ヒロアカみたいな世界に生まれたキーブレード使いはどうすればいいですか?   作:露人

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Day4 まさか!?

「そんじゃ、散歩いってきま~す!」

 

「ハイ、いってらっしゃ~い!」

 

朝ごはんの前、空海くんはまた散歩に行こうとしていた。

昨日のこともあるし気になるから今日はついてってみよう。

 

「あれ、イルちゃんどうしたんだい?」

 

「あ、いやーその……空海くんはどこ行くのかな〜って……」

 

「尾行かい?」

 

嘘…バレるの早すぎじゃない!?ってや、やばい!空海くんがもう玄関に!

な、なにか言い訳は………え、えーと……

 

「い、いや違うよおばちゃん!これはそ、その……空海くんが迷子にならないか

心配になっちゃって……ね!」

 

「ふーん……」

 

あ、これ絶対に信じてないやつだ!?どうしよう、これ以外の言い訳はもう思いつかないし……

本当にお願い、信じて!

 

「まぁそういうことにしてあげようじゃないの。朝ごはんまでには帰ってくるんだよ?」

 

信じては貰えなかったけど……とりあえず許しを得たことは確かだよね?

やった〜!ってまずい、もう空海くんが玄関にいない!?

 

「ありがとう!いってきまーす!!!」

 

「おじいさ〜ん!イルちゃんの代わりにご飯のお手伝いをしてくださ〜い!!」

 

「え!?なんでワシが!?」

 

・・・・

・・・

・・

 

家から出た私は空海くんを探す。幸い、まだ出発はしてないみたいだった。

よーし…なにをしてたかこの目で確かめてやる!そう意気込んでいると空海くんは走り始めた。

それを見失わないように私も気配を消しながら後を追う。

どうやら散歩じゃなくてジョギングしてるらしい。

昨日もこんな感じだっから汗びっしょりだったのかな?なんて考える。

 

タッタッタッ・・・・

 

あたかもジョギングくらいですって感じの涼しい顔で空海くんは前を走ってるけど、

受験から運動してこなかった私には全然そうは思えなかった。速すぎ!

全然追いつけないんだけど!?そう思いながら見失わないように足に力を入れるけど、

ドンドン距離が離れていってる気がする。跳ねるように軽やかに走る空海くんとは裏腹に、

後を追う私の足取りは鉛のように重く、今にも止まってしまいそうだ。

 

タッタッタッ・・・・・!

 

そんな私の考えなどつゆ知らず、空海くんの背中はゆっくりと離れていく。

彼は私を振り切るかのように、緩やかに加速していっているようにも見えた。

もはや全力疾走の様相で走る私の足は震え、自分のゼェゼェというかすれるような

荒い息遣いしか聞こえない。見失わないように必死に走る私だったけど、

目を凝らすと先の道は今までの多少平坦な道ではなく、絶望的な傾斜を持つ上り坂に

差し掛かろうとしていた。もうムリぃ……とは思ったけど覚悟を決めて上り坂に踏み込む。

だが、私の覚悟とは裏腹に私の体、特に足はいうことを聞いてはくれないかった。

坂に足を踏み入れたとき、ふくらはぎは重力の大きさに悲鳴を上げ、

私は自分の足元しか見ることが叶わなくなった。全力疾走からジョギング程度の速さに、

ジョギングからウォーキング程度の速さにとドンドン速度は下がり、

私の耳には自分自身のゼェゼェという掠れた(かすれた)荒い息遣いしか聞こえなくなっていた。

フラフラになりながら坂を登り終えて顔を上げたとき、そこには既に空海くんはいなかった。

つまりそれは、私が完全に空海くんを見失ったことを意味していたのだった・・・

 

・・・・

・・・

・・

 

「た、ただいまぁ〜……」

 

「あら、早かったわね。で、どうだったかい?」

 

「は、走るの速すぎぃ……お、おばちゃん、み、水ちょうだい……」

 

「はいはい。今持ってくるからね」

 

「ガハハ!だらしねぇなァ!!」

 

「おねーちゃんかっこ悪ーい!」

 

「くぅ……く、悔しいィィ……!」

 

おばちゃんが持ってきてくれた水を飲みながら唸る私。チクショー、

みんな好き勝手言ってくれちゃって……私じゃなくても絶対追いつけないから!

みんなは空海くんについてってないからわからないだろうけど!!

 

「ふぃ〜たっだいま〜〜!!」

 

「おぉ!おかえり!」

 

「あ、おかえり〜」

 

「いやー疲れt……っておいおい一体どうしたんだよ!?そんな死にかけで!?」

 

「い、いや、なんでも…ないよ……気にしないで……」

 

「いやいや、なんでもなくはなさそうだけど……まぁいいか、お風呂入ってきま〜す!」

 

「はい、どうぞ〜」

 

空海くんがお風呂から出たあとに一息ついた私もお風呂に入った。

男の子の前とか後にお風呂入るのってまだ緊張するね……。

おじさんの後だとそういう事ないのに。やっぱり血が繋がってるか否かがキモなのかな?

なんか反応しちゃうのよね。この…残り香って言うやつに?ってダメだわ!

なんか変態チック!!……でも空海くんもそんな事思ったかな?

 

 

いただきます!

 

 

今日も今日とてお客さんも一緒に机を囲んで朝ごはんを食べる。

空海くんは今日も目を輝かせながらご飯を頬張っていた。ちょっとかわいい。

今日のお仕事も部屋の掃除らしいので、それが終わってから綿ちゃんと私と彼の3人で

街の案内をするって約束をした。

……まぁここにはそんなに案内するような場所はないんだけどね。

 

・・・・

・・・

・・

 

「と、こんな感じかな?」

 

「そうだね〜。観光スポット的な場所はこんな感じ〜」

 

「へぇ〜やっぱり田舎の港町って感じだな!」

 

「でしょ?なーんにもない、つまらないでしょ?」

 

「いや、全然?むしろこんな感じが一番いい気がするよ。砂浜があって、丘があって。

それ以外は何にもないような」

 

「何もなくはないよ〜?」

 

「お、すまんすまん!」

 

砂浜に三人並んで座って海を見ながらそんなことを話す。そんな私達をお昼になって

一番高いところに登った太陽が私達に向かってジリジリと照りつける。

これだけでもとっても暑いのに砂浜が灼熱の太陽の光を照り返して私達を更に火照らせる。

そんな砂漠を彷彿とさせるような暑さにとうとう耐えられず気づけば私達は

裸足のまま砂浜を駆け出して海にザパーンと飛び込んでいた。

 

「プハァ!!ん〜気持ちいぃ!」

 

「うぅ〜できればしたくなかったけど……仕方ないかぁ〜」

 

「あぁ〜^たまらねぇぜ」

 

ジリジリと太陽に照らされ火照った体に冷たい海水が心地いい。

水をかけ合ったりしてひとしきり涼んだ後、私達は海に足だけをつけて

砂浜に座り込んで海を見つめた。

 

「海って青いねぇ。ず〜っとずっと」

 

「エメラルドグリーンの海ってみたことないんだよね。

ターコイズブルーの海なら眼の前に広がってるけど」

 

「ターコイズブルー…ソーダ味……あぁ〜アイス食いてぇ〜〜」

 

「えぇ…アイスって……あ、そうだ!ここの海の家には名物があるんだった!」

 

「あ〜〜!あれかぁ〜!」

 

「へ?なにそれ?」

 

「まぁ待ってて!今買ってくる!」

 

「マジで?ありがとう!」

 

・・・・

・・・

・・

 

「はい、これがこの海の家の名物!」

 

「へ?ただのアイスじゃん。」

 

そう思うのもムリはないだろうね。まぁパット見、ただのソーダ味のアイスにしか見えないからしょうがない。でもただ普通のアイスが海の家の名物になるわけもないよね。

 

「チッチッチ……ただのアイスじゃないだよねぇ〜〜。まぁ食べてみてよ!」

 

「お、おう。いただきます!」

 

 

シャクッ!

 

 

アイスを食べた空海くんは思った通りの驚いた顔をしていた。

それを見て私は不意に私がこれを初めて食べたときの事を思い出す。

おぼろげだけど確かに私もこんな感じの顔をしていたことは間違いない。

 

「どう?どんな味がする?」

 

「……甘くて…しょっぱい」

 

「そうでしょ!これが海の家、【トワイライト・スクルージ】の名物、シーソルトアイス!

この味、食べたことないでしょ!」

 

そう言って空海くんの顔を見ると、なぜか彼はさっきの驚いた顔とは違う

感動したかのような顔をしていた。不思議に思ってその事を聞こうとするけど、

それよりも先に彼の口が動いた。

 

「あぁ!食べたことねぇ新感覚だぞ!でもなんか、懐かしい味って感じがする」

 

「そ〜だよね〜。食べたことないのにねぇ〜?」

 

「んー…駄菓子みたいな感じだよね!」

 

シーソルトアイス片手にみんなで他愛もない話をする。『好きな食べ物ってなに?』とか、

『身長どのくらい?』だとか。そしてみんなのアイスが棒だけになったとき、綿ちゃんは、

 

「そーえばさ〜。りっくんの個性って何なの〜?」

 

唐突に飛んできた質問に空海くんは困惑しているようだったが、

それは私も気になることでもある。タダでさえどっかで会ったような気がするのだから

もしかしたら何の個性かわかったら思い出すかも知れない。

 

「そういえばそうじゃん!私も知りたいな!」

 

「えーと俺はな〜」

 

「私の個性はね〜【ウールコート】っていうんだ〜!ふわふわの髪でね〜

転んでも痛くないんだ〜!だけどね、濡れるとなかなか水気が切れなくて気持ち悪いんだ〜」

 

「へぇ!だから海に入るの嫌そうな顔してたんだな!磁石さん、君は?」

 

「え、私!?」

 

みんなとの間に流れる沈黙。できれば言いたくはなかったけどしょうがない、と思いながら

私は覚悟を決めて口を開く。

 

「え、え〜とね……私の個性は【電磁力】っていうの」

 

「電磁力?どんなやつなんだ?」

 

空海くんにそう聞かれて口ごもる私。言葉でいうより見たほうが早いかと思い、

私は砂浜に手をつっこんで手のひらに電気を集めるようなイメージで力を入れる。

 

「っと、こんな感じで手から電磁力が出せるの。

……まぁせいぜい砂場の砂鉄を集められるくらいだけどね……」

 

「うぇ!?マジ!?すげーじゃん!」

 

「ッ……最後は空海くんの個性を教えて頂戴!」

 

「へへへ……聞いて驚くなよ?俺の個性はな……このデカい鍵を出せることなんだぜぇ!」

 

そう言って空海くんは左手を突き出す。すると、空海くんの手にどこからともなくスケルトンキーがそのまま大きくなったようなものが握られていた。

 

「うわっ!本当だ〜!ってなにそれ〜?」

 

「え?カギ?」

 

なにか見たことがあるような風貌のカギは私の記憶にかけられた錆びついた錠前を解き放ってくれたような気がした。脳内にあのときの情景がフラッシュバックする。

 

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そこの変態、お前だよォ!!

 

ナニは小さいですね。

 

俺はリク、彗星に打たれて現れた男さ。

 

Knock down already?

 

名乗るほどのもんじゃない……

 

 

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!!

 

 

 








7月13日 (木)
今日は空海くんを尾行……したけど捲かれちゃいました。
運動してなかったとはいえ流石にショックです。
お昼には海岸に行って私と綿ちゃんと空海くんの3人で海に行きました。
そこで私が奢ったシーソルトアイスを食べて、空海くんは甘くてしょっぱい、
その味に驚いてました。あと、空海くんの個性も知ることが出来ました。
実質、尾行成功と言ったところです。ですが、それでとんでもない事がわかりました。
それは・・・
あのとき私を助けてくれた謎の男が、空海くんだったってことです。
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