煙草の煙は漂い続ける。誰に言われるまでもなく、上へ上へ昇っていく。そんな人になりたいと思った時期も私にもありました。
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慧音に寺子屋に呼ばれた。それだけだ。
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「で、何のようだ?」
「実はお前に頼みたいことがあるんだが……。」
「何だ?人里のためにできることなら喜んで手伝うぞ。」
「そ、そうか。それなら今度の寺子屋での特別講師をお前に頼みたいんだが……。受けてくれるか?」
「どうして俺なんだ?特別講師ならもっと適任がいるだろ?霊夢や霖乃助はどうだ?」
「いや、今回は『特別な力を持たずとも妖怪と巧くやっていくプー太郎』がテーマなんでな。お前が適任だと思ったんだ。」
「そのテーマ完全に俺を狙っているだろ?それにプー太郎と呼ぶな。せめて『里の何でも屋』とか『里の万屋』とかあっただろ。」
「テーマは今決めた。でもな、特別な力を持たずとも様々な妖怪と交流をもつお前を尊敬している子供がいるのも事実だ。そこでお前に頼んでいるんだ。」
「ガキの前に出て俺の生活について語ればいいんだよな?」
「やってくれるのか?」
「気が向いたらな。しかし、俺にそんなこと話させたら煙草の話が大半を占めるぞ。半日くらいボーッと煙草を吹かしているだけの日もあるからな。」
「それに関しては安心しろ。ここにお前の歴史を纏めたものがある。勿論子供に対して有害と判断したものは省いてあるがな。」
「こんなもの作っていたのか……。」
「私が愛するのは歴史と人間だからな。親しい仲の人の分は既にいくつか作ってある。……どうだ?」
「お前がストーカーだと言うことはわかった。」
「何でだ!?これでも一月くらいかけて作ったんだぞ。物陰に隠れてお前の行動を見守ったり、寝ている隙を付いてお前の歴史を覗いたりイロイロしてきたんだぞ。」
「だからストーカーって言ったんだよ。何だこのページ。『今日は香霖堂で煙草を買った。いつもと違い3級品だ。プー太郎だから金がないんだろう。』って完全にお前の感想じゃあねぇか。『しかもプー太郎だから金がないんだろう。』って大きなお世話だ。」
「そのページの右下に赤丸がついているだろう?」
「あぁ。」
「それは子供に対して有害だから当日は読まないでくれよ。」
「そうじゃあねぇだろ。何でこんなことまで書いてあるんだよってことだ。」
「だっ、だってそれもお前の歴史だろ?それなら書くべきと私が判断したんだ。」
「しかもここ一ヶ月の起床時刻と睡眠時刻、食事の中身まで書いてあるじゃねぇか。」
「それもお前の歴史に変わりはないだろ?」
「お前は俺のお袋か!恐ろしくて外にも出られないじゃねぇか。」
「そうしたら、その本に『今日は一度も家を出なかった。やはりプー太郎だ。』と言うページが増えるだけだ。」
「何でそこまでするんだよ?」
「私は人里に今生きているどの人間よりも長生きするからな。何があってもその人たちのことを忘れないためにもこうして形あるもので残したいんだ。」
「……そうだっのか。」
「あぁそうだ。幻想郷縁起に載らない様なところまで残したいんだ。それが化け物として生きてきた私を受け入れてくれた里の皆へできる限られたことだからな。」
「わかったよ。やってやる。」
「特別講師をしてくれるのか?」
「こんなもの作らせてしまったからなそれ位しないとな。これが俺にできる限られたことだからな。」