ウサギの足は幸運を呼ぶらしい。では彼女はどうやって自身を幸せにできるのだろうか。
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人里で買い物をしていると、前から小柄な方のウサギが歩いてきた。永遠亭の置き薬の販売に来たのだろう。
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「永遠亭の置き薬だよ~。八意印の置き薬だよ~。効き目バッチリ、安全安心の置き薬だよ~。動脈硬化に喘息、脳卒中にも効くよ~。」
「おい。」
「ん?お買い上げかい?おすすめは動脈硬化に効く薬だね。」
「いや、薬の謳い文句に悪意を感じたんでな。少し尋ねようと思っただけだ。」
「悪意もなにもないよ。わたしゃあんたに健康でいてほしいだけだよ。」
「……お前……。」
「そのついでに弄れる何て一石二鳥じゃないか。」
「だと思ったよ。」
「けど、健康でいてほしいって思っているのは本心さ。いるかい?」
「止めておく。人生わずか50年って言ってな、どうせ長生きしないんだからその中でやりたいことをするのが人として最高の生き方なんだよ。」
「そんなもんか。けど健康に気を付けたらあんたも妖怪になって長生きできるかも知れないよ。」
「妖怪になってまで長生きしたくねぇよ。それなら蓬来人のように今の姿のまま永遠に行きてぇな。」
「わからないよ。幻想郷の賢者様も元人間って噂もあるくらいだからね、もしかしたら……があるかもよ。」
「その話本当か!?」
「噂に過ぎないよ。居酒屋で酔っぱらいが話しているような話さ。」
「そうか……。」
「ん?何か気になるのかい?」
「何でもないさ。ただそんな話もあるのかと思っただけだ。」
「あんまり年長者を甘く見ない方がいいと思うよ。」
「調子にのって大怪我を負った間抜けを敬いたくないな。」
「あれは若気の至りと言うやつさ。あの頃があるから今があるのさ。まぁそんなことより……」
「ん?」
「……長生きしなよ。あんたが死んで泣くやつはあんたが考えているのの倍はいるからね。」
「拾った命だ簡単に手放す気はないさ。ただ……。」
「『しがみつく気もないがな。』だろう?」
「あぁそうだ。」
「それが甘いんだよ。どうせ適当に生きるんだから、死ぬときくらいスッと死にたいだろ?そのための薬さ。」
「なるほどな。」
「それにあんたはいい人だからね、おまけくらいするよ。」
「相変わらず商売は巧いよな。で、」
「ん?」
「その薬はいくらなんだ?」
「お代はいいよ。その代わり……」
「ん?」
「御師匠さんが片付けしたがっているからそれを手伝ってほしいのさ。」
「なるほど、そのときの俺の給料は薬で払わせろと?」
「人聞きが悪いな、働いて寿命が貰えるんだから、安いもんだろ?」
「そうなのか……。で、いつだ?」
「それは御師匠さんに聞いてから知らせに来るよ。」
「わかった。できるだけ早く頼むな。」
「はい、毎度あり。」