右向け右
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回れ右
素晴らしい世界だね。
一一一一一一一一一一
久しぶりに神社で宴会があった。煙草を吸おうとすると非難されたので近くの木陰に避難した。
一一一一一一一一一一
「なんだあんたか……」
「俺で悪かったな。」
「そう言うなよ。私だってあんたが来てくれてよかったよ。」
「どうしてだ?」
「あんたとは色々話せるからね。普段聞き手になることが多いからね、なかなか話し手になれないのさ。」
「そうだったな。」
「あんたは自分のこと話すの?」
「必要だと思ったらな。」
「そうなんだ……」
「聞きたいのか?」
「少しね。」
「聞いてもいいことはないと思うぞ。」
「それならいいや。」
「どっちなんだよ。」
「いいじゃないか。話したくないことは聞く方も楽しくないんだよ。」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんさ。話したい人が話したい内容を話したいときに話す。これが一番聞き手としては楽なのさ。」
「聞き手が慣れているやつはさすがだな。」
「誉めるなよ。」
「こんなやつ誉めたくねぇよ。」
「そう言うなよ。」
「そういえば、最近あいつとはどうなんだ?」
「どうもこうもないさ。私が喧嘩吹っ掛けてあいつに殺される。そして生き返る。それだけさ。」
「相変わらずでよかったよ。」
「よくないよ。喧嘩する度に殺される身にもなってみろよ。」
「そう何度も殺されることはないからわからないな。」
「それもそうだな。」
「……止めないのか?」
「止めないさ。これが私の生きる意味だ。」
「有意義というやつか?」
「そうさ。誰にも邪魔されたくないね。私がここにいる意味の全てがそのためにある。」
「奪われたくないのか?」
「当たり前だろ?もし奪われても、奪ったやつを殺してでも取り返す。それほどまで大切なんだよ。」
「クスクス」
「いきなり笑うなよ。気持ち悪い。」
「いや、悪い。やはり似た者同士だと思ってな。」
「どういう意味だよ。」
「最近あいつと話してな、お前と同じようなことを言っていたからな。つい面白くて……クスクス」
「なんだよそれ、気持ち悪いな。」
「いや、似た者同士だからこそ争えるんだろう。」
「ほう、その心は?」
「俺の世界ではな『争いは同等の相手としか起きない』って言うんだよ。例えばお前がおとなしい性格なら争おうとは思わないだろ?」
「そんなもんかね?」
「そんなもんだよ。世の中って言うのはな思ったより単純なんだよ。」
「不思議と説得力があるんだよな。」
「誉めるなよ。」
「一応誉めてるんだよ。」
「そうか、それはありがとうな。」
「素直に礼を言うなよ。」
「礼を言うのは世の常だろ?みんなそうしてるぞ。」
「……世の中ってのは単純なのかもね。」
「そうだな。」