東方友煙記(完結済)   作:まっまっマグロ!

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メディスン・メランコリーの場合

一寸先は闇とは言い得て妙だと思う。

 

闇を認知するのは光があるから。

 

一歩後ろは光だ。今に満足なら戻れば良い。そうでないなら闇に飛び込み新たな光を探せ。

 

一一一一一一一一一一

 

霖之助との約束を果たすべくとある場所へ向かう。その道中一体の妖怪と出会う。

 

一一一一一一一一一一

 

「何か捨てに来たの?」

 

「誰だ?」

 

「ここは無名の丘。名もない赤子を捨てる場所。殺されたくないのなら、今すぐ戻りなさい。」

 

「俺はこの先にいる妖怪に用があって来たんだ。引くつもりはない。」

 

「この先の妖怪って幽香?幽香に用事があるの?」

 

「知っているのか?」

 

「うん。幽香のお客さんなら通してあげるよ。」

 

「ありがとう。……名前は?」

 

「私はメディスン。よろしくね。」

 

「メディスンか、よろしく。」

 

「幽香の用事って何?」

 

「新しく育ててほしい花があるんだ。そのお願いに行くんだ。」

 

「きれいなお花?」

 

「あぁきれいだよ。」

 

「スーさんよりも?」

 

「どうだろうかな?」

 

「きっとスーさんの方がきれいだよ。スーさんはとってもきれいだもん。」

 

「そうかな?」

 

「おじさんはスーさんが嫌いなの?」

 

「いや、俺も鈴蘭は好きだよ。けどもっときれいな花はたくさんあるんだよ。」

 

「おじさんの好きな花は何?」

 

「俺はなんでも好きだよ。ユリの儚さもバラの優雅さもタンポポの強さもなんでも好きさ。」

 

「浮気性なんだね。」

 

「そうなのかもしれないな。」

 

「認めるの?」

 

「認めるさ。俺は懸命に咲こうとする花が好きさ。そこに美しさも醜さもない。」

 

「スーさんも?」

 

「もちろんさ。懸命に咲く花を嫌うわけないだろ?」

 

「おじさんっていい人なの?」

 

「そうだな。」

 

「認めるんだ……。」

 

「俺は懸命に生きているからな。嫌う人はいないだろ?」

 

「やっぱり変な人かも……。」

 

「メディスンは一生懸命生きているか?」

「うん。スーさんのお世話したり頑張ってるよ。」

 

「それならいいんだ。」

 

「おじさんは一生懸命に生きてるの?」

 

「そう見えるか?」

 

「見えない。」

 

「外れだな。俺は今日を楽しくいきるのに懸命なんだよ。」

 

「ふーん。」

 

「メディスンも大きくなればわかるさ。」

 

「そうなのかー。」

 

「あぁ、きっとそうさ。」

 

「ねぇおじさん。知ってる?」

 

「ん?」

 

「スーさんって毒があるの。みんな嫌いなの。それでも好き?」

 

「あぁ好きさ。例えば今俺の足元に咲いてる鈴蘭は何のために毒を持つのか知ってるか?」

 

「食べられたくないから?」

 

「そうだな。生きるために毒を持つんだ。それはいけないことなのか?」

 

「ううん。スーさんだって一生懸命生きているんだよ。そのために毒を持つのはしょうがないことだよ。」

 

「そうだな。人も、妖怪もそうさ。生きていくには少しくらい毒がないとダメなんだよ。わかるか?」

 

「どういうこと?」

 

「……煙草を吸わせてくれないか?」

 

「ここに捨てないならいいよ。」

 

「ありがとう。」カチッ

 

「ねぇ、おじさんは幸せ?」

 

「あぁ、幸せだよ。というより、幸せがまた来てくれたってところだな。」

 

「それはスーさんのおかげだよ。」

 

「そうかもしれないな。」




次回も花言葉ネタが続きます。
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