己を磨き続ける。半人前と呼ばれるのを恐れて。
剣を振り続ける。半人前と呼ばれるのを恐れて。
主のそばに添い続ける。一人前と呼ばれたくて。
そして彼女はいつか言うだろう。「私に斬れぬものなどあり得ない。」と
一一一一一一一一一一
虹川のコンサートも終わり。白玉楼で一服。すると向こうから妖夢が足音を鳴らしながら詰め寄ってきた。
一一一一一一一一一一
「何でこんなところで煙草なんて吸ってるんですか!?今すぐ消してください!」
「いいじゃねぇか。好きに吸わせろよ。俺がいた世界ではな、喫煙者が好きに煙草を吸えるようになっていたところを無理やり「体に悪いから」の一点張りで否定してきたんだぞ。喫煙席に座っていたのに「臭いから出ていけ」って言われたのはいい思い出だよ。」
「そうなんですか……。って、それとこれとは関係ないです。今すぐ消してください!」
「じゃあ聞くぞ?何でお前はこの一本の煙草消させて、俺の至福の時間を奪おうとするんだ?」
「臭いからです。それ以上でもそれ以下でもありません。」
「そうだろう?結局お前も喫煙者から権利を奪うんだな。たった1つの理由で。」
「じゃあどうしろというんですか?もしみょんなことを言うのならこの楼観剣の錆にしますよ。」
「認めるんだよ。」
「えっ?」
「『一人前』の人間はな、自分が不快だからとか言う理由だけで他人の認められた権利を奪おうとはしないんだよ。もし、そんなことをするやつがいるなら、そいつは『半人前』だと思うぞ。」
「一人前……半人前……。」
「お前はどっちなんだ?一人前か?半人前か?」
「わ、私は……」
「そうだったな。お前は半人前だったな。それなら仕方がない。俺は『半人前』の無理な理論のせいで権利を奪われて煙草も吸えないからな……帰るとするか……。」
「ま……待ってください。」
「ん?どうした?」
「仕方がないので貴方の権利を尊守することにします。私が『一人前』でよかったですね。」
「あぁ、そうだな」
「これも私が『半人前』でなく『一人前』だからなんですからね。覚えておいてください。」
「あぁそうだな。お前は『一人前』だよ。」
「……エヘヘ」
「『一人前』と言えば、こいつもそうだな。」
「?」
「俺のいたところでは、煙草が吸えるやつを『一人前』と見るような習慣があったんだよ。」
「そうなんですか!?」
「どうする?」
「吸えば、『一人前』、ですか……」
「あぁそうだ。吸えば『一人前』だ。」
「わかりました。やってやるです。」
「よく言ったな。ほら。」
「……」カチッ スー
「どうだ?」
「……」
「……」
「……無理です!!目は痛いし、臭いし、噎せる感じがダメです。」
「そうか……。やっぱりな。」
「やっぱりってなんですか!?」
「お前は『半人前』が似合うってことだよ。」