彼女は本のムシだ。そのムシにムシのように嫌われる俺は一体なんなのか。
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咲夜さんから依頼の内容を聞き。大図書館に向かう。今回の仕事は司書の補助らしい。屋内なので煙草は吸えない。(ガキが二人、それに喘息持ちもいるからな)
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「そこ、臭いから退いて。」
「開口一番にそれか……」
「いいでしょ。貴方がいると本に臭いが移るし、喘息の発作が酷くなるのよ。」
「ならなんで俺を呼んだんだよ。」
「貴方が適役だからよ。魔理沙は本を盗むし、霊夢はがめついし、人里の便利屋は軟弱だからよ。」
「そこまでして選んだお手伝いさんにいきなり「臭い」か……」
「貴方も認めているでしょ?」
「まぁ、煙草臭いって言われるのには慣れてる。」
「ならいいじゃない。」
「慣れていても、落ち込みはするぞ。」
「そうなのね。」
「そうだよ。」
「貴方の吸ってる煙草って何なの?」
「これか?」
「何が目的で吸ってるの?臭いし毒にしかならないはずよ。」
「ここに来たとき、俺は絶望ばかりだった。」
「それがどうしたの?」
「そんなときに、持っていた煙草に火をつけるたんだ。すると、全てがバカらしくなった。」
「どういうこと?」
「そのままの意味だよ。俺が昔生きていた世界ではな、俺みたいな奴は害悪としか扱われなかったんだ。」
「どうして?」
「生産しないからな。俺は見ての通りやる気もなにもないぐーたらだ。けどメシは食うんだよ。」
「確かに、そのような人はあまり必要とされないわね。」
「でもな、それは俺の世界で皆が行き急いでいたからなんだよ。全ての人が社外の歯車として生きることを望み、そうやって生きることに価値を見いだしていたからな。でも、ここは違った。」
「そうね。幻想郷では人々は幻想郷のためというより自分のために生産しているものね。生産した人だけがその利を得て、生産できない人はなにも得られない。」
「煙草を吸ってるとな、そういうのが今までにないことのようで楽しくなってきたんだ。」
「そういうものなの?」
「あぁ、前の世界では『俺なんていなくていいや』て考えていたのに、ここでは『俺はいなくてもいいんだ』って考えるようになったんだよ。」
「よくわからないわね。」
「俺の世界では自ら命を絶つ人が大勢いた。」
「意味がわからないわ。せっかく神に頂いた命なのだからその命を全うすべきではないのかしら。」
「吸血鬼に雇われ、悪魔を使役する君が神について語るのか……」
「いいじゃない。それよりも続きを話してちょうだい。」
「そうか。何故自ら命を絶つのかと言うと、歯車として生きれなくなったからだ。」
「よく意味がわからないわね。」
「あるものは歯車として生きることに疑問を感じて自ら命を絶つ。あるものは歯車として生き続けることに絶望を感じて自ら命を絶つ。そんな世界だった。俺の古くからの友人も何人か命を絶つことを選択した。」
「辛いわね。」
「そうでもないさ。あいつらは自分で自身の限界を見極めたんだ。そのことを責める気はないさ。誰も責めてはいけないんだよ、死んでしまった人のことを……。」
「……。」
「……。」
「私の部下さーん♪お茶が入りましたよ。一緒にサボりましょう。……あれ?」
「小悪魔、貴方も空気が読めないわね。」
「まぁいいじゃないか。外で一服させてもらうよ。」
「今日はここまででいいわ。面白い話も聞けたし。小悪魔、貴方も今日はあがりなさい。」
「はーい♪」
「いいのか?まだ時間はあるはずだが。」
「いいのよ。その代わりまた来て外の話を聞かせてちょうだい。」
「わかったよ。」