屋台という空間は異質である。初めて顔を会わせるもの同士が酒をのみ交わし、笑い合い慰め合う。
恐らく他にはなかなか見ないものであろう。
一一一一一一一一一一
夜、酒が飲みたいので屋台に寄った。
一一一一一一一一一一
「いらっしゃい。あら、煙草さんじゃん。」
「俺はいつまで煙草さんって呼ばれ続けるんだ?」
「ん~、煙草を止めたらかな?」
「なるほど、俺は一生万屋とは呼ばれないんだな。」
「そうかもね。何にする?」
「酒と……つまみは何かあるか?」
「一通り揃えてるつもりよ。」
「なら、たこわさ。」
「はいよ。酒は何か希望はある?」
「外の酒はないんだろう?」
「外のやつはさすがにないね。一番のおすすめは『雀の涙』よ。」
「ならそれを、冷で」
「はいよ。」
「店は長いのか?」
「まぁ、煙草さんの生きてきた年数ぐらいはしているだろうね。」
「思ったより長いんだな。」
「まぁね。はいよ、冷とたこわさ。」
「売上は?」
「まぁぼちぼちってところね。よく来るのは妹紅くらいだもの。」
「そうか。」
「やっぱり、妖怪の店ってのは敬遠されがちなのかもね。」
「そうかもしれないな。」
「お宅はどうなの?」
「うちは調子いいよ。最近、不思議な力が働いているかのように仕事が入ってくるよ。」
「それはよかったね。」
「まぁ、妖怪相手が多いけどな。」
「幻想郷じゃあそんなものかもね。」
「まぁ、金がもらえるなら文句は言わないさ。……冷やのおかわりと、他に何かないのか?」
「うーん、うちは八ツ目鰻屋だからね。鰻料理ならなんでもできるよ。」
「それなら、蒲焼きと唐揚げ。いけるか?」
「任せといて。……はい、先に冷ね。」
「どうも。それにしてもこの酒、旨いな。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「幻想郷の酒は癖が強いのが多いからな。」
「酒は癖が命よ。癖のない酒はただの水よ。」
「そうなのか?」
「少なくともここに棲む連中はそんなのばっかりよ。……はい、蒲焼きと唐揚げね。」
「なるほどな。……いただきます。」
「……。」
「……唐揚げ旨いな。衣は軽くサクッとしていて、しかし身の方は柔らかく油が出てくる。一緒に出てきた柚子塩も柚子の風味がきいていて鰻特有の脂から来るしつこさを消している。普通、鰻は蒲焼きのように醤油などをもとにしたタレで味付けをして網で焼く。それは鰻は本来脂っこくて食べていると飽きてくるからだ。しかし、この唐揚げはそのしつこさがない。ミスティア……」
「どうしたの?」
「身の方にも柚子で味付けしたか?」
「えぇ、身の方には柚子胡椒を少しね下味はそれと塩ね。」
「なるほど、身の方にも柚子を、しかも柚子の香りがさらに強い柚子胡椒で下味をつけることで八ツ目鰻の泥臭さも消したというわけか……。まさに柚子のダブルパンチ!!しっかりと脂の旨味があるのにそのしつこさを全く感じない。」
「説明ありがとうね。」
「本当に旨いな。」
「あんなにしゃべる煙草さんって初めて見たかも……。」
「そうかもしれないな。」
「また来てちょうだいね。」
「あぁ、また来るよ。」
書いてて腹減ってきました(午前二時)