(完結)鹿野岸奇譚(デジモンサヴァイブ)   作:アズマケイ

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ギュウキモンと再戦する5日目(オリ主のプロフィール追加)

ジジモンにもらった鍵は、やはり地下水道に続く道を封じていた南京錠の鍵だった。

 

だが、地下水道に入る前からコテモンはギュウキモン、ほかのケモノガミたちはアルケニモンの気配を感じて警戒心をあらわにしていたため、俺たちは慎重に中に入った。

 

そしたら、一気に霧が噴き出してきた。気づいたら、俺はコテモンとすら離れ離れになってしまったのだった。

 

「やべえな、はやいとこコテモンと合流しねえと」

 

下水道が流れるコンクリートを歩く。

 

「おーい、スバルの旦那!」

 

「コテモン!よかった、無事だったんだな」

 

「やだねえ、オレを誰だと思ってんだい。アンタのパートナーのコテモンだぜ?」

 

「あはは、いうなァ、こいつめ」

 

「他の奴らが心配でェ、いそぎやしょう」

 

「そーだな!」

 

「こんなことなら、スバルの旦那がリーダーやりゃあよかったんだ」

 

「なんで今そんな話すんだよ」

 

「だってタクマの兄ちゃんはピンチにならなきゃリーダーシップ発揮できねえタイプだし、いつもはしたがらねえ。慎重に様子見ばっかするから判断が遅え。だからリョウの兄ちゃんを死なせかけたとしか思えねえや」

 

「あのなあ、コテモン。悪夢見るくらいトラウマになってんだからやめてやれ」

 

「カイトの兄ちゃんはんな性分じゃねえのは、スバルの旦那が一番良く知ってるだろう?」

 

「まーな......あいつがリーダーしたらすぐ『主』んとこ行きたがるから1日で全滅しかねねえ」

 

「だろい?ミウの嬢ちゃんはまだ小学生だし論外。サキの嬢ちゃんは周りは見えるが、ひっぱるタイプじゃねえ。なにより体力なさそうだし、どこか刹那的なとこがある。ミノルの兄ちゃんはムードメーカーだが空気が読めねえ上に対立を避けたがる性分が致命的にリーダーに向いてねえ。アオイの嬢ちゃんは相当無理すりゃあいけるだろうが、不満溜め込んで爆発する性質どうにかしねえと潰れるタイプときた。リョウの兄ちゃんはタクマの兄ちゃんみてえにフォローは上手いし、危機管理がなってるが、どうみてもひっぱるタイプじゃねえ」

 

「人が言うの我慢してたことぶっちゃけすぎだろ、コテモン」

 

「あー、そっか。だからシュウジの旦那に助言はしても変わってやんなかったんだな。あのメンツじゃリーダーはどうあがいても貧乏くじにしかならねえから」

 

「コテモン」

 

「だいたいスバルの旦那が我慢づよすぎるんでさぁ。ミウの嬢ちゃんあたりで薄々思ってましたがね、アイツらにあわせる理由あります?旦那。オレにはわからねえや。初日みてーにオレとスバルの旦那だけで行動した方がはえーとしか思えねえんだがどうだろう?」

 

「それをいったらおしまいだろ?」

 

「だってさあ、シュウジの旦那も大概可哀想だぜ。サキの嬢ちゃんがいってたじゃねえかい、教授から年長者ならみんなを導いてやれって遺言残されたって。向いてねえのにそんなこと言われちゃもはや呪詛だぜ呪詛。周りはみんな中学生、小学生だから、年上だからって理由でリーダー押し付けられて。タクマの兄ちゃん、アオイの嬢ちゃん、リョウの兄ちゃんがフォローしてるとはいえ、他の奴らはみんな平気で地雷踏み抜いたり無神経な言葉投げたりしてシュウジの旦那から冷静さ奪いやがってさ、みてらんなかったぜ」

 

「だから俺も仲裁に入ったんだろうが」

 

「拗ねて暴言吐かれちまいましたがね」

 

「まあな」

 

「まー、あの様子だと手遅れな気がしやすがね」

 

「マジかよ、なんで今いうんだ。もっとはやくいってくれりゃ」

 

「無茶いわねーでくだせーよ。スバルの旦那の仲間がまさかこんだけわからずやだとは思わなかったんでさあ。あんだけパートナーのケモノガミはもうひとりの自分であり、写し身であり、大事な存在だっていったのにあれじゃあだめだ、救いようがねえ。だいたいオレたちが合流したのは昨日の今日だぜ、旦那。シュウジの旦那がロップモンへの扱い改めるとは思えねえや」

 

「わかってて黙ってたのかよ、お前。俺がどうにかしようとしてたの見てた癖に」

 

「何勘違いしてんでさあ、オレはスバルの旦那のパートナーであってシュウジの旦那のパートナーじゃねえんだぜ?なんでそこまでする必要が?アドバイスはしたぜ?活かせなかったのはアイツらだ。パートナー以外どうでもいいのを隠すのだって大変なんだから勘弁してくだせえよ」

 

「コテモンお前......」

 

「お互い様ってやつだぜ、旦那。アンタがこれだけ冷静に情報収集できるのも、周りにアドバイスできるのも、何も周りに期待してないからだろい?周りに期待すんのを諦めて、全部自分でやることにしたからだろい?」

 

「......それは」

 

「目が泳いでるぜ、スバルの旦那。取り繕うの疲れてねえかい?嫌ならこっから逃げたっていいんだぜ?スバルの旦那がギュウキモンに狙われてんのは事実なんだから、こっからいなくなったって誰も見捨てたなんて思いやしねえさ。嫌われたくないって理由だけで我慢すんのはもうやめた方がいいぜきっとさ」

 

「......」

 

俺は拳を握りしめた。

 

「何も話してねえのによくわかったな、コテモン」

 

「そりゃわかるさ。オレはアンタのもうひとりのオレなんだから」

 

「......たしかにそうだ。あの女が浮気相手追っかけて行方不明になったときも、父さんに好きな人ができたときも、あの女が俺を返せってふざけたこと抜かして爺さんと血のつながりすらねえこと暴露しやがったときも。18で独立するために資格取りまくるって決めたときも。いつだって俺はいろんなことを諦めてきた」

 

「スバルの旦那?なんでそんな顔してんだ?」

 

「当たり前だろうがよ。俺に嫌われたくないって理由だけでしなくていい我慢に付き合ってくれる俺の相棒が、俺を傷つけてまで本心曝け出すこと強要するわけねえんだよ。テメェ、誰だ。『主』か?アルケニモンか?新手の敵か?コテモンどこにやりやがった。場合によっちゃあ、ただじゃおかねえぞ、テメェ!!」

 

啖呵を切った俺にコテモンの姿をした偽物は不自然なまでに歪んだシルエットを後ろのコンクリートに溶け込ませていく。

 

「俺が誰だって?」

 

どこかで聞いた声だった。牛の鳴き声にも似ていた。

 

「もう忘れちまったのか、坊主」

 

見覚えのあるシルエットが浮かび上がってくる。俺は思わず後退りした。

 

「たった4日しかたってねえのに寂しいもんだ」

 

それは、あまりにもおぞましい、蜘蛛と牛の合成獣に似ていた。

 

「十二神将に覚醒されちゃ『主』も困ると仰せなんだ、その前にパートナーたる坊主には死んでもらわなくちゃ困るんだよ」

 

にたりとギュウキモンが意味不明なことをいいながら俺に笑いかけてくる。気持ち悪くて後退りを続けていた俺は一歩も歩けないことに気づいてしまう。足元がいつの間にか糸でがんじがらめにされ、ギュウキモンの真後ろにある沢山の筒から禍々しいガスが溢れてきそうになっているのがみえた。悲鳴すら出なかった。糸でがんじがらめにされたからだ。

 

久しぶりに死を覚悟した俺はたまらず目を閉じた。

 

「まーた死にかけてやがるな、スバルの旦那。オレから離れたらすぐこれだ。勘弁してくだせえ、これじゃあ心臓がいくつあっても足りねえや」

 

聞き覚えのあるはずなのに、知らない声だった。

 

「ちい、あと少しだったのに」

 

「あん時やっぱ殺しときゃよかったか?でもスバルの旦那ごと真っ二つは意味ねえからなァ」

 

恐る恐る目を開ける。

 

「お前、ヤシャモンから進化できたのか......なんで黙ってたんだよ」

 

シェンウーモンの配下であるはずの牛のケモノガミがいなかったことを思い出す。

 

「パートナーの力借りなきゃ大したことねえからに決まってんだろい」

 

そこには巨大な刀を持ったケモノガミが立っていたのだった。




三鷹スバルのプロフィール
◼️
三鷹スバル
16歳
10月21日生まれ
O型
178cm
68kg
ミウが行方不明になるたびにお隣さんのカイトと探し回るのが日常だった。ケモノガミ信仰の廃れた神社について説明した祖父の尻拭いには慣れていた。高卒で働くために資格試験の勉強に明け暮れているスバルのいい息抜きになるはずだったのだ、今回も、また。

コテモンとの関係性について(タクマ視点)
スバルは初日からギュウキモンに襲撃されて、コテモンに助けてもらわなかったら死んでたらしい。そりゃあ信頼するよね、コテモンはいろんなこと知ってるし、命の恩人だから。スバルも鹿野岸市の人だからか、ケモノガミ信仰のことやいろんなことに詳しいし、情報を求めて体も張ってくれる頼りになる存在だ。コテモンもふさわしいパートナーであろうとしてるみたいだからすごいと思う。ただ、スバルはなんでも我慢して、代わりにコテモンに言わせてしまうことを気にしてるみたいだから、ちょっと心配かな。
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