煙草を吸うと訪れる幸福は何物にも変えられないものがある気がする。後に来る不幸も考えずに煙草を吸うと悩みなどない気がしてくる。
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人里で人形劇があるらしい。そこの手伝いを任された。仕事をしなければ生き残れない。
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「入ってちょうだい。」
「あぁ。」
「で、今回の依頼のことだけど、この着ぐるみを着て里でチラシを配ってほしいの。」
「そのピエロみたいな着ぐるみでか?」
「そうよ。目立つし、風船とかお菓子を配ると子供も集まってくるだろうし。」
「なるほどな……。でもそれは俺みたいな無愛想な男がしなくてもいいんじゃないのか?」
「いいじゃない。ピエロって基本無口でしょう?それに作ってみたら大きすぎて男の人しか着れないのよ。」
「それで俺か……。まぁ納得したが……。それを着るのか……。」
「嫌なの?」
「女子供ならまだしも、大人の男がそれを着て里を歩くのはな……。」
「何でもするのが貴方の店のモットーでしょう?」
「わかってるよ。やれと言われたら無傷で済むことは何でもするのが俺の店だ。……やるよ。」
「じゃあ早速着てちょうだい。細かい調整とか必要だし。」
「わかった。」
…………
「こう見ると、貴方が中に入っていると考えるとなかなかシュールね。」
「ハイハイ、シュールシュール……。でも流石だな。ごわごわしているかと思ったら意外と動きやすいな。」
「でしょう。今回のは自信作なのよ。」
「あぁ流石だよ。でもどうして着ぐるみじゃなくて普通にピエロっぽい服を作らなかったんだ?」
「そっちの方が面白いからよ。貴方が着たときにね。それに貴方、上手に笑えないじゃない。」
「笑えないのは認めるが、面白そうからでこんなもの作るなよ。」
「いいじゃない。私としてはたくさんの子供に見てほしいだけよ。」
「そうか……。お前、変わっているけどいいやつなのかもな。」
「変わっているけどいい人なのは貴方も同じでしょう?いつも無愛想だし、煙草吸ってるし、何が言いたいのかわからないし……。でも……」
「ん?」
「幻想郷で力もないくせに妖怪とかとたくさん接点があって生き残れているのは、貴方がいい人だからだと思うわ。」
「そんなものか?」
「そうよ。私達は基本的に長生きだから、人付き合いには一層気を付けるのよ。これから100年単位で付き合わないといないからね。だから信用できない人とはなかなか付き合おうとは思わないわ。隙間妖怪みたいに胡散臭い連中もいるけどね。」
「なるほど。」
「その点、貴方は信頼できるのよ。仕事は投げ出さないしね♪」
「わかったよ。やればいいんだろ?これを着て、里で恥ずかしいを姿をさらせば。」
「あら、そんなつもりじゃあなかったんだけど……。やってくれるなら、ありがたくお願いするわ。」
「わかったよ。」
「それじゃあ、今からピエロっぽい動きの練習をしなきゃね。」
「わかってるよ。」