もし翼があるなら、自由に飛びたい
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山を登っていると、予想通り絡まれた。
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「あややや、また吸ってるんですか?身体に悪いですよ。」
「いいだろ。好きで吸ってるんだから。」
「そうは言いますけどね、貴方に死なれたら私としては少し困るんですよ。」
「新聞のネタがなくなるからか?」
「あややや、わかりますか?次の新聞の一面も『迷走!里の万屋、妖怪の山で迷子!』に決まってるんですよ。だから簡単に死んで欲しくはないんですよ。」
「それなら、諏訪子への確認を早急にしてくれれば良かったのにな。」
「そうは行きませんよ。あれはあれで面白いものも見ることができましたしね。貴方のマジビビり顔とか椛のサボり姿とか……」
「椛が俺を斬らないとわかっていて遅くしていたのか?」
「さぁ、何となくですよ。まぁ、あの子は真面目な割りに甘ちゃんですからね。……私に対してもあれくらい甘甘にして欲しいものです。」
「本当になに考えているかわからないやつだな……。」
「そう思っているといいですよ。」
「やめておくよ。お前に甘さを見せたら一生付きまとわれそうだ。」
「それは残念ですねぇ。何だかんだ言っても貴方はネタの玉手箱ですからね。」
「お前を衰えさせることができるならそれで満足だが……。」
「残念ながら天狗はネタを見つけると、年齢一切関係なく風神のごとき速さで幻想郷中を飛び回りますよ。」
「だと思ったよ……。」
「ところで……。」
「ん?」
「貴方からとてつもないゴシップの臭いがします。何か隠していませんか?」
「何もない。」
「年長者は甘く見ないことですよ。私はそこらの天狗よりも勘が働きます。何かあるのは間違いないでしょう。」
「気になるか?」
「もちろんです。私は鴉天狗ですよ。」
「やめておけ。誰かの怒りを買って幻想郷が大変なことになりかねん。」
「……幻想郷を巻き込む大混乱ということは八雲紫様が関わっていると考えて間違いないですかね。」
「さぁな。」
「紫様と言えば……以前、貴方と愛人関係にあるという記事を書いた際に態々妖怪の山に訪れてまで記事の差し押さえを行ったことがありますね……。それは関係あるのですか?」
「文……」
「答えてくれるんですか!?」
「一つだけ教えてやる。……好奇心旺盛なのは、鴉天狗としての性分なのかもしれん。しかしな、好奇心はときとして己を殺すことだけは忘れるなよ。」
「……それは私に言ってますか?」
「いや、昔の自分に言ったのかもしれないな。」