おばあ「戦車道時代」   作:ゼブラーの野郎

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川の流れのように

西住「久子ちゃん!少しでも減速したら負けだよ!」

 

冷泉「おうよ!このまま行けば――!」

 

 

秋山【!・・・あっ、で、でもあれは――】

 

 

  [ソミュア]<・・・  [ARL44]<・・・

 

 

武部【走行不能になったBC高校と自由学園の車輌が!ゴール手前で障害物と化しているー!】

 

西住「!」

 

武部【道のど真ん中で二輌が壁となっている!Ⅳ号の直線軌道上だァー!】

 

 

シドーシャ「Ⅳ号はあの二輌を避けるために大きく逸れなきゃならない。それで十分私達が追いつける!」

 

おケイ「わずかに減速するだけで勝ちは逃げるわ!」

 

田尻「不運ね、かほさん、久子さん」

 

 

西住「久子ちゃん」

 

冷泉「わかってる。細かい指示をくれ」

 

西住「うん」

 

 

 Ⅳ号<グオオオオオオオオ!

 

逸見「・・・!?・・・・・・」

 

武部【あーっとしかしⅣ号、逸れる気配がないぞ!・・・ま、まさか!】

 

 

逸見「まさか――・・・あの二輌の『間』をすり抜けるつもり!?」

 

 

シドーシャ「正気じゃないわ!ソミュアとARL44の間には戦車一台ギリギリ通れないくらいの隙間しかないのよ!?」

 

 

おケイ「このままじゃ激突して大事故になっちゃう!」

 

 

田尻「いけない!」

 

 

逸見「かほ――」

 

 

 Ⅳ号<グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――!

 

 

 

ドゥーチェ「待て!」

 

              五十鈴「ダメです!」

 

  武部「久子!止まって!」

 

                秋山「西住殿!」

 

 みか「いけ」

 

 

 

        ≫ """ッッッ!!! ≪

 

 

 Ⅳ号<――ガオオオオオォォォォォオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

 

武部【抜けたァァァーーーーーっ!】

 

 

シドーシャ「まさかっ!」

 

田尻「なっ・・・」

 

おケイ「ウソッ!?」

 

逸見「――っ!」

 

 

 ティーガーⅡ<ドドドドドドドドドド!

 

 

武部【あと200メートル!】

 

 

 クルセイダー<ドドドドドドドドドド!

 

 

 T-34<ドドドドドドドドドド!

 

 

 シャーマン<ドドドドドドドドドド!

 

 

武部【100メートルっ!】

 

 

 

冷泉「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 

 Ⅳ号<ドドドドドドドドドド!

 

 

 

武部【50メートルッ!】

 

 

 

 「   う           お        お               お     お   お      お       お   お     お

 

      お     お        お         お    お               お         お    お     お

 

 

  お      お         お    お                    お        お        お      お   お

 

         お    お                  お              お       お    お            お

 

お          お            お     お             お         お                 お

 

           お           お         お           お            お

 

   お                お          お          お                お         お         お

 

  お                              お          お  お              お      お     !!!」

 

 

 

武部【ゴオォォォーーーーーーーーールッッッ!】

 

 

 

 武部【5輌がほぼ横一線でのゴール!――】

 

 武部【大接戦!脅威の大接戦でした!どの車輌が一番だったのか素人目では判断がつかないほとんど同着!】

 

 武部【ここで参加各校の生徒会長達が審議に入ります!10名の公正な瞳が審判をくだします!】

 

 

 \ザワザワザワ・・・/ \ドヨドヨドヨ・・・/

 

武部【審査結果が出ました!第一回大洗ダービーのレース結果は・・・・・・――】

 

 

 

 武部【大洗女子学園の勝利!!!】

 

 

 

 \\\ワアアァァァァァーーーーーーーーーー!!!///

 

 

ドゥーチェ「やったーーー!優勝だーーー!」ワーイ!

 

アンツィオ生徒A「やりましたね統帥!」

 

アンツィオ生徒B「これで賞金は私達のモンだー!」ドドンガドン♪

 

秋山「さすが西住殿と冷泉殿ですねぇ!」

 

五十鈴「やれやれ・・・久子さんの度胸試しには肝が冷えましたね」

 

武部「おめでとう、久子、かぽりん」

 

みか「ふふ・・・」

 

 

冷泉「――・・・はあ・・・はあ・・・」

 

西住「――・・・はあ・・・久子ちゃん・・・私達・・・勝ったよ」

 

冷泉「・・・当たり前だろ。そんなもん、ハナから決まってたこった」

 

西住「ふふ・・・」

 

冷泉「へへ・・・」

 

 

武部【栄光のダービーを勝利したのは大洗!大洗の優勝です!お聴きくださいこの大歓声!】

 

 武部【しかしどの学校も大健闘いたしました!その差はほんの刹那!わずかな違いだけです!】

 

 武部【準優勝は聖グロリアーナ、サンダース、プラウダ、黒森峰の同着と相成りました!】

 

 \パチパチパチ・・・!/ \パチパチパチ・・・!/

 

武部【白熱の勝負を演じた各チームに惜しみない拍手が送られます!途中脱落したチームもよくがんばった!】

 

 \パチパチパチ・・・!/ \パチパチパチ・・・!/

 

武部【本大会は参加者だけでなく大会に関わった全ての方、そして観戦するために大洗に来てくださった全ての皆さんのおかげで大成功をおさめました】

 

 武部【世紀の一戦をその目に焼き付けた全ての人々へ、本当にありがとうございました!】

 

  武部【そして今日この日、皆さんの心に灯された『戦車道』という小さな火は、きっとこれからも大きく燃え上がることでしょう】

 

   武部【我々の戦車道は永久に不滅です!!!」】

 

 

 \パチパチパチ・・・!/

 

観客A「いや~、すごい勝負だったな」ザワザワ

 

観客B「生で見れてよかったよ!」ザワザワ

 

観客C「戦車道ってすごいんだな」ザワザワ

 

 

児玉(幼少時)「・・・戦車道って・・・めちゃくちゃかっこいい・・・」プルプル

 

 児玉「よーし!オイラ、大きくなったら戦車道のすごさをみんなに広める!」

 

 児玉「あの人達みたいに戦車道のかっこよさをみんなにわかってもらうためにがんばる!」

 

 児玉「日本の戦車道を世界一にしてみせる!きっと!」

 

 

田尻「・・・負けたわ。優勝おめでとう」パチパチ

 

おケイ「ハーッハッハッハッハ!あーーー楽しかった!サイッコーのレースだったわ!コングラッチュレーション!カホ!ヒサコ!」

 

シドーシャ「悔しいけどカホーシャとヒサコフの勝ちね。でも、次は私達が勝つんだから」フンス

 

西住「みなさん、ありがとうございます」

 

冷泉「あんたらも大したもんだよ。ま、あたし達にゃ及ばないけどね」

 

 

西住「――あっ!・・・逸見さん!」

 

冷泉「!・・・そうだった!」

 

 冷泉「そど子!そど子!担架だ!急病人がいるんだ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 ――病院

 

冷泉「よう、平気かい?逸見」

 

逸見「もうっ、大丈夫だって言ったじゃない」

 

西住「熱中症は油断したら命に関わるんですよ。無事でなによりです」

 

逸見「2,3時間安静にしてれば元気になるって医者にも言われたし、そんな大ごとじゃないわよ」

 

冷泉「あんたにゃ重い持病があるってかほが言うもんだからさ」

 

逸見「・・・それ、冷え症のことよ」

 

西住「えっ」

 

逸見「学友達が冗談半分で大げさに広めたの。かほ、あなたかつがれてたのよ」

 

西住「なぁんだぁ・・・安心しました」ホッ

 

逸見「それよりあなた達、閉会式とかあったんじゃないの?」

 

冷泉「無事に終了したからこうやって病院に寄ったのさ。ほれ、優勝杯」ペカー

 

逸見「見せびらかしにきたのね」

 

冷泉「そんなことないよ?」ニタ~

 

逸見「ふんっ・・・おめでとう、二人とも」

 

冷泉「どうも」

 

西住「どんな優勝杯なんかより、あなたが生きている今日の方がどんなにも意味があります」

 

逸見「かほ・・・優勝したらあなたを黒森峰に連れ帰るつもりだったけど、余計なお世話だったみたいね」

 

西住「え・・・」

 

逸見「あなたの居場所はここだもの」

 

西住「逸見さん・・・」

 

逸見「さ、そろそろ行きなさい。私達も支度をして帰るわ。冷泉、次に勝負した時は私達が勝つからね」

 

冷泉「おうよ。受けてたとうじゃないの」

 

 

 ――・・・

 

 ザザァ~~~・・・

 

西住「何度見ても学園艦から眺める海は綺麗だね」

 

冷泉「昼間はあんなに賑やかだったのに、穏やかなもんだ」

 

西住「・・・大会・・・うまくいったよね?また戦車道をやろうって人・・・増えるかな」

 

冷泉「さあてね。なるがままさ。川の流れのようにね」

 

西住「むう・・・そこはお世辞でも賛同してよ。久子ちゃんってホントへそまがりだよね」

 

冷泉「性分なんでね」

 

西住「・・・ふふ」

 

冷泉「・・・ふっ」

 

 

 ザザァ~~~・・・

 

西住「ねえ、久子ちゃん」

 

 

冷泉「あん?」

 

 

西住「楽しかったね」

 

 

冷泉「・・・どあほう」

 

 

冷泉「まだまだ楽しいことはこれからだよ。あたし達の人生はね」ニカッ

 

 

 

 ~おわり~

 

 

 

 

 

 

 ~おまけ~

 

 黒電話<ジリリリリ・・・

 

 ガチャ

 

おばあ「あいよ」

 

 おばあ「――なんだ、あんたかい。元気にしてるのかい?」

 

 おばあ「――余計なお世話だよ。で、用件はなんだい?」

 

 おばあ「――・・・ああ、あんたの孫娘ね。元気にやっとるよ」

 

 おばあ「――ウチの孫と連れだって楽しくやってるようさ。心配しなさんな」

 

 おばあ「――・・・たまにはこっちに来たらどうだい?大洗は第二の故郷だろう。家元も娘に継がせたんだ、余生を楽しむ頃合いだろう」

 

 おばあ「――あいよ、そいじゃあね。そうだ、今度のお中元は肉でも送っておくれよ。期待してるよ」

 

 ガチャ

 

麻子「電話?だれ?」

 

おばあ「あたしが学生時分からの連れだよ」

 

麻子「昔のおばあ・・・どんな女の子だったの?」

 

おばあ「さあてね」

 

 ~おしまい~

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