人に最も近く、最も生活に関わる神である。
……まぁ、地味だけどね……
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神社へ向かうため、山を登る。
途中神様に会いました。
一一一一一一一一一一
穣「お、いいところに来た!」
「ん?」
静「火ある?」
「あるぞ。オイルライターの火とガスライターの火とマッチの火、どれがいい?」
穣「同じでしょ!」
「これが違うんだよ。」
静「どう違うの?」
「説明し始めたら長いぞ。」
静「そんなに?」
「そうなだな。字数で表せば1000字くらいになるな。」
静「それは長すぎね……」
穣「どうでもいいから。マッチ貸して。」
「芋でも焼くのか?」
静「食べてく?」
「あぁ、そうするよ。それとマッチだったな。」
静・穣「ありがとう。」
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「旨いな。」
穣「でしょう。実りの神様が育てたんだから不味いわけないわよ。」
静「けど、落ち葉があったから美味しく焼けたんでしょ?」
穣「芋が良かったの!」
静「落ち葉があればこそでしょう?」
穣「芋!!」
静「落ち葉。」
静・穣「煙草さんはどっちだと思う?」
「あぁ、旨かった。けど、秋に色付いて、落ちた落ち葉で秋に実った芋を焼いていると、秋の暮れを感じるよな。」
静・穣「……」
「どうした?」
静「秋が……終わる?」
穣「秋が……終わってしまう。」
「どうしたんだ?」
静「秋が終わってしまうの。これほど悲しいことはないわよ。」
「そうかもな。まぁ、秋はどこか物寂しいものだと決まってるんだよ。仕方ないさ。」
静「辛いわね。」
「いいじゃないか。また1年経てば秋になるんだ。それまで待つしかないさ。」
穣「寂しいものよ。秋には信仰され、崇められているのに……冬になったらそれもないのよ。」
「……秋の収穫の季節だけ信仰されても収穫には間に合わないだろ?紅葉も同じたろ?」
穣「そうだけど……。そんなことする人間がどこにいるのよ。」
「いないな。」
穣「でしょう?冬には力を失って静葉と静かに過ごすしかないのよ。」
「人は身勝手だからな。仕方ないのかもしれないな。」
穣「そうよ!不作だからって私のせいにするのよ。豊作が続けば土が悪くなるからたまには不作にしないといけないのに……」クトクド
静「けど、人にとって秋の実りは冬を越せるかどうかに関わるから神経質になるのかもね。」
「まぁな、元々不幸なことを押し付けるための神様だからな。」
静「不作なら豊穣の神様が、地震があれば土の神様が、嵐が来れば空の神様が……という感じよね。」
「そうだな。」
静「けど、それが八百万の神様の宿命よ。一人に押し付けるよりもよっぽど神様のためになってるわよ。」
「それもそうだな。」
静「ところで……」
「ん?」
静・穣「美味しい焼き芋は誰のおかげ?」
「もちろん、俺の火のおかげだよ。」