おばあ「戦車道時代」   作:ゼブラーの野郎

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あなたと旅をすれば

 ・・・数日後――大洗女子学園

 

 <ジジジジ・・・

 

秋山「ふぅ・・・」ガパッ

 

冷泉「どうだい調子は」

 

秋山「やはり部品が足りませんね。闇市でもエンジンが手に入らなかったので」

 

西住「マトモなエンジンなんて今のご時世じゃ流通してなさそうですもんね・・・」

 

 

五十鈴「おはようございます」

 

西住「五十鈴さん!お、おはようございます」

 

冷泉「出資者様のお通りだい」

 

秋山「ははぁ~っ!」ペコーッ

 

五十鈴「やめてくださいなそういうのは」

 

武部「どしたの梅?学校までわざわざ来るなんて」

 

五十鈴「どしたのはないでしょう。これから皆さんと一緒にすぽんさぁ候補との会合ですよ」

 

武部「え”っ」

 

西住「・・・はじめて聞きました」

 

五十鈴「『支援してくれる方々を見つけたので話し合いの席を設ける』と、皆さんにお伝えくださいと話しておいたのですが」

 

冷泉「・・・武部」

 

武部「ごめん・・・忘れてた」

 

 

 

 ――・・・大洗港

 

 デーーー《聖グロリアーナ女学院学園艦》ーーーン

 

  ドーーー《サンダース大学校付属高等学校学園艦》ーーーン

 

冷泉「でっけぇ学園艦だね。金持ちは違わあ」

 

五十鈴「華道五十鈴流のお得意様である二校に話をしたところ、是非乗りたいとおっしゃられたのでわざわざ寄港していただいたんですよ」

 

西住「聖グロとサンダースも協力してくれるってことですか!?」

 

五十鈴「話がうまく纏まればですが」

 

 

 ――・・・とある喫茶店

 

聖グロリアーナ隊長「私、戦グロリアーナ女学院の隊長を務めております、田尻と申します。ダージリンと呼んでください」

 

サンダースキャプテン「私はサンダースのキャプテン、おケイって呼んでね!」

 

西住「に、西住かほです。本日はわざわざお越しいただいてすみません」

 

冷泉「冷泉久子だ。ご両人、ウチのヤマに一口噛みたいってわけだね」

 

おケイ「ザッツライト!私達もスポンサーとして協力するわ!」

 

田尻「世間に戦車道の灯火が燃え上がる様をお見せしたいと思っていたところですの」

 

西住「あ、ありがとうございます!久子ちゃん、聖グロとサンダースはお金持ちだから戦車もいっぱい持ってるし、戦前も戦車道やってた古株なんだよ」

 

冷泉「ほぉ~。そいじゃ、ものは相談なんだけどさご両人」

 

おケイ「なにかしらん?」

 

冷泉「あたし達ゃ戦車を組んでるんだけどね、どうも部品が足りなくって困ってんだ。余ってる部品でもカンパしてもらえないかね」

 

田尻「んっふ、そんな相談はじめてされたわ」

 

おケイ「おーケイ!戦車が走らなきゃ大会どころじゃないものね」

 

田尻「こんな諺があるわ。『敵に塩を送る』」

 

冷泉「へっへへ、助かるよ」

 

かほ「あ、ありがとうございます!」

 

田尻「それじゃあ大会の競技内容、規定、参加資格・・・諸々を教えてくださるかしら」

 

西住「え?・・・あ・・・そういえば全然考えてなかった・・・」

 

おケイ「そんなの決まってるじゃない。対戦トーナメントで誰が一番強いか決めるのよ!」

 

冷泉「そりゃ反対だね」

 

おケイ「ワッツ!?なぜホワイ!?」

 

冷泉「ドンパチ勝負じゃ金持ってるアンタらが有利だ。余所の学校が参加を渋っちゃ困るよ」

 

五十鈴「なら何をするのでしょう?」

 

 

冷泉「戦車競走だよ」ニヤリ

 

 

おケイ「オー!レースってわけね!」

 

田尻「ルールは?」

 

冷泉「隊長車が一番早く目標地点(ゴール)を通過した学校の優勝。それだけさ」

 

田尻「なるほど。逆に言えばそれ以外はなんでもアリ・・・と」

 

おケイ「会場はここ、大洗ね!チームの車輌上限は5輌でどう?」

 

田尻「コースを外れた場合その地点から再開すること。白旗判定が出れば失格・・・と言ったところかしら」

 

冷泉「面白そうじゃないか」ニヤ

 

五十鈴「お野蛮な・・・」

 

田尻「大会要項を全国の学校に通達するわ」

 

五十鈴「地元の方々にも協力を要請しましょう。町を挙げて大会を盛り上げます」

 

西住「な、なんだかほんとに戦車道の大会をやるんだって気になってきましたね」ワクワク

 

冷泉「小さな夢が大事になったもんだ」ニシシ

 

 

 

 ――・・・大洗女子学園

 

西住「――というわけで、聖グロとサンダースも協力してくれることになったんです」

 

武部「はぇ~、どんどん規模が大きくなってくね」

 

冷泉「今、カンパしてもらった部品を秋山に組んでもらってるとこさ。そろそろ仕上がるだろうよ」

 

 秋山「みなさ~ん!」フリフリ

 

冷泉「おっ、噂をすれば」

 

秋山「ついに・・・ついに完成しました!」バッ

 

西住「あれは・・・」

 

 

 Ⅳ号<・・・・・・

 

 

西住「『Ⅳ号戦車』・・・!」

 

武部「ほんとに組み上げちゃった・・・よく作り方知ってたね」

 

秋山「説明書を読んだんです!」コマンドー!

 

冷泉「そいつを見せてくれ」

 

秋山「あ、はい」サッ

 

冷泉「・・・」パララララ・・・

 

秋山「わ・・・目にも止まらぬ速度で説明書を読んでる」

 

冷泉「よし、動かし方はわかった。かほ、さっそく運転だ」

 

西住「えっ」

 

冷泉「二週間でこいつを手足と同じくらい馴染ませなきゃならんのだ。特訓特訓猛特訓だよ」

 

西住「は、はい・・・!」

 

 

 ――・・・

 

西住「本当にいいんですか?大会運営を生徒会にお任せして・・・」

 

生徒会長「いいのいいの~。ウチとしても大洗が盛り上がるのはうれしいし」

 

冷泉「地元の人達と話はついてるのかい?」

 

会長「みんなお祭り気分でやる気いっぱいだよ。当日は屋台とか露天もたっくさん出るだろうよ」

 

五十鈴「先日開業した大洗水族館もいい宣伝になると乗り気です」

 

会長「町中を競争(レース)の行路(コース)にするのも認可されたよ~ん」

 

西住「でも、もし戦車が建物にぶつかったりしたら・・・」

 

五十鈴「その辺りは我々すぽんさぁが保証しますので大丈夫です」

 

冷泉「町をブッ壊しても五十鈴流とサンダースと聖グロが修繕費を持ってくれるってこったね」

 

会長「地元の大工さんも儲かるしウハウハじゃ~ん」

 

五十鈴「・・・と言っても、無意味な破壊行為はご遠慮ください。特に冷泉久子さん」

 

冷泉「ちぇっ、信用ないね」

 

五十鈴「無論です」

 

 

 >>

 大洗水族館:県立大洗水族館(現アクアワールド・大洗)は、1952年6月に開業した

 

 

 ――・・・

 

田尻「さて、今日の打ち合わせの議題は利益配分についてでしたわね」

 

冷泉「Zzz・・・」

 

五十鈴「約一名お眠りになられてますが」

 

おケイ「ヘイ!ヒサコ!スタンダップ!グッモーニン!」ユサユサ

 

冷泉「うぅむ・・・何ぴとたりとも私の眠りを妨げる者はゆるさん・・・」ムニャムニャ

 

西住「すみません、久子さん今日も朝から新聞配達をしてたので・・・」

 

田尻「冷泉さん、大会の収益に関する話をしたいのだけど」

 

冷泉「ん・・・ああ、そうか・・・ウチの生徒会が元締めで賭博をする。利益の2割をアンタ達にそれぞれ配分するのでいいやね」

 

五十鈴「私達は見返りが欲しくて援助してるわけではないのですが」

 

冷泉「スポンサーなんだから黙って受け取りな」

 

五十鈴「・・・ぶっきらぼうな方」

 

冷泉「ウチとしては見物客がたくさん来て大洗に金を落とすことが目的だよ」

 

おケイ「オ~ゥ、ヒサコは竹を割ったようなサッパリした性格ね」

 

冷泉「その代わり客はたくさん呼んでおくれよ。ガッポリ稼がせてもらおうじゃないの」ニヤ

 

田尻「邪悪な笑み」

 

 

 ――・・・

 

 Ⅳ号<ギャラギャラギャラ!

 

秋山「すごい!もう運転を完全にモノにしてますねェ!」

 

 Ⅳ号<・・・ギキィーッ <パカッ

 

冷泉「いや、まだまだだ。曲線での舵取りが甘い。速さも足りないね。改善点は山積みだ」

 

西住「厳しいなあ」

 

冷泉「かほの指示は的確だよ」

 

西住「えへへ」

 

冷泉「だが状況判断からの操縦指揮に時間差(ラグ)がある」

 

西住「えっ」

 

冷泉「車長は操縦手に足で指示を出す。アンタの指示はエンリョして腰が引けてるから正確さに欠けてんだよ」グイ

 

西住「うぐっ」

 

冷泉「もっと本気で蹴らんかい!判断が鈍るんだよ!」

 

西住「そ、そんなこと言ったって・・・」

 

冷泉「本気で勝つ気あんのかい!?エンリョしないでガンガン蹴るんだよ!わかったかぃ!」

 

西住「ふえぇ~」

 

冷泉「秋山!闇市に行くよ!もっとⅣ号を改造して速度と操縦性を尖らすんだよ!」

 

秋山「わっかりましたぁ!」

 

武部「強い女・・・」

 

 

 ――・・・

 

そど子「戦車競走~!?」

 

冷泉「ひいてはそど子達風紀委員に警備を任せたい」

 

そど子「なに考えてんのよ!町中で戦車レースなんて!」

 

冷泉「生徒会長も大洗の町人も了承済みだ」

 

そど子「んなっ・・・!」

 

冷泉「安全面の確保やら規制やら、手が回らない。風紀委員の協力が不可欠だよ」

 

そど子「調子いいこと言っちゃって・・・」

 

冷泉「風紀委員総動員すりゃなんとかなるだろ。アンタにしかできないことだよ」

 

そど子「~っ!・・・わかったわよ!言っておくけど冷泉さんのためじゃなくて世のため人のためだからね!」

 

冷泉「期待してるよ」

 

 

そど子「・・・冷泉さん、なんだか楽しそうね」

 

冷泉「あ?」

 

そど子「普段のあなたって、もっと無気力というか、いつもけだるそうにしてたじゃない。今のあなたはハキハキしてるわ」

 

冷泉「ま、戦車道ってのも案外楽しいからね。そいじゃあ大洗の安全を任せたよそど子」

 

そど子「そど子って呼ばないで!」

 

 

 ――・・・

 

 Ⅳ号戦車改<カチャカチャ

 

冷泉「よし、調整終わったよ」フキフキ

 

西住「お疲れ様。いよいよ二日後だね・・・大会」

 

冷泉「明日は参加校が前入りして最後の打ち合わせだ。と言っても、聖グロとサンダースの他に来てくれる学校があるかわからないけどね」

 

西住「ありがとう冷泉さん・・・」

 

冷泉「ん?」

 

西住「冷泉さんがいなかったら、きっと私何も出来なかった」

 

冷泉「よせやい。あたしゃ好きでやってんだ。それと、いい加減冷泉さんってのはやめとくれ」

 

西住「・・・そうだね、久子ちゃん。本当にありがとう」

 

 西住「私と友達になってくれて・・・私、久子ちゃんにあえてよかった」

 

冷泉「・・・・・・馬鹿だね・・・まったく」

 

 

 冷泉(逆だよ・・・かほ)

 

 冷泉(かほ・・・・・・あたし)

 

 冷泉(あたし・・・あんたとあえて本当によかった)

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