目と目が逢う 瞬間好きだと気付いた〜
いや、考えてみれば自分の目は退化してるから目が逢いようが無いな。
それに好き……、好き……?いや、まぁ嫌いって訳ではないけれどもだからと言って好きかと言われてもそもそも相手の事がよく分からんと言うのが正直な感想である。
一目惚れもそもそも目がないから出来ようが無いし。
向こうの子供(多分女の子?)からしても好きと言うよりも日が昇っているにも関わらずこんな所にいるズバットに対して興味が湧いただけであろう。
「おかーさん、なんであのズバットみどりいろなの?」
「あのズバットさんはね、色違いって言ってちょっと珍しいズバットさんなんだよ。」
え、俺色違いなの!?
それとやっぱりズバットなのね。なんかきちんと確証が取れて安心したわ。
それにしても色違いズバットかぁ、追っかけ回される原因ってもしかしてコレだったのでは……。そりゃあ同じ姿のポケモンの群れの中に1匹だけ色違いがいたら目立つよなぁ。下手したら襲撃率も他の群れよりも多かったのだろうか。だとしたらちょっと申し訳ないかなぁ。
と思ったけどよくよく考えたら群れの仲間達、襲われたらすぐに散り散りに逃げるから結局ほとんど自分しか襲われてないんだよなぁ……。
なんか謝る気が失せたわ。
「今この家の人に連絡したら、このズバットさんの事は知らないし別に追い払う事になるだけだから捕まえていいよ、だって。」
「えー、でもあのズバットへんないろだよ。」
なんか考えてたらママさんが電話してたらしく捕獲許可が勝手に下りたらしい。って言うか変な色言うなし娘ちゃん。
そしたらママさん、恐らくしゃがんで娘ちゃんになんかしてる?
「みぃちゃんがズバットさんを頑張って育てたらね、ほらこんな感じになるんだよー。」
「ピンクいろだぁぁ!!」
ピ ン ク
いや、一瞬アラベスクの魔術師なあのお方の幻聴が聞こえた気がするけど多分関係ない。
それにしても娘ちゃん改め、みぃちゃん(仮)のテンションの上がり様と言うか食いつきが凄い。
なんか今すぐ捕まえよう!!と言わんばかりにママさんの手を多分グイグイ引っ張ってる。
「みぃちゃん、ちょっと待って!
ほら、ダイヤちゃんお願いね!!」
ママさんが引っ張られながらも投げたボールからは
え?もしかしてバンギラス……、バンギラス!?
ママさんちょっと待って!?絶対にイワヤマトンネル付近に居る人がほらとかお願いねって言って気軽に出すポケモンじゃないですよそれ!?
色違いズバット(Lv15~16位?)vs.バンギラス(Lv55以上)
もしかして俺ひんし通り越して絶命しないですかね、ほんとに捕まえる気があるのママさん……。
『……なんか悪いね、アンタもこんな所でこんな災難にあうとは思ってなかっただろうけど。まぁ、まどろっこしい事は苦手だから単刀直入に言うけど大人しく捕まらない?そんなに悪い暮らしでもないよ?』
ごめんなさい、バンギラスの姐御(多分)。
説得のつもりなんだと思うのですが実力が違いすぎて脅迫とかそういうのにしか聞こえ無いです……。
とはいえである。確かにそこまで悪い話でもないと思う。
行動が制限されるとはいえ、食住が保証されるのだ。
それにポケモンバトルをする事になるかも知れないが、それは今までのズバット生活でも度々起きていた事だ。気にする程でも無い。
……いや、負けそうでも逃げる選択肢を自分で選べないのは多少のデメリットだろうか。
まぁなんにせよ姐御が起こしてる砂嵐が地味に痛い。
もしかして攻撃したら倒してしまうから砂嵐でHP減らそうとしていらっしゃる?
ぶっちゃけ逃げられる気はしないし、ゲットされるならされるで早くしないとHP全部削りきられる気がする。
俺はぶら下がっていた軒下から飛び立ち、バンギラスの姐御の手前で着地。手足は地上ではほとんど役に立たないのでほぼうつ伏せ状態である。
『これからよろしくお願いします、姐御!!』
正直気分は土下座である。
『姐御ってねぇ……、もうちょい他の呼び方にしてくれないかなぁ。
まぁいいよ、じゃあこれからよろしくね。』
そう言いつつ姐御が近付いて来て
あっ、さりげなく身体で日陰作ってくれた。ちょっとキュンってときめいてしまったではないか。
「おーい、ダイヤちゃんいい感じ?
じゃあみぃちゃん、このボールをズバットさんにえいって投げてあげて?」
そう聞こえた数秒後に「えーいっ!」と声が聞こえた後、後頭部におそらくボールがぶつかった。これで石ころだったらキレるぞ、サファリパークじゃあるまいし。
そんな事を一瞬思ったがそのままボールに吸い込まれる様に中に入った。
端から捕まる気だったので特に抵抗する気もなく捕まった。