→アイデアがまとまらない
→仕方がないから番外編
→すみませんでしたァァ!
歌の勇者ムジカにとって、人を助けるという行為に意味はない。愛する感情もあやふやな彼女が唯一確信している
彼女は当たり前だが神では無い。でも、他人を助けるのに理由が要らないように彼女は見返りも求めない。
そのため、ムジカを敬う者も一定数存在する。
これはその"信者"と呼ばれる者たちの一人の話である。
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その光景は……その憧憬は……その輝きはきっといつまでも色褪せることはない。
私の夢……私の希望……私のナニカ。
私は周りより少し活発な町娘だった。
別に特別容姿に優れていたわけでもない。別に身体能力が異常に高かったわけでもない。
──ただ、運が悪かった。
……そうだ。運が無かったんだ。親も友達も仲は良かったし、人生にそこまでの苦は無かったんだ。
もしも、海賊やらのせいで死んでしまっても……死にたくはないと思う程度だったと思う。
あの日。あの日さえ、私が
悪魔の実。海に嫌われてしまう変わりに常識を超えた力を得る悪魔の取引が出来る実。
私の能力は正しく"悪魔の取引"の様な能力だった。
最初は何も分からなかった。不味い果物を森で食べてからどうにも海で泳げなくなってしまった事以外は何も不調も無かったからだ。私、カナヅチなのかなーっと少し落ち込んだ程度だったのだ。
それはうっかり包丁で親指を軽く切ってしまったとき……包丁とキッチンに付いた血が
それが私の"ギラギラの実"の能力。
自身の血を宝石にする能力。別に大した事はない。金稼ぎに使える程度で己を硬くしたりも、ましてや自由に宝石を生産できるわけでもない。
両親はそれを見た瞬間。私の心配をしてくれた。そのことで流した涙も宝石になってしまって、とても目が痛かった。
多分、能力があるだけだったら静かに寿命を迎えるまで幸せに暮らせたんだと思う。
──あの
天竜人に怖がって両親は動けなかった。奴隷として首輪をつけられ、天竜人に引っ張られていく私を見てすすり泣いていた音は多分、耳に一生残り続ける。
……あの狂人共の感性は理解できない。少しずつ少しずつ体の一部が削ぎ落とされていく激痛と恐怖。
時には眼球をくり抜かれ、この先一生暗闇で生きることになる絶望と恐怖は想像を絶するものだった。
せめてもの反抗として、私は無表情を貫いた。
血は流れるが
それが十数年。もはや希望はなく天竜人が神というのならば、私は何にすがればよいのだろうか?
それなりの容姿だったのは神様が左手で書いたように醜い容姿になっていることだろう。もう、私に残された物は無いに等しかった。
……過去を見た。かつての親。かつての友達。見捨てられたとしても色褪せぬ私の幸せな思い出。
きっと、これは不幸なんかじゃない。不幸だけど幸福……言い表せないような満足感を持って永遠の暗闇の中で笑っていた。
……外が騒がしい。
目を失った変わりに驚異的な聴覚を手に入れた私は、外が騒がしいのを理解した。
……銃音……無し。……刃物……数に合わない。
人の声、断末魔を掻き分けて状況を理解しようとする。
すると私が保管されているテントに誰かが入ってくる。
「反逆の意思を持つ者。天命に逆らう者。死してなお生きる者。自由を知らない愚か者。君らに反逆の心得を与えよう」
……初めて救われた気がした。
この世のものとは思えない美声。武器はない。死の未来しか想像できない。でも、
目に見えない何かを見たような気がした。
世界が文字通り変わる。これが私が見えなかった何か。
それがその時、何だったのかは分からない。
ただ、目の前の存在がどんな宝石よりもギラギラしていた。
でも、私の感想は
「……可哀想に」
目の前の存在は確かにどんな宝石よりも輝いている。確かに神様を敬うに値する存在である。
しかし、その美声はなんとも楽しくなさそうで……まるで機械じかけの神様だった。
しばらくして私は奴隷から開放された。
もう、戻れる場所はない。
でも、神様──歌の勇者はそこまでは示してくれない。
……ならば、好き勝手にやらさせてもらおう。
これは個人的な意見だが、誰かのために流す涙には価値がある。私は己の宝石を使って道具や路銀を作り出す。
さあ、皆様お立ち会い! 行き場を失った愚か者は太陽に近づいでその羽を燃やされるか……それとも他の道を辿るか。
私は道化。私は愚か者。神様の玩具。
嗚呼、私は幸せだ。
天竜人って何であんなに腐りきったんだろう?