん?大丈夫だった?」

 

「ああ、全然!すげぇ楽しかったぜ!ただちょっと疲れた!あと下の名前で呼んでくれよぉ〜」

 

「えぇ?なんか恥ずかしいじゃん!つーかまだ会って2日しかないじゃん!まだ心の準備が……」

 

「ガハハ!いつか呼んでくれる日まで待つゾイ!いつになるかわからねーけどな!」

 

「ウッス!」

 

・・・・

・・・

・・

 

「「「ただいま〜!」」」

 

「あらおかえり、早かったわね」

 

「みんなおかえり〜リッくんもおはよ〜」

 

「おう、おはようさん、伏羊さん」

 

「う〜!なんかムズムズする言い方〜!綿って呼んでよ!」

 

「あ、わかった。綿…ちゃん」

 

「オッケー!」

 

「さぁ、お喋りも程々にして、朝ごはんの用意をしちゃおうかねぇ」

 

「「はーい!」」

 

「あ、おばさん俺は?」

 

「病み上がりなんだから無理をしちゃあいけないよ。漁で疲れたでしょう?朝ごはんまで休憩ね」

 

「いや、ぜんぜん大丈夫ですよ!平気ですって!」

 

「男の子の平気は信用ならないっておじいさんからから学んだからねぇ。却下だよ。

朝ごはんまで休憩、これは業務命令ってやつだねぇ」

 

男の平気は信用ならないって、じいさんは何をやったんだ?……骨折してない詐欺とか?いや、

あの口ぶりからすると何回もやってる臭いな……。まぁしょうがない、別のことするかぁ。

 

「じゃあご飯までちょっとそこらへん散歩してきていっすか?」

 

「おぅ、わかった!気をつけていってこいよ〜!」

 

「一時間以内には帰ってきなね〜?」

 

・・・・

・・・

・・

 

という訳で俺は今、家を出て街を散策…もといランニングのコース探しをしている。最近はやっと【オートロックマジック】が習得できて魔法が照準の微調整なしで打てるようになったからな。まぁ流石にノールックでは当てられねーけど。いや、サンダーならワンチャン……?

まぁとにかく。漂流して2日(3日かも?)も何も出来なかったんだから遅れを取り戻さないと

いけない。しばらく走って気づいたがここはなかなか坂道が多い。

そして海から離れるほど急坂が出てくる。かなりきつい。でもギリギリまで体追い込んだら

【EXPチャンス】が発動するかも知れないから……あぁ〜^やめられねぇぜ。

ある程度坂を登ってからそれを今度は抑えながら下っていく。上りとはまた違う走り方が必要でこれもきつい!というか絶対に体力が落ちてるわ。いや、正確には体の動かし方を忘れたって

感じだけども。とりあえずこの辺でランニングは終わりにしよう。

また倒れたら洒落になんねーからな。じゃあその代わりに……アレと…あとアレもやって………

 

・・・・

・・・

・・

 

「空海リク、只今帰還しました!」

 

「おかえり〜!ご飯はもうすぐだよ〜」

 

「おっけー!」

 

後ろから聞こえてきた元気な声の主は帰ってきた空海くんだった。

本当に一時間近く散歩してくるなんて……そんなに珍しいものあったのかな?

私の記憶ではそんなもの全くと言って良いほどなかった気がするんだけど……いや、

強いて言うならば海岸があるくらいかな?って待て待て!

 

「ちょっとちょっと!!汗ダラダラじゃないの!?」

 

「いやーちょっと散歩を……ね?」

 

「本当にぃ〜?」

 

「ほ、本当本当!…あ、そうだ!ちょっと汗流したいからシャワー浴びてきていいか?」

 

「はいはい。お風呂は廊下を進んで左手にあるわ」

 

「了解!空海リク、風呂場へ進撃します!」

 

「さっさと行って!先にご飯食べちゃうよ?」

 

「やっべ!」

 

そう言って空海くんは風呂場に駆け足で入っていった。いやー夏だからだとしても

ただの散歩であんなに汗かくことある?…怪しい。すごく怪しい。

そう思いながら私は配膳をして朝ごはんの用意をしていく。

そしておかずも並べてご飯もよそいおわったタイミングで空海くんはお風呂から上がってきた。

お風呂上がりの空海くんは並べられたご飯と味噌汁と焼き魚を見て少し興奮しているようだった。まぁ確かにこういうところでしか一汁三菜みたいな朝ごはんは食べられないよね。

空海くんは私の左、綿ちゃんは私の右に座ってみんなでご飯を食べた。

 

いただきます!!

 

隣の空海くんはずっとうまいうまい言いながら食べていた。ご飯を食べながらおばちゃんは

空海くんに今日の予定を伝えている。このあと空海くんはお部屋の掃除をするらしい。

全員が朝ご飯を食べ終わって、仕事をして。お昼を食べて、仕事をして。お風呂に入って、

夜ご飯を食べて。そうやって気がついたらあっという間に一日は終わってしまった。

なぜだか今日は一日が終わるのがとっても早く感じたな……。








7月12日 (水)

今日は空海くんの初仕事の日。
彼が朝一番に漁に出たというのを聞いて、私は彼がまた海に流されないか心配になりました。
心配事が現実にならなくてよかった。
あと朝ごはんの前に散歩したって言ってたけど絶対に嘘だと思う。
だって汗ダラダラだったから。流石に散歩で汗ダラダラはないでしょ!
明日はその真偽を確かめるために空海くんには悪いけど……尾行させてもらいます!
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