東方友煙記(完結済)   作:まっまっマグロ!

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鍵山雛の場合

幸か不幸か判断するのに人の一生は短すぎる。

 

一一一一一一一一一一

 

山を登る。息が続かない。

 

一一一一一一一一一一

 

「あら、久しぶりね。何してるのかしら?」

 

「山の上の神社に用事があってな。」

 

「仕事?熱心ね。」

 

「煙草代を稼ぐためだよ。」

 

「そんなにいいものなの?私からしたら厄の塊でしかないのだけれど……。」

 

「やくはやくでも『ご利益』のやくだよ。吸ってて気持ちがいいんだからいいだろ?」

 

「やくはやくでも『お薬』のヤクだと思うわよ。今のあなたの話を聞いて確信したわ。」

 

「薬ならいいのにな……。」

 

「同じ薬の字でも読み方は『ヤク』なのよね。」

 

「中毒性と体への悪影響なら酒も同じだろ。」

 

「酒は長寿の長よ。」

 

「それなら煙草も同じだろ。吸ってないとやってられないときだってあるんだよ。お前だって飲まないとやってられないときくらいあるだろ?」

 

「まぁね。未だに私のことを勘違いしている人もいるでしょうしね……。そう思うと飲まないとやってられないかもしれないわね」

 

「感謝はされても人に疎まれる覚えはないってことか?」

 

「えぇ。厄神様っていう呼び名がいけないのかしら。」

 

「疫病神、もしくは祟神みたいだもんな。」

 

「山の上のロリっ子とは違うのよ。」

 

「『厄いわね。』って言うのもやめたらどうだ?厄を移しているように捉えられかねないしな。」

 

「それじゃあ、何て言うのよ。その台詞は私のアイデンティティなのよ。」

 

「『貴方の厄、引き取ります。』とかはどうだ?」

 

「廃品回収みたいね……。」

 

「それもそうだな。」

 

「どうにかならないものかしら……。」

 

「どうにかしたいものだがな……。」

 

「まず第一に流し雛なんて誰か知ってるのかしら?」

 

「少なくとも俺のいた世界でしているやつは見たことないな。」

 

「まぁ、忘れられたからここにいるのだけどもね……。」

 

「それもそうだな。」

 

「ところで……。」

 

「ん?」

 

「貴方、厄がたまっているわね。貴方の厄、引き取るわよ。」

 

「これじゃないな。」

 

「私もそう思ったわ。」

 

「それじゃあ、今まで通りでもう一回頼む。」

 

「貴方、厄いわね。」

 

「こっちの方がいいな。」

 

「そう思う?」

 

「あぁ、そっちの方が雛らしいよ。」

 

「……そう。それなら今まで通りでいった方がいいのかしら?」

 

「そうだな。何よりも雛らしいのが一番だな。」

 

「それならよかったわ。ところで貴方……。」

 

「ん?」

 

「かなり厄いわよ。いろんなところで恨みを買ってる覚えはない?」

 

「里の万屋がどこで恨みを買うんだよ。」

 

「そう?それならいいのだけど……。」

 

「……。」

 

「……私の恨み高くつくわよ。」

 

「恨まれないように気を付けるよ。」

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