頭が一杯のときは居間で煙草を吸いなさい
心が落ち着かないときは寝室で煙草を吸いなさい
余裕のあるときは浴室で煙草を吸いなさい
一一一一一一一一一一
山に侵入していると白狼天狗に見つかりました。
一一一一一一一一一一
「止まれ!斬ると動く!」
「……」
「……」
「……?」
「……動くと斬る!」
「……」
「……ごめんなさい。反応してください。間違えたのは謝りますから……。」
「山の神社から何か聞いていないのか?一応諏訪子からの依頼なんだが。」
「聞いていない。天狗に話が届いていない以上、お前を山への侵入者と見なし排除する。」
「俺が生き残る道は?」
「尻尾巻いて逃げる。若しくは、諏訪子様に確認がとれれば。」
「巻く尻尾がない場合は?」
「首が飛ぶ。」
「諏訪子に確認する手段は?」
「今、文様が確認に向かわれている。」
「文か……。あいつのことだからわざと遅れてくるぞ。」
「それはあの方の性格上仕方のないことだ。」
「煙草、吸ってもいいか?」
「かまわない。」
「最後の煙草かもしれないかと思うと急に虚しくなるな。」
「最後の煙草なら、しかと味わわないとな。」
「そうさせてもらうよ。」
「……」
「……退屈じゃないのか?」
「いや、これが私の仕事だ。」
「そうか。」
「あぁ。」
「……」
「……暇だな。」
「それはお前だけだ。俺は今を楽しんでいる。」
「喫煙者め……。」
「そう言うなよ。文のことだからもう少ししたら着くだろう。」
「そうだな。」
「……。」
「……。」
ピュッ
「何だ?」
「安心しろ、万屋。ただの矢文だ。恐らく文様からの伝達だろう。」
「……なんて書いてある?」
「『侵入者である万屋は確かに守矢神社におわす洩矢諏訪子様の命によりここに参上したものであり、上のものが山内で不信な動きを行わない限り天狗から手を加えないものとする。』だそうだ。」
「許されたってことでいいのか?」
「そうだな。これで山の天狗はお前を客人として正式に迎え入れることとする。尚、不信な行動を起こせばすぐさまその首が飛ぶので、注意されたし。」
「よかった。」
「本当によかったですよ~」ヘナヘナ~
「お疲れさま。」
「本当に疲れましたよ。定常作業とは言っても知り合い相手では緊張しますからね……。」
「慣れないのか?」
「慣れてはいますよ。ただ、知り合いの首は跳ねたくないだけです。」
「恐ろしいことを言うな……。」
「でも、文様の手紙に『依頼はなかった』とかいてあったら私は貴方の首を跳ねないといけなかったんですよ。」
「本当に危なかったんだな。」
「本当ですよ。……落ち着きついでに一本もらっていいですか?哨戒中は必要なものしか持てないので……。」
「あぁ。」
「ありがとうございます。……緊張のあとの一服はいいものですよね。」
「そうだな……。」