赤い火は揺れ動く。風に流されながら思わぬ方向に揺れ動く。強い意思をもって揺れ動く。
一一一一一一一一一一
魔理沙の案内のお蔭で特に危険もなく紅魔館に到着した。待ち合わせまで時間もあるので門に寄りかかりながら煙草に火をつける。
一一一一一一一一
「また吸ってるんですか?」
「好きにさせてくれよ。」
「そんなものを吸っているから強くなれないんですよ。」
「俺は強くなりたい訳じゃあないんだけどな。」
「そうなんですか?」
「そうだよ。」
「わからないですね。」
「何がだ?」
「だって、この幻想郷って力こそ全てって感じじゃあないですか。それなら何で霊力もない、力もない貴方はここに残ったんですか?」
「帰れないんだよ。」
「嘘ですね。」
「……」
「……沈黙は肯定と受けとりますよ。」
「それでいいよ。」
「それでは教えてもらえませんか?」
「何を?」
「はぐらかさないで下さい。貴方がここに残った理由ですよ。」
「……言ってもいいのか?」
「ええ、もちろん。」
「お前に会えるからだよ。」
「そうだったんですね。」
「驚かないのか?」
「嘘には驚きませんよ。」
「気付いたのか。」
「私の能力を忘れましたか?貴方の言霊には本『気』を感じとることができませんでしたからね。」
「そんな能力あったんだな。」
「はい。何故か忘れられてますけどね。」
「体術ばかり使うからだろう?」
「まぁそうなんですけどね。結局私の能力って弾幕ごっこでは分かりにくいんですよね。」
「周りが暗くなったり、氷を飛ばしたり、魔導書を持っていたり、時を止めたり他のやつらは分かりやすいのにな。」
「そうなんですよ。お嬢様や妹様の能力は印象に残りやすいですし、私だけ異様に地味なんですよ。」
「そうだな。」
「……酷いですね。」
「そう落ち込むなよ。俺は地味なやつも好きだけどな。」
「ん?本当ですか?」
「あぁ。アメスピべリックとかechoとかわかばとかチェとか目立た無いけどいい銘柄はいくらでもあるんだよ。」
「また、煙草の話ですか?」
「そうだよ。」
「変わらないんですね。」
「そうだな。人はいくらでも変われるけど、変わらないからこそ得られる魅力ってのは大切だと思うぞ。」
「そんなもんですか?」
「そんなもんだよ。独り残らず流行りのものを身につける世界ってのは死ぬほどつまらないものだと思うよ。」
「……」
「例えば、流行ってるからって言って、全ての男が茶髪の長髪の細マッチョになったら気持ち悪いだろ?」
「そうですね!やっぱりゴリマッチョの方がいいですよね!」
「……」
「どうしたんですか?」
「いや、何でもない。」
「それよりそろそろ時間じゃあないですか?」
「あぁ、そうだな。じゃあそろそろいくか。」
「煙草の火は消していってくださいね。」
「わかってるよ。」
「それでは、お仕事頑張ってくださいね。」
「わかってるよ。」